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第1章 成長
第20話 奴隷
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「よし! これで3匹目。レベル上がると結構違うな~」
「私も3匹目」
近くの森にやってきてゴブリンをラッドと一緒に倒す。
夜のあれだけ倒したのにまだまだ沸いてる。私達的には助かるけど、この世界ってどうなってるんだろう?
これだけ魔物が沸くとなると、人よりも数は多くなっていそう。ダンジョンも人が間引きしていないと数がどんどん増えて外へあふれてくる。ダンジョンの外も間引きを怠ると溢れてしまうのかな? そう考えると恐ろしいな~。
「はぁ~、ユマに稼ぎで負ける時がくるとはな~」
「ふふ、弟の成長に嫉妬?」
「嫉妬って……。そんなんじゃねえよ。俺は一人でみんなを養っていこうっと決めてたからな。いつの間にか俺は兄弟を縛り付けていたのかな?」
ラッドの大きなため息。ゴブリンの魔石を見ながら話すからお金を思い浮かべていたんだろうな。
私の問いかけに嬉しそうにニカッと笑うラッド。縛られてたことに気が付いてない彼はとても優しい子。母性をくすぐる子だな~。
「な、なんだよ」
「ううん~、なんでもな~い」
ニヤニヤして見つめていると彼は顔を真っ赤にして見つめてきた。子供のくせに親みたいにみんなを大事にしてる。なんだか微笑ましい。
「お~い! ファムちゃ~ん」
「え? あ! ガストンさん?」
今日はこのくらいでやめておこうと町に帰ろうとしていると、町の方からガストンさんが走ってくるのが見える。
息を切らさずに走ってくる彼は日ごろから鍛えているのがわかる。
「君たちの仲間が迎えに来てたぞ。急いでいってやってくれ」
「え!? 仲間ってみんなネネさんの宿にいるはず?」
ガストンさんの声に首を傾げる。洗濯屋の仕事は朝で終わっちゃったからユマ君はネネさんの宿屋にいる。そうなるとムムちゃんと、ナナちゃんは一緒に休んでるはず。
ドンタ君とドロップ君とネーナちゃんはネネさんの手伝いで働いてるはず。みんな宿屋にいるはずだよね?
「黒い髪の女の子なんだが?」
「「黒髪?」」
この世界に転生して、黒い髪の人は見たことがない。金髪が主で緑やピンクもいる。でも、黒い髪は見たことない。
「その子が俺達を待ってるって言ったんですか?」
「あ、いや。やせ細っていたからな。勝手にファムちゃんの知り合いだと思ってな。適当にスープを飲ませてやったんだが」
ガストンさんはラッドの疑問に答えて頭を掻く。
「とりあえずすぐに向かいます」
「そうしてくれ」
とにかく、城門に向かう。町にはまだ孤児はいると思う。これだけ大きな町だもん、いないわけがない。ラッド達はグループを作っていたから生き残ってこれた。普通の孤児は生き残ることも難しい。人知れず……あまり想像したくないわね。
「おお、来てくれたか。お兄ちゃんとお姉ちゃんが来てくれたぞ~」
城門に帰ってくるとガストンさんの同僚の人が安心して声を上げる。彼は黒髪の少女の頭を撫でてあげてる。
その子はスープを飲みながら輝きを失った瞳で私達を見つめる。
「ファム様?」
「「え?」」
私のことを見つめて声をかけてくる少女。私とラッドは顔を見あう。
「あなたは?」
「……ご主人様。ラッセル様に会いに行けって」
「どういうこと?」
少女はラッセルの名前を出してきた。私は憤りで頭がパンクしそうになる。今すぐあいつの元へ行かないといけないかしら?
「怒らないで、ください。私、ラッセル様の奴隷だった。でも、今日からあなたの奴隷。この首輪、受け取って。献上品」
「……」
少女は泣きながらも話してくれる。ラッセルは私に贈り物をしてきたってこと? 綺麗な顔立ちだけど痩せている奴隷。
私が優しい人間だと調べたのかな……。それでこんな可哀そうな。
「とにかく、宿屋に帰ろうか」
「は、い」
私は黒い笑顔を彼女に向けて声をかける。ラッドは悲しい表情になってる。
「ガストンさんありがとうございました」
「あ、ああ。何かあったら声をかけてくれ。ラッセルなんかと関わるのはやめておけよ。あまりいい噂は聞かないからな」
「ありがとうございます」
ガストンさんにお礼を言って城門前を去る。彼は忠告までしてくれた。本当に優しいな。
「どうしたんだい! その子は!」
ネネさんの宿屋にたどり着くとネネさんが黒髪の少女に気が付いて声を上げる。痩せこけている少女を見ると涙を浮かべる。
「大丈夫、みんな仲間」
「ん!」
ネーナちゃんとドロップ君が彼女に抱き着いて一緒に食事を用意をしてくれる。
「ラッド、これ換金してきて」
「え? ゴブリンの魔石? わかったけど、お前は?」
「私は行くところができちゃったから。夕食には戻る」
「わかったけど、危険な話なら俺も」
ラッドにゴブリンの魔石を手渡して話す。彼の最後の声に私は黒い笑みで答える。
ラッセルには少しきついお灸が必要だからね。ラッドには見せられないよ。
「ラッセル!」
「うお!? な、なんだ!? ってファムさんかい。どうしたんだよいったい? あ! 奴隷を受け取ってくれたか? 同い年くらいの少女はあいつしかいなくてな。すまないな~」
早速ラッセルの家にやってきた。なんとも言えない笑みを浮かべていたから扉をノックするとビルが青い顔で開けてくれたわ。
ラッセルの書斎の部屋の扉を声をあげながら開けると、聞いてもいないことをべらべらと喋ってくる。まったく、この男は。
「私も3匹目」
近くの森にやってきてゴブリンをラッドと一緒に倒す。
夜のあれだけ倒したのにまだまだ沸いてる。私達的には助かるけど、この世界ってどうなってるんだろう?
