ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
6 / 81
第1章 成長

第6話 冒険者ギルド

しおりを挟む
「いらっしゃいませ」

 ラッドに案内してもらって冒険者ギルドにやってきた。冒険者ギルドがどこにあるのかも知らないで、入ろうとしていたものだからラッドに笑われちゃった。
 冒険者ギルドに入ると掃除をしていた金髪の綺麗な女性が迎えてくれる。
 綺麗な服装の私と小汚い少年のラッド。いびつな二人なので顔を引きつらせる。

「今日はどういったご用件? 依頼をしに来たのかな?」

 私に話しかけてくる女性。ラッドは匂うから近づかないようにしてるみたい。狼の胃の中の匂いよりは全然いい匂いだけどな。って普通の人は鼻がまがっちゃうか。

「冒険者登録をしに来ました」

「登録……。こっちの子も?」

「そうです」

 女性に答えると彼女は冷や汗をかいてラッドを一瞥した。
 なるほど、身なりで人を選んだのね。それでラッドは門前払いになったわけ。

「つかぬことをお聞きします」

「え? なに?」

「魔法って綺麗にする魔法とかってありますか?」

「綺麗にする魔法? えっと【ウォッシュ】っていう魔法があるけど。魔法は簡単じゃないから。って、ええ!?」

 魔法で身なりを綺麗にできないかな~と思って女性に聞くと魔法名を教えてくれた。口上も必要かと思ったけど、【ウォッシュ】と呟いたらラッドに光が集まって汚かった服や体が綺麗になっていく。

「す、すげえ」

「あ、あなた……魔法使えるのね。凄いわ。逸材だわ!」

 ラッドと女性が私を見つめてくる。
 ギルドの人達も驚いてるように見える。5歳で魔法はやっぱりすごいんだな。エクスプロージョンは絶対に使わないほうがよさそう。

「登録よね! それじゃ受付に座って!」

 ラッドと一緒に受付に座る。すると女性がコホンと一つ咳ばらいをする。

「私はジュディー。これからあなた達の担当受付になります。依頼の報告は私にしてきてくださいね」

「はい……」

 はりきっている様子のジュディーさん。
 まるで金の卵を産む鶏を見つけたような顔になってる。目がお金になってるからわかる。

「私はファムです。こっちがラッド」

「よろしくね。ファムちゃん、ラッド君」

 自己紹介をすると握手をしてくれるジュディーさん。綺麗になったラッド君にも気さくに握手してる。

「登録はこの紙に名前をかいてください。この紙に名前を書くとカード化します。それを使って依頼を受けることが出来るのでなくさずに。なくすとペナルティを受けますのでなくさないでくださいね」

 ジュディーさんに言われて紙に名前を書いていく。
 この世界の言語は習得済み。3歳でマスターしたからこき使われたんだよね~。

「文字……俺書けねえよ」

「大丈夫。私が書くから」

 ラッドが残念そうに呟く。仕方なく書いてあげると嬉しそうに笑う。
 自分で書かなくても大丈夫な様子で、名前を書いた紙を手に持つと名前だけの紙が姿を変える。

「すげえ。これが俺の顔?」

「免許証みたいね」

 掌サイズの紙が免許証のように顔写真が乗る。年齢と職業まで書かれてる。私とラッドはまだ無職だけどね。

「前科はこれから行うと乗るようになってしまうわ。気を付けてねラッド君」

「え?」

「あなたは有名人だから」

 ジュディーさんの言葉にラッドが顔を引きつらせる。
 そうか、臭いっていうのもあったかもしれないけど、ラッドは盗みの常習犯だったから避けられてたのか。

「誰でも生き抜くには何かをしなくちゃいけない。これからまっとうに生きていきましょうね」

「は、はい……」

 ラッドの頭を撫でてあげるジュディーさん。彼はみんなから見守られていたのかな。私は彼の背中を押せたのね。よかった。

「早速依頼をしましょうか。こっちに来て」

 ジュディーさんが緑の掲示板の前に案内してくれる。掲示板には沢山の羊皮紙が張られてる。

「冒険者にはランクが設けられています。EランクからD、C、B、A、Sランクまで。依頼にもランクが設けられていて、自分のランクよりも下のランクの依頼をこなすのが普通。なぜだかわかりますか? ラッド君」

「え!? 俺? えっと、死なないためかな? 同じランクだと死にやすい?」

「正解! 凄いじゃない。普通の人は分からないわよ」

 ジュディーさんは正解したラッドを大いに褒める。
 褒めて育てるタイプみたいね。凄いわ。ラッドが凄い舞い上がってる。でも、普通の人がわからないのも無理はないね。ランクが同じ依頼を普通にこなしたいと思うから。

「昇格を狙うには同じランクの依頼をこなす。だけど、死んでしまったら意味がない。EランクやDランクなら採取の依頼が多いから死ぬことはないわ。因みにEランクでも担当が適任だと思ったらAランクの依頼でも受けることが出来る。その人の強さを鑑みてね」

 ジュディーさんはそう言って私にウインクしてくる。
 なるほど、彼女は私に高ランクの依頼をやってほしいのかな。
 今は使えるお金が欲しいから何でもいいんだけど。

「じゃあ、薬草納品やってみる」

「薬草? ある所知ってるの?」

「ああ! 町の外の森にあった。ゴブリンがいるから気をつけないといけないんだけどな」

「ふ~ん。ゴブリンね~」

 ラッドが早速依頼に手を伸ばす。Eランクの依頼の薬草納品。
 この町で育った彼なら薬草を見つけるのも簡単か。それなら私はそのゴブリンの依頼を受けて見守るとしようかな。ゴブリンもEランクだし。

「魔法が使えるならゴブリンでも簡単に倒せるわね。二人とも頑張ってね」

「「はい」」

 ジュディーさんに見送られながらギルドを後にする。
 それにしてもお腹すいたな~。肉串を食べればよかった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト) 前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した 生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ 魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する ということで努力していくことにしました

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

処理中です...