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3章 不識と無情
11話
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魔族その中でも、魔王の子だ。今の魔王ではなく、先代の魔王が人間に産ませた魔族と人間のハーフの子が、ガンディラス国を滅ぼす中心に立っていた。
その子がなぜ生まれたのかはわからない。人間に無理やり産ませたのか、当時、戦争の最中で芽生えた恋なのかは今となってはわからないが、魔王の子は父親を殺した今の魔王と、当時敵対していた人族を恨みその復讐から戦争になったのだ。前の世界ではまだまだだ先のはずだったが、、、。
それもそのはずだ、本来ならフランが彼らにその国の情報を渡すことで彼らはガンディラス帝国を攻め落とし占拠するにいたったのだから。
自分が優位に立ちたいがため、助かりたいがために同盟国を売ったのだ。
「フラン?顔色が悪いが、どうかした?」
「!ご、ごめんなさい」
「何も謝ることはないよ。魔族なんて聞いて怖いだろうけど大丈夫。お前のことは俺が守るからな」
「、、、」
怖いと思うのは本当、でもそれは家族を、身近な人をなくすことへの恐怖だ。未来を変えてしまったからもう先の未来がどうなっているのかよくわからない。前までは大まかなところは変わっていなかったとしても、年単位のずれがでてしまった今では、もうこの先の未来は体験した未来とは別物と言えるだろう。記憶の手がかりすらなくなってしまった今どうすればいいのかわからない。
「兄様、い、一度戻ったら、、、」
「確かにそれも最善かもしれないがここまで来たら戻れない。大丈夫念のために騎士団の精鋭を連れてきているし援軍も頼んであるから、フランはロイドと一緒にいるんだ。絶対に離れては行けないよ」
「、、、うん」
今のアルディナはフランを連れてきてしまったことを少なからず後悔しているだろう。もしもただの野党やどこかの国との戦争であれば多少の援助をすればいいのだろうが魔族であるのなら話が違ってくる。魔族は人族にとって脅威の存在、彼らが攻めてきた場合は人族すべての問題と言っても過言ではないのだから。
何日か過ぎたのち、ようやく監察館に近づいてきた。監察館に近づくにつれ心臓がドキドキと早く鼓動する。手には汗が滲み出しているし少し息苦しく感じる。
「フラン」
「!?、、、兄様?」
「大丈夫」
ただの言葉なのになぜだかその言葉には説得力があった。
優しく美しい皇太子、フランはそのぐらいしか知らない。戦っているところなんてフランはあまり見たことがない。ただたまにルディアンと稽古している時に、あのルディアンがボロボロであるのに兄様は汚れひとつもないのだからそれほど強いということはわかってはいる。わかってはいるけれどが実感が湧かないのだ。強くともいつか重傷を負ってしまうかもしれない。死んでしまうかもしれない。そう思うと、、、。
「、、、っ」
「あぁ!な、泣かないでくれ、お前に泣かれてしまうとどうすればいいのかわからなくなってしまう」
「ぐすっ、にいさま」
「うん?」
「怪我しないで、絶対に、、、約束して、、、」
「!あぁ、あぁ、もちろんだ。約束しよう。無傷でお前の元に帰ってくるよ」
「、、、、うん」
今この瞬間でフランはただのお荷物でしかない。自分にはみんなの様に戦えるようなちからはないのだから。ただ祈ることしかできない。こんな罪人の祈りを神様が聞いてくれるかわからないけどそれでもただただ祈るしかできない。こんな自分によくしてくれる人たちの無事を祈ることしか、、、。
何か自分でもできることがあればいいんだけど、、、。
******
《 ~補足~ 》
話の中に書き忘れてしまったため補足します。
レイとアリアはどうしたんだろうっと思った方も少なからずいると思います。
私も書いてて思いました。自分の中で自己完結してましたすいませんm(._.)m
レイとアリアはアレリア国でお留守番になってます。レイはあぁ見えて神獣なので流石に連れて行くことができずフランがすっごく頑張って説得してお留守番してくれています。アリアはその間のお世話がかりです。
以上補足でした。
これからもよろしくお願いします!
