64 / 81
第2章 国
第64話 嬉しい知らせ
「あれから一か月か~。ほんとファムはすげぇな~」
ブルース様達と友達になったあの日から一か月が経った。
ダンジョンでレベルと依頼を達成する日々を過ごしていたラッドが呟く。まじまじと私を見つめてくる彼は少し大きくなったような気がする。羨ましいな~。
「そんなことないよ。ラッドだって凄いじゃない。レベル15になったでしょ?」
「凄いね~……。レイブンは17レベルだぞ」
私が謙遜してラッドを褒めると彼はレイブンをジト目で見つめてため息のような声をもらす。
レイブンも体が少し立派になってレベルも上がった。二人ともオークを一人で倒すことができるようになってる。板についてきたってやつかな?
「ん、ラッドはまだまだ」
「うるせえよ。それは俺がよくわかってる。イーター! 次だ次! オーク出してくれ」
レイブンの挑発に苛立ちを見せて声を上げるラッド。すぐにオークが現れると大剣を振り上げて、一太刀で仕留めて見せてくる。大剣が似合うようになったな~。カッコいい。
「はぁ~、もっとスマートに倒せないかな……。ファムみたいにさ~。カッコいいんだよな。ファムの剣さばきは」
ラッドのことがカッコよく見えていると、彼が私をカッコいいといってくる。思わずドキッとしてしまった。どうしちゃったんだろう私。
「あ、時間だ!」
気を紛らわせるように声を上げる私。そろそろトトさんがお店を閉める時間だ。お片付けの手伝いをしなくちゃ。
「今日もトトさんの手伝いか?」
「うん! 二人はまだいるでしょ。油断しないでしっかりとやるんだよ」
「……ああ、わかってるよ!」
ラッドの質問に答えて声をかけると、彼が不貞腐れて声を上げる。なんだか反抗期の息子みたいな返事に私は首を傾げた。
レイブンがヤレヤレといった様子で首を横に振ってる。何か私やっちゃったのかな?
「ラッド、嫉妬してる」
「バ!? な、なに言ってんだよレイブン!」
「嫉妬?」
レイブンがニヤニヤしながら声を上げる。ラッドが勢いよく彼女の口を手でふさぐ。私は思わず呟くと、原因を理解した。
「ごめんねラッド。トトさんを取っちゃったね。甘えたいんでしょ? 今度、ラッドが手伝いに行くといいよ。譲ってあげる」
「「……はぁ?」」
ラッドはトトさんに甘えたいんだ。それなのに私が彼の手伝いをしてしまうから甘えられないんだね。
私がトトさんに甘えたいから気づかなかったな~。もっとしっかりと家族を見てあげないと。失敗失敗。
私の声にため息のような声をもらす二人を置いて、すぐにダンジョンを飛び出す。
そのままトトさんの屋台に着くとお片付けを手伝う。
「ファム。別に手伝わなくてもいいぞ。お前も仕事をしているんだから」
「やりたいからやってるの~。手伝わさせて」
「ははは、やりたいなら仕方ねえな~」
トトさんは気遣ってくれる。とても優しい人。ほんと、金一郎さんを思い出す。
彼を見ていると懐かしさで涙が出てくる。
「トト~。お前のところの娘はいい子だな~」
「ははは。そうなんだよ! ファムは世界一の娘だ」
他の屋台のおじさんの言葉に気を良くしたトトさん。嬉しそうに答えて私の頭を撫でてくれる。
「今帰ったぞ~」
「おかえりなさいあなた」
屋台の片づけを済ませて宿屋に帰ってくるとネネさんが迎えてくれる。二人はニッコリと微笑んで一緒にネネさんのお腹を見つめる。
あれ? もしかして? そう思ってネネさんを注意深く見ているとおなかをよくさすっているように見える。
「ネネさん」
「ん? どうしたんだいファム?」
厨房で食事の準備を始めたネネさんに声を上げる。私は彼女のお腹を見つめる。
「もしかして?」
私がそういうと、彼女はニッコリと微笑んでお腹をさすった。
「やっぱりファムには気づかれちゃったね。そうだよ。子供が出来たんだ」
「やっぱり! おめでとうございます!」
ネネさんの答えに私はとても嬉しくて声を上げる。
ネネさんとトトさんの子供。私達の弟ができるんだ! こんなに嬉しいことはない。
「ふふ、ファムは本当によく気づく子だね~。まあ、だから子供を作ろうと思ったんだけどね」
「え? 私?」
「そうだよ。お金にも余裕が出来て、ファムみたいな頼りになる子が近くにいる。こんなに心強いことはないのさ~」
ネネさんはそう言って椅子に座ると優しい表情で私を見つめてくる。
新たな命を作ろうと思ったのが私……ほんとに嬉しい。私がいたからお腹の子がいるってことでしょ? こんなに幸せでいいのかな?
