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3章 不識と無情
10話
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馬車に乗っている間に詳しい話を聞いた。
ガンディラス帝国とは先代の国王陛下とガンディラス国の先代国王が友人であったことで、陛下も同様によく遊んでもらったようだ。現国王陛下らも年が近く、幼い頃からよくあっていたため先代達のように仲良く、そして国同士もいい関係を築いていた。
両国にとって平等で友好的な交易もしており私情なしにしてもいい関係を結んでいた。しかしここ数ヶ月ほどろくに連絡が取れなくなってしまったのだ。いつもなら一ヶ月、長くても二ヶ月に一度ほどに連絡を取り合っていた。それがぱったりとなくなり、不審に思い視察に出したもの達も戻っていない。
連絡が取れず、視察に行ったもの達は戻ってこない。国としても友人としても黙っていられなくなったのだという。
「、、、」
フランは嫌な予感が止まらなかった。前の人生でこんな時期にこんなことは起こらなかった。変わらず友好的な関係を続けていたはずなのだ。ただまだ先の数年後の話だが、ガンディラス国は滅びることになる。
「フラン?どうかした?」
「!なんでもない、、、」
「心配しなくても大丈夫。お前のことは俺が守るし、あいつもタダでやられるような奴じゃない」
もし襲われたらっと怖がっていると思われたのか優しい言葉をかけながら頭を撫でてくれる。
「、、、兄様はやっぱりガンディラス国が攻められていると思ってる?」
「そう、だね。あまり信じたくないが、、、連絡が一切取れず視察団も戻ってこないとなるとそう考えざるおえない。監察館に行けばわかるはずだ。あそこには記録結晶がおいてあるからね」
「!そんな貴重な物まで、、、」
記録結晶はそれ一個で平民なら一生暮らしていけるほどの価値がある。媒体となる専用の魔鉱石の採取量が少なく、しかも製作過程がとても難しく、また作れる職人が数えるほどしかいない。
魔力を覚える機能があるため魔力を流しながら話すことで言葉を記録することができるのだ。
しかも、まだ先の話だがいずれ媒体となる魔鉱石が大量に発見される時が来る。そうなれば希少価値は下がってしまい、研究も進み、多少裕福な平民であれば持てるようになった。それに、さらに研究が進んでいれば誰しもが持つようになっていただろう。
そして、使い方や機能性が上がったことで国同士の交易や商人などはより商売もしやすくなり国はより発展することになった。
「監察館はいわば国と国をつなげる橋のような物だからね。貴重なものはいくつかあるんだ」
「そう、なんだ、、、」
視察団が向かったのはその監察館だ。そこからの連絡もなく、転移してこなかったということは最悪、監察館自体がすでに堕ちているかもしれない。そのことにはもちろん兄様も気づいているだろうが、、、。まだ確実じゃないことをやすやすと言えないのだろう。
「殿下」
「!どうした」
「先に行った部隊から連絡が届きました」
「報告を」
「はい。門前に立っているはずの門番はおらず、中も静まり返っておりました。罠のように感じたのであまり近づきませんでしたが監察館の周りに魔力の反応もありました」
「結界ではなくか?」
「はい。結界を施したものに聞きましたが自分の魔力ではないと」
「そうか、、、」
「それと、、、」
「なんだ」
騎士はチラッとフランを見た後、ためらったように再度口を開いた。
「かすかにですが闇魔法の反応を感知しました」
「!確かだな」
「はい」
闇魔法は魔族が使う力だ。稀に人族にも闇魔法を使えるものもいるがその力もそこまで強くない。離れた場所から感知できるほどの魔力であるのなら魔族である可能性が大きいだろう。
「魔族か、、、平和協定を結んでからここ数十年その姿を見たと言う報告はなかったはずだが、、、なぜ今」
およそ80年ほど前に人族と魔族とで平和協定を交わした。魔族との戦争を続けていても両者とも死者が増えるだけの不毛な戦いは魔族の王であった魔王を、戦争をやめたいと願った彼のその息子によって殺され終戦となった。
そしてそのものが次代の王となり人族との間に平和協定を交わしたのだ。
それから数十年魔族は魔界へと下がり人間界には出てきていないはずだったのだ。
「わかりません。魔族側との契約は魔法契約、破られるはずがありません」
「あぁ、考えうるのは、、、」
騎士と兄様が難しい顔を話しているがフランはそれどころではなかった。