これだけ魔物が沸くとなると、人よりも数は多くなっていそう。ダンジョンも人が間引きしていないと数がどんどん増えて外へあふれてくる。ダンジョンの外も間引きを怠ると溢れてしまうのかな? そう考えると恐ろしいな~。
「はぁ~、ユマに稼ぎで負ける時がくるとはな~」
「ふふ、弟の成長に嫉妬?」
「嫉妬って……。そんなんじゃねえよ。俺は一人でみんなを養っていこうっと決めてたからな。いつの間にか俺は兄弟を縛り付けていたのかな?」
ラッドの大きなため息。ゴブリンの魔石を見ながら話すからお金を思い浮かべていたんだろうな。
私の問いかけに嬉しそうにニカッと笑うラッド。縛られてたことに気が付いてない彼はとても優しい子。母性をくすぐる子だな~。
「な、なんだよ」
「ううん~、なんでもな~い」
ニヤニヤして見つめていると彼は顔を真っ赤にして見つめてきた。子供のくせに親みたいにみんなを大事にしてる。なんだか微笑ましい。
「お~い! ファムちゃ~ん」
「え? あ! ガストンさん?」
今日はこのくらいでやめておこうと町に帰ろうとしていると、町の方からガストンさんが走ってくるのが見える。
息を切らさずに走ってくる彼は日ごろから鍛えているのがわかる。
「君たちの仲間が迎えに来てたぞ。急いでいってやってくれ」
「え!? 仲間ってみんなネネさんの宿にいるはず?」
ガストンさんの声に首を傾げる。洗濯屋の仕事は朝で終わっちゃったからユマ君はネネさんの宿屋にいる。そうなるとムムちゃんと、ナナちゃんは一緒に休んでるはず。
ドンタ君とドロップ君とネーナちゃんはネネさんの手伝いで働いてるはず。みんな宿屋にいるはずだよね?
「黒い髪の女の子なんだが?」
「「黒髪?」」
この世界に転生して、黒い髪の人は見たことがない。金髪が主で緑やピンクもいる。でも、黒い髪は見たことない。
「その子が俺達を待ってるって言ったんですか?」
「あ、いや。やせ細っていたからな。勝手にファムちゃんの知り合いだと思ってな。適当にスープを飲ませてやったんだが」
ガストンさんはラッドの疑問に答えて頭を掻く。
「とりあえずすぐに向かいます」
「そうしてくれ」
とにかく、城門に向かう。町にはまだ孤児はいると思う。これだけ大きな町だもん、いないわけがない。ラッド達はグループを作っていたから生き残ってこれた。普通の孤児は生き残ることも難しい。人知れず……あまり想像したくないわね。
「おお、来てくれたか。お兄ちゃんとお姉ちゃんが来てくれたぞ~」
城門に帰ってくるとガストンさんの同僚の人が安心して声を上げる。彼は黒髪の少女の頭を撫でてあげてる。
その子はスープを飲みながら輝きを失った瞳で私達を見つめる。
「ファム様?」
「「え?」」
私のことを見つめて声をかけてくる少女。私とラッドは顔を見あう。
「あなたは?」
「……ご主人様。ラッセル様に会いに行けって」
「どういうこと?」
少女はラッセルの名前を出してきた。私は憤りで頭がパンクしそうになる。今すぐあいつの元へ行かないといけないかしら?
「怒らないで、ください。私、ラッセル様の奴隷だった。でも、今日からあなたの奴隷。この首輪、受け取って。献上品」
「……」
少女は泣きながらも話してくれる。ラッセルは私に贈り物をしてきたってこと? 綺麗な顔立ちだけど痩せている奴隷。
私が優しい人間だと調べたのかな……。それでこんな可哀そうな。
「とにかく、宿屋に帰ろうか」
「は、い」
私は黒い笑顔を彼女に向けて声をかける。ラッドは悲しい表情になってる。
「ガストンさんありがとうございました」
「あ、ああ。何かあったら声をかけてくれ。ラッセルなんかと関わるのはやめておけよ。あまりいい噂は聞かないからな」
「ありがとうございます」
ガストンさんにお礼を言って城門前を去る。彼は忠告までしてくれた。本当に優しいな。
「どうしたんだい! その子は!」
ネネさんの宿屋にたどり着くとネネさんが黒髪の少女に気が付いて声を上げる。痩せこけている少女を見ると涙を浮かべる。
「大丈夫、みんな仲間」
「ん!」
ネーナちゃんとドロップ君が彼女に抱き着いて一緒に食事を用意をしてくれる。
「ラッド、これ換金してきて」
「え? ゴブリンの魔石? わかったけど、お前は?」
「私は行くところができちゃったから。夕食には戻る」
「わかったけど、危険な話なら俺も」
ラッドにゴブリンの魔石を手渡して話す。彼の最後の声に私は黒い笑みで答える。
ラッセルには少しきついお灸が必要だからね。ラッドには見せられないよ。
「ラッセル!」
「うお!? な、なんだ!? ってファムさんかい。どうしたんだよいったい? あ! 奴隷を受け取ってくれたか? 同い年くらいの少女はあいつしかいなくてな。すまないな~」
早速ラッセルの家にやってきた。なんとも言えない笑みを浮かべていたから扉をノックするとビルが青い顔で開けてくれたわ。
ラッセルの書斎の部屋の扉を声をあげながら開けると、聞いてもいないことをべらべらと喋ってくる。まったく、この男は。
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