「ははは。ファムもそんなに泣くんだね」
気が付くと私は涙を流してた。そのままネネさんに抱き着くと声を出して泣いてしまった。
嬉しい、彼女たちの力になれたことが本当に嬉しい。ありがとう、ネネさん、トトさん。
「ファム姉さんが泣いてる!」
「どうしたの?」
私の声を聞いて心配してくれるネーナちゃんとドンタ君。ドロップ君も心配で背中をさすってくれてる。
みんなもいい子に育ってくれてる。もっともっと頑張らないと、この子達が傷つくようなことがあっちゃダメ。後悔しないようにしっかりと守っていかないと。
ブルース様達と友達になったあの日から一か月が経った。
ダンジョンでレベルと依頼を達成する日々を過ごしていたラッドが呟く。まじまじと私を見つめてくる彼は少し大きくなったような気がする。羨ましいな~。
「そんなことないよ。ラッドだって凄いじゃない。レベル15になったでしょ?」
「凄いね~……。レイブンは17レベルだぞ」
私が謙遜してラッドを褒めると彼はレイブンをジト目で見つめてため息のような声をもらす。
レイブンも体が少し立派になってレベルも上がった。二人ともオークを一人で倒すことができるようになってる。板についてきたってやつかな?
「ん、ラッドはまだまだ」
「うるせえよ。それは俺がよくわかってる。イーター! 次だ次! オーク出してくれ」
レイブンの挑発に苛立ちを見せて声を上げるラッド。すぐにオークが現れると大剣を振り上げて、一太刀で仕留めて見せてくる。大剣が似合うようになったな~。カッコいい。
「はぁ~、もっとスマートに倒せないかな……。ファムみたいにさ~。カッコいいんだよな。ファムの剣さばきは」
ラッドのことがカッコよく見えていると、彼が私をカッコいいといってくる。思わずドキッとしてしまった。どうしちゃったんだろう私。
「あ、時間だ!」
気を紛らわせるように声を上げる私。そろそろトトさんがお店を閉める時間だ。お片付けの手伝いをしなくちゃ。
「今日もトトさんの手伝いか?」
「うん! 二人はまだいるでしょ。油断しないでしっかりとやるんだよ」
「……ああ、わかってるよ!」
ラッドの質問に答えて声をかけると、彼が不貞腐れて声を上げる。なんだか反抗期の息子みたいな返事に私は首を傾げた。
レイブンがヤレヤレといった様子で首を横に振ってる。何か私やっちゃったのかな?
