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Lv.1 ゲームフレンド ≧ リア友

18 可愛いかわいい、僕の友人

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「ケイター!」
 
 翌月曜日。
 意を決して乗り込んだ車内には、十日ぶりに見かける太一の笑顔があった。いつもの倍以上の可愛さに進化している気がする。
 昨日という日が終わるまで、悩みに悩んでキリキリ傷んだ胃が一瞬で完治した。圭太はほっと胸を胸を撫で下ろしつつ、用意してくれた隣の席に座り込む。
 
「お、おはよう」
「いやあごめんな、全然一緒に行けなくて」
「ああ……えっと……」
「こないだ、親と焼肉行ってたの。そのあと腹壊してグロッキーになっちまってさあ。ほら、今って熱出たり体調悪かったらすぐ登校禁止食らうじゃん? ハライタでも熱出るもんなんだな」
「や、焼肉ぅ?」
「肉は旨かったんだけどなあー。で、しばらく休むって連絡したかったんだけど、ケイタとライン交換してないことうっかり忘れてて。ケイタが何組なのかも聞いてなかった気がしてさあ。連絡できんくってごめん!」
「うっかり……って……」
「いやー俺って本当どんくさいな。しかも布団の中で寝ぼけてケイタのフレンド解除しちまったみたい。もー最悪だよー、悪いけど、もっかい交換してくれない?」
「そ、それはいいけど。その……」
「あとラインも頼むー! 冬になったら俺、朝が弱くて。寝坊しまくって乗り遅れる予感しかしないんだよね!」

 矢継ぎ早に聞きたかったことをペラペラと告げられ、圭太は頭が真っ白になってしまった。 
 こちらからどうやって聞こうかと必死に考えていたのに。あんなに嫌われたらどうしようだの、変な噂のせいで太一に迷惑がかかったらと一人悩み続けていたというのに。

 思いおこせば、アプリを始めた時からうっかり者だったエピソードがあった。おまけにフレンド解除のことを、「された」と思っていない。自分がうっかり「して」しまったと思い込んで、それを素直に報告してくれるあたり、彼はやっぱり裏も表もない素直な人なのだ。現実で一番推したいと思った、可愛い可愛い僕の友人。
 太一に何も言い出せないまま、勝手に一喜一憂してた自分が情けなくて、今度は笑いが止まらなくなる。
 
「はは……ははは……」
「え、ケイタどうしたん。泣いてるの……笑ってるの?」
「うん。太一に会えなくて泣きたくなってたけど、やっと会えたから笑ってる」
 
 思った以上にするっと彼の本名も出してしまった。けれど太一はくるくる動く目元を緩めて、圭太の好きな屈託ない笑顔を見せてくれた。
 
「俺もだよ!」 
 
 それから二人は、途中乗車の滝沢と合流した。
 まずは「初めまして」の挨拶。
 そしてもう一度フレンドコードの交換をしよう。明日からは待ち合わせも、朝のFCOタイムも、三人でやらないかと提案しながら。


<つづく>
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