18 / 33
Lv.1 ゲームフレンド ≧ リア友
18 可愛いかわいい、僕の友人
**
「ケイター!」
翌月曜日。
意を決して乗り込んだ車内には、十日ぶりに見かける太一の笑顔があった。いつもの倍以上の可愛さに進化している気がする。
昨日という日が終わるまで、悩みに悩んでキリキリ傷んだ胃が一瞬で完治した。圭太はほっと胸を胸を撫で下ろしつつ、用意してくれた隣の席に座り込む。
「お、おはよう」
「いやあごめんな、全然一緒に行けなくて」
「ああ……えっと……」
「こないだ、親と焼肉行ってたの。そのあと腹壊してグロッキーになっちまってさあ。ほら、今って熱出たり体調悪かったらすぐ登校禁止食らうじゃん? ハライタでも熱出るもんなんだな」
「や、焼肉ぅ?」
「肉は旨かったんだけどなあー。で、しばらく休むって連絡したかったんだけど、ケイタとライン交換してないことうっかり忘れてて。ケイタが何組なのかも聞いてなかった気がしてさあ。連絡できんくってごめん!」
「うっかり……って……」
「いやー俺って本当どんくさいな。しかも布団の中で寝ぼけてケイタのフレンド解除しちまったみたい。もー最悪だよー、悪いけど、もっかい交換してくれない?」
「そ、それはいいけど。その……」
「あとラインも頼むー! 冬になったら俺、朝が弱くて。寝坊しまくって乗り遅れる予感しかしないんだよね!」
矢継ぎ早に聞きたかったことをペラペラと告げられ、圭太は頭が真っ白になってしまった。
こちらからどうやって聞こうかと必死に考えていたのに。あんなに嫌われたらどうしようだの、変な噂のせいで太一に迷惑がかかったらと一人悩み続けていたというのに。
思いおこせば、アプリを始めた時からうっかり者だったエピソードがあった。おまけにフレンド解除のことを、「された」と思っていない。自分がうっかり「して」しまったと思い込んで、それを素直に報告してくれるあたり、彼はやっぱり裏も表もない素直な人なのだ。現実で一番推したいと思った、可愛い可愛い僕の友人。
太一に何も言い出せないまま、勝手に一喜一憂してた自分が情けなくて、今度は笑いが止まらなくなる。
「はは……ははは……」
「え、ケイタどうしたん。泣いてるの……笑ってるの?」
「うん。太一に会えなくて泣きたくなってたけど、やっと会えたから笑ってる」
思った以上にするっと彼の本名も出してしまった。けれど太一はくるくる動く目元を緩めて、圭太の好きな屈託ない笑顔を見せてくれた。
「俺もだよ!」
それから二人は、途中乗車の滝沢と合流した。
まずは「初めまして」の挨拶。
そしてもう一度フレンドコードの交換をしよう。明日からは待ち合わせも、朝のFCOタイムも、三人でやらないかと提案しながら。
<つづく>
「ケイター!」
翌月曜日。
意を決して乗り込んだ車内には、十日ぶりに見かける太一の笑顔があった。いつもの倍以上の可愛さに進化している気がする。
昨日という日が終わるまで、悩みに悩んでキリキリ傷んだ胃が一瞬で完治した。圭太はほっと胸を胸を撫で下ろしつつ、用意してくれた隣の席に座り込む。
「お、おはよう」
「いやあごめんな、全然一緒に行けなくて」
「ああ……えっと……」
「こないだ、親と焼肉行ってたの。そのあと腹壊してグロッキーになっちまってさあ。ほら、今って熱出たり体調悪かったらすぐ登校禁止食らうじゃん? ハライタでも熱出るもんなんだな」
「や、焼肉ぅ?」
「肉は旨かったんだけどなあー。で、しばらく休むって連絡したかったんだけど、ケイタとライン交換してないことうっかり忘れてて。ケイタが何組なのかも聞いてなかった気がしてさあ。連絡できんくってごめん!」
「うっかり……って……」
「いやー俺って本当どんくさいな。しかも布団の中で寝ぼけてケイタのフレンド解除しちまったみたい。もー最悪だよー、悪いけど、もっかい交換してくれない?」
「そ、それはいいけど。その……」
「あとラインも頼むー! 冬になったら俺、朝が弱くて。寝坊しまくって乗り遅れる予感しかしないんだよね!」
矢継ぎ早に聞きたかったことをペラペラと告げられ、圭太は頭が真っ白になってしまった。
こちらからどうやって聞こうかと必死に考えていたのに。あんなに嫌われたらどうしようだの、変な噂のせいで太一に迷惑がかかったらと一人悩み続けていたというのに。
思いおこせば、アプリを始めた時からうっかり者だったエピソードがあった。おまけにフレンド解除のことを、「された」と思っていない。自分がうっかり「して」しまったと思い込んで、それを素直に報告してくれるあたり、彼はやっぱり裏も表もない素直な人なのだ。現実で一番推したいと思った、可愛い可愛い僕の友人。
太一に何も言い出せないまま、勝手に一喜一憂してた自分が情けなくて、今度は笑いが止まらなくなる。
「はは……ははは……」
「え、ケイタどうしたん。泣いてるの……笑ってるの?」
「うん。太一に会えなくて泣きたくなってたけど、やっと会えたから笑ってる」
思った以上にするっと彼の本名も出してしまった。けれど太一はくるくる動く目元を緩めて、圭太の好きな屈託ない笑顔を見せてくれた。
「俺もだよ!」
それから二人は、途中乗車の滝沢と合流した。
まずは「初めまして」の挨拶。
そしてもう一度フレンドコードの交換をしよう。明日からは待ち合わせも、朝のFCOタイムも、三人でやらないかと提案しながら。
<つづく>
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。