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2章 懺悔と喜悦
11話
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「ここが教会です。少々お待ちください。話を通しに行きますので」
「はい、お願いします」
お忍びとはいえ一応他国の王子である以上無礼があってはいけない。なので騎士が大神殿に行くのを見送り、ぼーっと待っている。アレリア国とは全く違う規模と文明、全く違う世界に来たような感覚だ。でも人々の楽しそうな声を聞いていると国は違えど平和な国は笑顔が絶えないものなのだと思う。前に見た最後のモアナ国は活気がなく人々の顔に笑顔は一切無かった。あるのは廃れた街並みと、日々殺し奪い合いながら生きていく人々、今の光景とは全く違った。あの光景を見た時、なんとも言えない気持ちが湧き上がった。でもフランの周りにいる人たちはその光景を見てみんな笑っていた。だからその感情も皆と同じで面白いとのだと思っていた。でも、この世界に来て今のこの光景を見てまたあのような光景にはしたくない。きっとあの時感じた思いは悲しい気持ちだった。また同じ気持ちを味わえたくない。
必ず使命を遂行しないと、、、。
「お待たせして申し訳ありません。準備が整いましたので、こちらへ」
「行きましょうか、フラン様」
「ん」
入った大神殿は白と青で構成されたとても美しい作りをしている。海を司る神だからなのだろう。
「ようこそいらっしゃいました、フラン様。私は総司教である、パリバレット・ノックスと申します。本日教会の案内をさせていただきたく思います」
「、、、あぁ」
パリバレット・ノックス、枢機卿でありながらロウベリアンに使えることを選んだことで全ての地位を捨て、モアナに自ら赴き一から大司教、そして総司教まで成り上がった男だ。そして先の戦いで、無惨に死に絶え、彼の死が引き金となり戦争はより大きなったとも言える。
「さぁこちらへどうぞ」
「あぁ」
教会の中を次々と案内され、他の司教と挨拶やらをして最後に大聖堂に入ることになった。
「すみません、お祈りはお一人ずつと決まっておりまして、、、いかがいたしましょうか?」
「!構わない、、、3人やる」
「!フラン様、私は護衛です。あなた様を置いてお祈りなど、、、」
「そうです、フラン様を置いてお祈りなど、、、」
「構わない、せっかく来たから、、、みんなやるべき、だと思う」
「フラン様、、、わかりました。お心遣い感謝します」
「ありがとうございます。フラン様」
「ん、、、」
素直に言われるお礼に若干胸が痛くなるが仕方ない。
「ではフラン様、お先に」
「いや、俺は最後でいい」
「ですが、、、いや、そうですね。では先に行かせていただきます」
中に刺客がいないと言う可能性はゼロではない。ならばまず自分たちで危険がないかを確認する方がいいだろうと2人は先に入り祈りをすることにした。アリアの祈りも終わり、フランの番になった。
「行ってらっしゃいませ、フラン様」
「ん、言ってくる」
案内された部屋に入ると大聖堂とは違い祈りの間であるためなのか、とても神聖な場所なのだろう外とは空気が違うように感じる。
「えっと、、、あ、あった」
たとえ神聖な場所とはいえ、建物であることが変わらない。しかも教会で、ここは貴族や王族、他国の権力者もくるため、いつ襲われてもいいように各部屋に脱出用の出口が用意されているのだ。場所は基本教会のものしか知られていないが前の世界でこの教会に入り込んでいたやつがこの出口が映されている地図を盗んできた。ただの興味本位で見ていたのだが、朧げであったがなんとなく覚えていたのだ。見つからなければ人混みに紛れて巻くことになってたかもしれない。
あとで、何言われるかはわからないが、まだ死ぬことはない、、、と思いたい。
心の中でこれから迷惑をかけるであろう、アリアと騎士、兄上たちに謝ることしかできなかった。
「はい、お願いします」
お忍びとはいえ一応他国の王子である以上無礼があってはいけない。なので騎士が大神殿に行くのを見送り、ぼーっと待っている。アレリア国とは全く違う規模と文明、全く違う世界に来たような感覚だ。でも人々の楽しそうな声を聞いていると国は違えど平和な国は笑顔が絶えないものなのだと思う。前に見た最後のモアナ国は活気がなく人々の顔に笑顔は一切無かった。あるのは廃れた街並みと、日々殺し奪い合いながら生きていく人々、今の光景とは全く違った。あの光景を見た時、なんとも言えない気持ちが湧き上がった。でもフランの周りにいる人たちはその光景を見てみんな笑っていた。だからその感情も皆と同じで面白いとのだと思っていた。でも、この世界に来て今のこの光景を見てまたあのような光景にはしたくない。きっとあの時感じた思いは悲しい気持ちだった。また同じ気持ちを味わえたくない。
必ず使命を遂行しないと、、、。
「お待たせして申し訳ありません。準備が整いましたので、こちらへ」
「行きましょうか、フラン様」
「ん」
入った大神殿は白と青で構成されたとても美しい作りをしている。海を司る神だからなのだろう。
「ようこそいらっしゃいました、フラン様。私は総司教である、パリバレット・ノックスと申します。本日教会の案内をさせていただきたく思います」
「、、、あぁ」
パリバレット・ノックス、枢機卿でありながらロウベリアンに使えることを選んだことで全ての地位を捨て、モアナに自ら赴き一から大司教、そして総司教まで成り上がった男だ。そして先の戦いで、無惨に死に絶え、彼の死が引き金となり戦争はより大きなったとも言える。
「さぁこちらへどうぞ」
「あぁ」
教会の中を次々と案内され、他の司教と挨拶やらをして最後に大聖堂に入ることになった。
「すみません、お祈りはお一人ずつと決まっておりまして、、、いかがいたしましょうか?」
「!構わない、、、3人やる」
「!フラン様、私は護衛です。あなた様を置いてお祈りなど、、、」
「そうです、フラン様を置いてお祈りなど、、、」
「構わない、せっかく来たから、、、みんなやるべき、だと思う」
「フラン様、、、わかりました。お心遣い感謝します」
「ありがとうございます。フラン様」
「ん、、、」
素直に言われるお礼に若干胸が痛くなるが仕方ない。
「ではフラン様、お先に」
「いや、俺は最後でいい」
「ですが、、、いや、そうですね。では先に行かせていただきます」
中に刺客がいないと言う可能性はゼロではない。ならばまず自分たちで危険がないかを確認する方がいいだろうと2人は先に入り祈りをすることにした。アリアの祈りも終わり、フランの番になった。
「行ってらっしゃいませ、フラン様」
「ん、言ってくる」
案内された部屋に入ると大聖堂とは違い祈りの間であるためなのか、とても神聖な場所なのだろう外とは空気が違うように感じる。
「えっと、、、あ、あった」
たとえ神聖な場所とはいえ、建物であることが変わらない。しかも教会で、ここは貴族や王族、他国の権力者もくるため、いつ襲われてもいいように各部屋に脱出用の出口が用意されているのだ。場所は基本教会のものしか知られていないが前の世界でこの教会に入り込んでいたやつがこの出口が映されている地図を盗んできた。ただの興味本位で見ていたのだが、朧げであったがなんとなく覚えていたのだ。見つからなければ人混みに紛れて巻くことになってたかもしれない。
あとで、何言われるかはわからないが、まだ死ぬことはない、、、と思いたい。
心の中でこれから迷惑をかけるであろう、アリアと騎士、兄上たちに謝ることしかできなかった。
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