騎士がいった魔族は前の世界でガンディラス国が滅ぶきっかけとなった者なのだから、、、。
ガンディラス帝国とは先代の国王陛下とガンディラス国の先代国王が友人であったことで、陛下も同様によく遊んでもらったようだ。現国王陛下らも年が近く、幼い頃からよくあっていたため先代達のように仲良く、そして国同士もいい関係を築いていた。
両国にとって平等で友好的な交易もしており私情なしにしてもいい関係を結んでいた。しかしここ数ヶ月ほどろくに連絡が取れなくなってしまったのだ。いつもなら一ヶ月、長くても二ヶ月に一度ほどに連絡を取り合っていた。それがぱったりとなくなり、不審に思い視察に出したもの達も戻っていない。
連絡が取れず、視察に行ったもの達は戻ってこない。国としても友人としても黙っていられなくなったのだという。
「、、、」
フランは嫌な予感が止まらなかった。前の人生でこんな時期にこんなことは起こらなかった。変わらず友好的な関係を続けていたはずなのだ。ただまだ先の数年後の話だが、ガンディラス国は滅びることになる。
「フラン?どうかした?」
「!なんでもない、、、」
「心配しなくても大丈夫。お前のことは俺が守るし、あいつもタダでやられるような奴じゃない」
もし襲われたらっと怖がっていると思われたのか優しい言葉をかけながら頭を撫でてくれる。
「、、、兄様はやっぱりガンディラス国が攻められていると思ってる?」
「そう、だね。あまり信じたくないが、、、連絡が一切取れず視察団も戻ってこないとなるとそう考えざるおえない。監察館に行けばわかるはずだ。あそこには記録結晶がおいてあるからね」
「!そんな貴重な物まで、、、」
記録結晶はそれ一個で平民なら一生暮らしていけるほどの価値がある。媒体となる専用の魔鉱石の採取量が少なく、しかも製作過程がとても難しく、また作れる職人が数えるほどしかいない。
魔力を覚える機能があるため魔力を流しながら話すことで言葉を記録することができるのだ。
しかも、まだ先の話だがいずれ媒体となる魔鉱石が大量に発見される時が来る。そうなれば希少価値は下がってしまい、研究も進み、多少裕福な平民であれば持てるようになった。それに、さらに研究が進んでいれば誰しもが持つようになっていただろう。
そして、使い方や機能性が上がったことで国同士の交易や商人などはより商売もしやすくなり国はより発展することになった。
「監察館はいわば国と国をつなげる橋のような物だからね。貴重なものはいくつかあるんだ」
「そう、なんだ、、、」
視察団が向かったのはその監察館だ。そこからの連絡もなく、転移してこなかったということは最悪、監察館自体がすでに堕ちているかもしれない。そのことにはもちろん兄様も気づいているだろうが、、、。まだ確実じゃないことをやすやすと言えないのだろう。
「殿下」
「!どうした」
「先に行った部隊から連絡が届きました」
「報告を」
「はい。門前に立っているはずの門番はおらず、中も静まり返っておりました。罠のように感じたのであまり近づきませんでしたが監察館の周りに魔力の反応もありました」
「結界ではなくか?」
「はい。結界を施したものに聞きましたが自分の魔力ではないと」
「そうか、、、」
「それと、、、」
「なんだ」
騎士はチラッとフランを見た後、ためらったように再度口を開いた。
「かすかにですが闇魔法の反応を感知しました」
「!確かだな」
「はい」
闇魔法は魔族が使う力だ。稀に人族にも闇魔法を使えるものもいるがその力もそこまで強くない。離れた場所から感知できるほどの魔力であるのなら魔族である可能性が大きいだろう。
「魔族か、、、平和協定を結んでからここ数十年その姿を見たと言う報告はなかったはずだが、、、なぜ今」
およそ80年ほど前に人族と魔族とで平和協定を交わした。魔族との戦争を続けていても両者とも死者が増えるだけの不毛な戦いは魔族の王であった魔王を、戦争をやめたいと願った彼のその息子によって殺され終戦となった。
そしてそのものが次代の王となり人族との間に平和協定を交わしたのだ。
それから数十年魔族は魔界へと下がり人間界には出てきていないはずだったのだ。
「わかりません。魔族側との契約は魔法契約、破られるはずがありません」
「あぁ、考えうるのは、、、」
騎士と兄様が難しい顔を話しているがフランはそれどころではなかった。
騎士がいった魔族は前の世界でガンディラス国が滅ぶきっかけとなった者なのだから、、、。
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