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Lv.2 濃厚接触ゲーム
6 苦手な友人の友人
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あんなに落ち込んでいた割には、二人とも学校では元気そうだ。おまけに滝沢はもう新しいバイト先を見つけたという。なんとも逞しい。それを聞いた太一が車内で「放課後、食べにいくわ」と嬉しそうに語っていたので、飲食店なんだろうなという察しはつくものの、どこの店なのか聞きそびれてしまった。
今日も就職組と進学組で分かれる授業の日。滝沢を含む就職希望者数人がいなくなった教室はどこか静かで余所余所しい。
そのせいか知らないが、歩夢の機嫌はすこぶる悪い。進路別授業でも席は隣同士のままだし、居心地の悪さが半端ない。
(滝沢がいたら突っかかってくるけど、いない時は完全に無視するし。嫌われてるんだろうな、僕)
まあ別に、気が合わない人間とは極力関わらない方がいいのだ。現実世界にもブロック機能、マジでほしいとため息が漏れる。見えなければ最初から気にする必要もないというのに。
しかし授業中に「隣の席の奴と答え合わせ」と言われ、舌打ちしてしまった。向こうも物凄く嫌そうな顔でこちらを睨みつけている。早く次の席替えシーズンになってほしい。二年に上がってからは、授業中が最も苦痛だ。
憂鬱な気持ちを抱えたまま、課題の終わったノートを無言で歩夢に突き出す。だが歩夢からは何の反応もない。こちらを振り向こうとともしないし、隣とはいえ距離があってお互い手を伸ばさないと届かない。宙に浮いたままのノートがいたたまれなくなる。
「なあ歩夢――」
あからさまな無視に腹が立ってきた圭太は、ガタンと席を立った。いつも滝沢や太一が傍に来る時の距離感を意識して、わざと見下し睨んでみる。
「……んだよ」
「ノート」
「はあ⁉ こっち来なくてもいいだろうが」
一触即発の空気がピリピリ流れる中、一応こういう口はきいてくれるのかと失笑する。お前が無視するからわざわざ持ってきてやったのに……苛つく感情が今にも口からこぼれそうになるが、圭太はぐっと言葉を飲み込んだ。それからノートを投げるように置き、代わりに歩夢のノートを預かって自席に戻った。歩夢のわざとらしい舌打ちが背中に突き刺さる。
(キレるな、キレるな。どうせこんな奴に関わったってろくな目に合わないんだ……)
高校生になった以上、こんなつまらないことでキレたりしたくない。無駄に敵を作って孤立したくない。……中学生の時のような地獄はごめんだ。圭太は握りしめた拳に爪を立てた。終わらない授業時間を耐え抜く方法は、それしか思いつかなかった。
……
…… ……
「なあサエ。今日の放課後、歩夢と一緒に俺のバイト先に来いよ」
そんなこんなで彼とは冷戦状態だというのに、滝沢からとんでもない提案が飛んできた。圭太は思わず「行かない」と首を横に振った。
「だいたい放課後に寄り道なんて……」
「三枝いやがってんじゃん、無理に誘わなくても」
後ろで話を聞いていた歩夢が庇うように助け船を出してくる。無理に誘ってるっていうより、お前が一緒に行きたくないだけだろう、と卑屈に捉えていると、滝沢は耳元に整った顔を近づけて小声で話しかけてきた。
「太一も誘ったら、今日来るって言ってた。ワンチャン、一緒に帰れるかもよ」
「うっ……」
「サエだってほんとは買い食いしたいんだろ、リア友と。前にそう言ってたじゃん」
誘惑のようなその言葉に心が揺らぐ。太一と出会えるなら是非とも席に座り込んで待ち伏せしたい。それに学校からは寄り道を推奨されていないけれど、禁止でもない。学食すらろくに開いていない現状、食べ盛りの学生が帰宅前に買い食いすることに関しては黙認されているようだから、問題はないだろう。だが歩夢と一緒にというのは、なんとも地獄絵図すぎて……。向こうはあからさまに「来るな」という感情が顔に出ているし、二の足を踏んでしまう。
「……どこの店なんだよ」
「通学路にあるマック。スマイルは0円にまけといてやる」
「スマイルいらない」
「サエひどい。俺のスマイル、結構人気あるのに」
「そもそも最初っから0円だろ」
「冷たい、サエ……善良な勤労学生の俺からやる気を奪うのか……」
自分の顔面に自信がある男、滝沢はさめざめと泣き崩れる。今度は泣き落としときたか。
それを冷ややかな目で見つめつつも、圭太は「……行ってもいいけど、歩夢には悪いから一人で行く」と譲歩せざるを得なかった。
