56 / 106
四冊目 りんごあめと白雪王子 ~絶対恋愛関係にならない二人の最後の夏休み
眠り姫と白雪王子 ……①
しおりを挟む
ふと気づけば、意識もうろうとしながら身体をひくひく震わせている光が自分の下にいた。まずいことに、それまでの記憶があまりない。いや、光にいきなりフェラをされて、もうどうにでもなれと押し倒したことは確かに覚えているのだが……。
(しまった……やらかした)
その身体中にべたべたの精液を纏ったまま、恍惚とした表情で光は気絶しかけていた。ゼイゼイと荒い音でめちゃくちゃに乱れた息をしながら、ぐったり横たわっている。
結局、足腰の立たなくなった光を抱きかかえながら風呂に入り、身体を洗って、浴槽に浸からせ、拭いてやるという一連の介助までする羽目になってしまい、勝行は猛反省のため息をついた。
「……おま……ためすぎ……」
「ごめん……」
「王子様みたいなツラして……やる事えげつねえ……」
「だ、だからごめんって……」
お前が自制心崩壊させるようなことばっかりするから――。
なんて言えるわけもなく。
声が枯れるほど喘いでイキまくり、精魂尽き果て、挙句湯あたりした光は、頬を真っ赤に染めて旅館の布団の上に転がった。
扱き合い以上のことはしていないはず……はずなのだが、怖くてどこまでやってしまったのか、聞くこともできない。完全に理性が飛んでしまったとはいえ、穴があったら頭上までガッツリ入りたい気分である。
「――もう俺……ねたい……」
「髪の毛、乾かしてないぞ」
「おきれない……」
「風邪ひくから、ちゃんと拭いて。……ほら、やってあげるから、起きて」
「んー……」
目をこすり、ウトウトしながら起き上がってきた光の身体の後ろに座り込み、背もたれの代わりになりながら、勝行は光の髪をタオルでがしがしと拭き上げた。されるがままの光の体温は、風呂上りとはいえかなり熱がこもっている。
せっかく退院できたのに、今にも再び寝込んでしまいそうな疲労具合である。
「今日は色々うまくいかないことだらけだ……」
「んー、なに……?」
「……あまりお前の療養になってなくて」
「ああ……それ……別に……」
「ほんとごめん……」
「うっさいな……」
否定も肯定もせず、光は眠そうな声をあげて傍にあった腕にしがみつくと、胡坐をかいて座っていた勝行ごと、ごろんと布団に寝転がった。
突然の引力に逆らえず、勝行も思わず布団の上に倒れ込む。
「なっ、なに……っ」
そのまま寝転がった勝行をぎゅうと抱きしめると、すり寄るように頬を身体に擦りつけ、欠伸を漏らした。
「ねむ……なぁ……おやすみのキスは……まだ……?」
「えっ、光……?」
眠そうにしながらも、べったりしがみついて離れない。寝る前のおやすみのキスを強請るにしても、この体制ではどうしようもない。風呂上りの身体の火照りも残ったままだし、ついさっきの愚行を思い出すとまた顔が熱くなってしまう。
勝行はその腕の中で戸惑いながら、そっと光を覗き見た。
もう、あっという間に寝落ちてしまっている。
「……俺、抱き枕じゃないんだけどな。……まあ、いいけど……」
やり切れない気持ちの腹いせに耳を撫ぜ、頬をつねると、鼻から抜けるような可愛い声が小さく漏れる。
とはいえ、力尽きて即寝落ちてしまっても致し方ない。
山道を散々走らせたり、はしゃぎ回った挙句、風呂場で自分の自制心が吹っ飛んでしまったが故の若気の至り。
退院したばかりの病み上がりの身体に、体力尽き果てるまで疲れることばかりさせてしまった。これでは療養にならない。
けしかけられたから仕方ない……と責任転嫁してみても、やはりここは自分がちゃんと抑えるべきだった、と再び反省に戻る。
「あっつ……。クーラーつけていいかな……」
子どもみたいな体温の光に抱きつかれていては、ちっとも汗が引かない。寝汗がひどいと、光がまた風邪をひくかもしれないと思った勝行は、その腕の中からそっと抜け出し、近くにあったクーラーのリモコンスイッチをオンにした。
冷房は入浴中にタイマーで一度切れていたようだ。
「ん……んー……」
急にいなくなった勝行の身体を求めるように、光の腕が敷布の上をするすると徘徊する。
「どっか……いくなぁ……」
「ああ、ごめん。……起きてるのか?」
ついでに照明をひとつばかり薄暗くして、慌てて布団の上に戻ると、気配でわかったらしい光が再びその身体を求めてきた。けれど、その目はまったく開かない。やっぱり寝てるのか、と思いながら、勝行は求められるまま再び隣に添い寝した。
「なんでそんなにしがみつくかな。可愛いけど……あっついよ」
「んん……」
すぐそばにあるまだ乾ききっていない光の柔らかい髪を撫でてシャンプーの香りを愉しんでいると、光はふにゃふにゃとしまらない笑顔を零しながら、気持ちよさそうに寝息をたてている。
「う……かわいい……」
(しまった……やらかした)
その身体中にべたべたの精液を纏ったまま、恍惚とした表情で光は気絶しかけていた。ゼイゼイと荒い音でめちゃくちゃに乱れた息をしながら、ぐったり横たわっている。
結局、足腰の立たなくなった光を抱きかかえながら風呂に入り、身体を洗って、浴槽に浸からせ、拭いてやるという一連の介助までする羽目になってしまい、勝行は猛反省のため息をついた。
「……おま……ためすぎ……」
「ごめん……」
「王子様みたいなツラして……やる事えげつねえ……」
「だ、だからごめんって……」
お前が自制心崩壊させるようなことばっかりするから――。
なんて言えるわけもなく。
声が枯れるほど喘いでイキまくり、精魂尽き果て、挙句湯あたりした光は、頬を真っ赤に染めて旅館の布団の上に転がった。