byクロ猫
その子がなぜ生まれたのかはわからない。人間に無理やり産ませたのか、当時、戦争の最中で芽生えた恋なのかは今となってはわからないが、魔王の子は父親を殺した今の魔王と、当時敵対していた人族を恨みその復讐から戦争になったのだ。前の世界ではまだまだだ先のはずだったが、、、。
それもそのはずだ、本来ならフランが彼らにその国の情報を渡すことで彼らはガンディラス帝国を攻め落とし占拠するにいたったのだから。
自分が優位に立ちたいがため、助かりたいがために同盟国を売ったのだ。
「フラン?顔色が悪いが、どうかした?」
「!ご、ごめんなさい」
「何も謝ることはないよ。魔族なんて聞いて怖いだろうけど大丈夫。お前のことは俺が守るからな」
「、、、」
怖いと思うのは本当、でもそれは家族を、身近な人をなくすことへの恐怖だ。未来を変えてしまったからもう先の未来がどうなっているのかよくわからない。前までは大まかなところは変わっていなかったとしても、年単位のずれがでてしまった今では、もうこの先の未来は体験した未来とは別物と言えるだろう。記憶の手がかりすらなくなってしまった今どうすればいいのかわからない。
「兄様、い、一度戻ったら、、、」
「確かにそれも最善かもしれないがここまで来たら戻れない。大丈夫念のために騎士団の精鋭を連れてきているし援軍も頼んであるから、フランはロイドと一緒にいるんだ。絶対に離れては行けないよ」
「、、、うん」
今のアルディナはフランを連れてきてしまったことを少なからず後悔しているだろう。もしもただの野党やどこかの国との戦争であれば多少の援助をすればいいのだろうが魔族であるのなら話が違ってくる。魔族は人族にとって脅威の存在、彼らが攻めてきた場合は人族すべての問題と言っても過言ではないのだから。
何日か過ぎたのち、ようやく監察館に近づいてきた。監察館に近づくにつれ心臓がドキドキと早く鼓動する。手には汗が滲み出しているし少し息苦しく感じる。
「フラン」
「!?、、、兄様?」
「大丈夫」
ただの言葉なのになぜだかその言葉には説得力があった。
優しく美しい皇太子、フランはそのぐらいしか知らない。戦っているところなんてフランはあまり見たことがない。ただたまにルディアンと稽古している時に、あのルディアンがボロボロであるのに兄様は汚れひとつもないのだからそれほど強いということはわかってはいる。わかってはいるけれどが実感が湧かないのだ。強くともいつか重傷を負ってしまうかもしれない。死んでしまうかもしれない。そう思うと、、、。
「、、、っ」
「あぁ!な、泣かないでくれ、お前に泣かれてしまうとどうすればいいのかわからなくなってしまう」
「ぐすっ、にいさま」
「うん?」
「怪我しないで、絶対に、、、約束して、、、」
「!あぁ、あぁ、もちろんだ。約束しよう。無傷でお前の元に帰ってくるよ」
「、、、、うん」
今この瞬間でフランはただのお荷物でしかない。自分にはみんなの様に戦えるようなちからはないのだから。ただ祈ることしかできない。こんな罪人の祈りを神様が聞いてくれるかわからないけどそれでもただただ祈るしかできない。こんな自分によくしてくれる人たちの無事を祈ることしか、、、。
何か自分でもできることがあればいいんだけど、、、。
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《 ~補足~ 》
話の中に書き忘れてしまったため補足します。
レイとアリアはどうしたんだろうっと思った方も少なからずいると思います。
私も書いてて思いました。自分の中で自己完結してましたすいませんm(._.)m
レイとアリアはアレリア国でお留守番になってます。レイはあぁ見えて神獣なので流石に連れて行くことができずフランがすっごく頑張って説得してお留守番してくれています。アリアはその間のお世話がかりです。
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