「マジで? やった!」
「……は、腹が減ってるからだ。あと今週から始まったチキンナゲット15ピース390円、食いたい」
その理由を裏付けるかのように、圭太の腹の音がぐぅうと派手に鳴った。
人間だもの。空腹と好奇心には勝てないのだ。滝沢と歩夢はその言葉と音を聞いて、けらけらと笑い転げていた。
あんなに落ち込んでいた割には、二人とも学校では元気そうだ。おまけに滝沢はもう新しいバイト先を見つけたという。なんとも逞しい。それを聞いた太一が車内で「放課後、食べにいくわ」と嬉しそうに語っていたので、飲食店なんだろうなという察しはつくものの、どこの店なのか聞きそびれてしまった。
今日も就職組と進学組で分かれる授業の日。滝沢を含む就職希望者数人がいなくなった教室はどこか静かで余所余所しい。
そのせいか知らないが、歩夢の機嫌はすこぶる悪い。進路別授業でも席は隣同士のままだし、居心地の悪さが半端ない。
(滝沢がいたら突っかかってくるけど、いない時は完全に無視するし。嫌われてるんだろうな、僕)
まあ別に、気が合わない人間とは極力関わらない方がいいのだ。現実世界にもブロック機能、マジでほしいとため息が漏れる。見えなければ最初から気にする必要もないというのに。
しかし授業中に「隣の席の奴と答え合わせ」と言われ、舌打ちしてしまった。向こうも物凄く嫌そうな顔でこちらを睨みつけている。早く次の席替えシーズンになってほしい。二年に上がってからは、授業中が最も苦痛だ。
憂鬱な気持ちを抱えたまま、課題の終わったノートを無言で歩夢に突き出す。だが歩夢からは何の反応もない。こちらを振り向こうとともしないし、隣とはいえ距離があってお互い手を伸ばさないと届かない。宙に浮いたままのノートがいたたまれなくなる。
「なあ歩夢――」
あからさまな無視に腹が立ってきた圭太は、ガタンと席を立った。いつも滝沢や太一が傍に来る時の距離感を意識して、わざと見下し睨んでみる。
「……んだよ」
「ノート」
「はあ⁉ こっち来なくてもいいだろうが」
一触即発の空気がピリピリ流れる中、一応こういう口はきいてくれるのかと失笑する。お前が無視するからわざわざ持ってきてやったのに……苛つく感情が今にも口からこぼれそうになるが、圭太はぐっと言葉を飲み込んだ。それからノートを投げるように置き、代わりに歩夢のノートを預かって自席に戻った。歩夢のわざとらしい舌打ちが背中に突き刺さる。
(キレるな、キレるな。どうせこんな奴に関わったってろくな目に合わないんだ……)
高校生になった以上、こんなつまらないことでキレたりしたくない。無駄に敵を作って孤立したくない。……中学生の時のような地獄はごめんだ。圭太は握りしめた拳に爪を立てた。終わらない授業時間を耐え抜く方法は、それしか思いつかなかった。
……
…… ……
「なあサエ。今日の放課後、歩夢と一緒に俺のバイト先に来いよ」
そんなこんなで彼とは冷戦状態だというのに、滝沢からとんでもない提案が飛んできた。圭太は思わず「行かない」と首を横に振った。
「だいたい放課後に寄り道なんて……」
「三枝いやがってんじゃん、無理に誘わなくても」
後ろで話を聞いていた歩夢が庇うように助け船を出してくる。無理に誘ってるっていうより、お前が一緒に行きたくないだけだろう、と卑屈に捉えていると、滝沢は耳元に整った顔を近づけて小声で話しかけてきた。
「太一も誘ったら、今日来るって言ってた。ワンチャン、一緒に帰れるかもよ」
「うっ……」
「サエだってほんとは買い食いしたいんだろ、リア友と。前にそう言ってたじゃん」
誘惑のようなその言葉に心が揺らぐ。太一と出会えるなら是非とも席に座り込んで待ち伏せしたい。それに学校からは寄り道を推奨されていないけれど、禁止でもない。学食すらろくに開いていない現状、食べ盛りの学生が帰宅前に買い食いすることに関しては黙認されているようだから、問題はないだろう。だが歩夢と一緒にというのは、なんとも地獄絵図すぎて……。向こうはあからさまに「来るな」という感情が顔に出ているし、二の足を踏んでしまう。
「……どこの店なんだよ」
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「マジで? やった!」
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その理由を裏付けるかのように、圭太の腹の音がぐぅうと派手に鳴った。
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