「ラッド、嫉妬してる」
「バ!? な、なに言ってんだよレイブン!」
「嫉妬?」
レイブンがニヤニヤしながら声を上げる。ラッドが勢いよく彼女の口を手でふさぐ。私は思わず呟くと、原因を理解した。
「ごめんねラッド。トトさんを取っちゃったね。甘えたいんでしょ? 今度、ラッドが手伝いに行くといいよ。譲ってあげる」
「「……はぁ?」」
ラッドはトトさんに甘えたいんだ。それなのに私が彼の手伝いをしてしまうから甘えられないんだね。
私がトトさんに甘えたいから気づかなかったな~。もっとしっかりと家族を見てあげないと。失敗失敗。
私の声にため息のような声をもらす二人を置いて、すぐにダンジョンを飛び出す。
そのままトトさんの屋台に着くとお片付けを手伝う。
「ファム。別に手伝わなくてもいいぞ。お前も仕事をしているんだから」
「やりたいからやってるの~。手伝わさせて」
「ははは、やりたいなら仕方ねえな~」
トトさんは気遣ってくれる。とても優しい人。ほんと、金一郎さんを思い出す。
彼を見ていると懐かしさで涙が出てくる。
「トト~。お前のところの娘はいい子だな~」
「ははは。そうなんだよ! ファムは世界一の娘だ」
他の屋台のおじさんの言葉に気を良くしたトトさん。嬉しそうに答えて私の頭を撫でてくれる。
「今帰ったぞ~」
「おかえりなさいあなた」
屋台の片づけを済ませて宿屋に帰ってくるとネネさんが迎えてくれる。二人はニッコリと微笑んで一緒にネネさんのお腹を見つめる。
あれ? もしかして? そう思ってネネさんを注意深く見ているとおなかをよくさすっているように見える。
「ネネさん」
「ん? どうしたんだいファム?」
厨房で食事の準備を始めたネネさんに声を上げる。私は彼女のお腹を見つめる。
「もしかして?」
私がそういうと、彼女はニッコリと微笑んでお腹をさすった。
「やっぱりファムには気づかれちゃったね。そうだよ。子供が出来たんだ」
「やっぱり! おめでとうございます!」
ネネさんの答えに私はとても嬉しくて声を上げる。
ネネさんとトトさんの子供。私達の弟ができるんだ! こんなに嬉しいことはない。
「ふふ、ファムは本当によく気づく子だね~。まあ、だから子供を作ろうと思ったんだけどね」
「え? 私?」
「そうだよ。お金にも余裕が出来て、ファムみたいな頼りになる子が近くにいる。こんなに心強いことはないのさ~」
ネネさんはそう言って椅子に座ると優しい表情で私を見つめてくる。
新たな命を作ろうと思ったのが私……ほんとに嬉しい。私がいたからお腹の子がいるってことでしょ? こんなに幸せでいいのかな?
「ははは。ファムもそんなに泣くんだね」
気が付くと私は涙を流してた。そのままネネさんに抱き着くと声を出して泣いてしまった。
嬉しい、彼女たちの力になれたことが本当に嬉しい。ありがとう、ネネさん、トトさん。
「ファム姉さんが泣いてる!」
「どうしたの?」
私の声を聞いて心配してくれるネーナちゃんとドンタ君。ドロップ君も心配で背中をさすってくれてる。
みんなもいい子に育ってくれてる。もっともっと頑張らないと、この子達が傷つくようなことがあっちゃダメ。後悔しないようにしっかりと守っていかないと。
あなたにおすすめの小説
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界に召喚されたけど、従姉妹に嵌められて即森に捨てられました。
バナナマヨネーズ
恋愛
香澄静弥は、幼馴染で従姉妹の千歌子に嵌められて、異世界召喚されてすぐに魔の森に捨てられてしまった。しかし、静弥は森に捨てられたことを逆に人生をやり直すチャンスだと考え直した。誰も自分を知らない場所で気ままに生きると決めた静弥は、異世界召喚の際に与えられた力をフル活用して異世界生活を楽しみだした。そんなある日のことだ、魔の森に来訪者がやってきた。それから、静弥の異世界ライフはちょっとだけ騒がしくて、楽しいものへと変わっていくのだった。
全123話
※小説家になろう様にも掲載しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
転生したので好きに生きよう!
ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。
不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。
奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。
※見切り発車感が凄い。
※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。
【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」