扱き合い以上のことはしていないはず……はずなのだが、怖くてどこまでやってしまったのか、聞くこともできない。完全に理性が飛んでしまったとはいえ、穴があったら頭上までガッツリ入りたい気分である。
「――もう俺……ねたい……」
「髪の毛、乾かしてないぞ」
「おきれない……」
「風邪ひくから、ちゃんと拭いて。……ほら、やってあげるから、起きて」
「んー……」
目をこすり、ウトウトしながら起き上がってきた光の身体の後ろに座り込み、背もたれの代わりになりながら、勝行は光の髪をタオルでがしがしと拭き上げた。されるがままの光の体温は、風呂上りとはいえかなり熱がこもっている。
せっかく退院できたのに、今にも再び寝込んでしまいそうな疲労具合である。
「今日は色々うまくいかないことだらけだ……」
「んー、なに……?」
「……あまりお前の療養になってなくて」
「ああ……それ……別に……」
「ほんとごめん……」
「うっさいな……」
否定も肯定もせず、光は眠そうな声をあげて傍にあった腕にしがみつくと、胡坐をかいて座っていた勝行ごと、ごろんと布団に寝転がった。
突然の引力に逆らえず、勝行も思わず布団の上に倒れ込む。
「なっ、なに……っ」
そのまま寝転がった勝行をぎゅうと抱きしめると、すり寄るように頬を身体に擦りつけ、欠伸を漏らした。
「ねむ……なぁ……おやすみのキスは……まだ……?」
「えっ、光……?」
眠そうにしながらも、べったりしがみついて離れない。寝る前のおやすみのキスを強請るにしても、この体制ではどうしようもない。風呂上りの身体の火照りも残ったままだし、ついさっきの愚行を思い出すとまた顔が熱くなってしまう。
勝行はその腕の中で戸惑いながら、そっと光を覗き見た。
もう、あっという間に寝落ちてしまっている。
「……俺、抱き枕じゃないんだけどな。……まあ、いいけど……」
やり切れない気持ちの腹いせに耳を撫ぜ、頬をつねると、鼻から抜けるような可愛い声が小さく漏れる。
とはいえ、力尽きて即寝落ちてしまっても致し方ない。
山道を散々走らせたり、はしゃぎ回った挙句、風呂場で自分の自制心が吹っ飛んでしまったが故の若気の至り。
退院したばかりの病み上がりの身体に、体力尽き果てるまで疲れることばかりさせてしまった。これでは療養にならない。
けしかけられたから仕方ない……と責任転嫁してみても、やはりここは自分がちゃんと抑えるべきだった、と再び反省に戻る。
「あっつ……。クーラーつけていいかな……」
子どもみたいな体温の光に抱きつかれていては、ちっとも汗が引かない。寝汗がひどいと、光がまた風邪をひくかもしれないと思った勝行は、その腕の中からそっと抜け出し、近くにあったクーラーのリモコンスイッチをオンにした。
冷房は入浴中にタイマーで一度切れていたようだ。
「ん……んー……」
急にいなくなった勝行の身体を求めるように、光の腕が敷布の上をするすると徘徊する。
「どっか……いくなぁ……」
「ああ、ごめん。……起きてるのか?」
ついでに照明をひとつばかり薄暗くして、慌てて布団の上に戻ると、気配でわかったらしい光が再びその身体を求めてきた。けれど、その目はまったく開かない。やっぱり寝てるのか、と思いながら、勝行は求められるまま再び隣に添い寝した。
「なんでそんなにしがみつくかな。可愛いけど……あっついよ」
「んん……」
すぐそばにあるまだ乾ききっていない光の柔らかい髪を撫でてシャンプーの香りを愉しんでいると、光はふにゃふにゃとしまらない笑顔を零しながら、気持ちよさそうに寝息をたてている。
「う……かわいい……」
0
あなたにおすすめの小説
マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー
夏目碧央
BL
強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。
一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
病んでる愛はゲームの世界で充分です!
書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。
幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。
席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。
田山の明日はどっちだ!!
ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。
BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。
11/21
本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
【完結】俺とあの人の青い春
月城雪華
BL
高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。
けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。
ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。
けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。
それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。
「大丈夫か?」
涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
