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第一章 ジーニアスベル
第2話 レベルと魔法
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「ジーニ? どこへ行ったの?」
「……アブアブ」
初めて試練を達成して一週間が経った。お母さんが探しているのは天井にぶら下がってる僕。ステータスが赤ん坊のものとは思えないほど上がったおかげで天井のくぼみでぶら下がれるほどになってしまった。毎日試練を達成してレベルが10に到達したからだな~。
更に10レベルになるとスキルに新しい項目が増えた。
ジーニアス 0歳
LV10
【体力】81
【魔力】111
【筋力】41
【生命力】38
【命中性】32
【敏捷性】35
【知力】62
【精神力】62
スキル
【試練受注】【試練変更】
試練変更というスキルが追加された。これは達成できない試練が出てきた場合に変更できるみたい。一週間の期限を破ってしまいそうになったら使ってみる予定、こういった回避方法が出てくると期限を破るとペナルティーがあると思っていいだろうな。少し怖い。
「もう、どこへ行ったの? まさか! 外へ!?」
「アイ!」
「!? ジーニ! どこへ行っていたの~! 心配したでしょ! もう……」
お母さんが外へ走っていきそうになってしまったので机に飛び降りる。音もなく下りて声をあげると涙目で抱きしめてくる。少しいたずらしすぎてしまった。まあ、これも試練のせいなんだけどね。
ーーーーーーー
試練
一週間以内に、12時間2メートル以上の高さで暮せ 5/12時間
報酬 経験値
ーーーーーーー
家に二階はないので天井にぶら下がるくらいしかできない。外に出たらさっきみたいにお母さんが驚いてしまうから。
「ジーニ。絶対に外に出ちゃダメよ。ゴホゴホッ」
「アイアイ……」
お母さんは体が弱くて一日中家にいる。そんな体でも僕がいないとわかったらすぐに外に出ようとしちゃう。そんな優しいお母さんに無理させるのはよくないな。
「ゴホッ……。少し無理しちゃったわ。お昼寝しましょジーニ」
「アイ」
お母さんの顔色が変わっていく。青白くなって目のくまが大きく強調されている。
どうにかして、お母さんを強くできないだろうか?
魔法タイプのステータスの僕なら回復魔法が出来るんじゃないだろうか? ゲームと同じような世界に来たんだ。想えばそれが力になってくれるはず。
「スースー……」
僕を抱きしめながらベッドに横たわるお母さん。僕は目を瞑ってお母さんへと手のひらを向ける。
治れ治れ治れ……ちからを込めたり指先に集中したり……。
魔法がある世界でもそんな簡単に魔法が使えるはずないのに僕は頑張った。
「ダブ……」
どんなに力を込めても光がでたりしない。そんなに甘い世界ではないみたい。
自分の力のなさを感じて次の日。
僕は家の中の天井を移動する。お母さんが僕のいないことに気づくまで天井にいて、気づかれたらすぐに降りるを繰り返してる。
これは試練のためだけど、移動しているのは本みたいなものがないか探してる。
僕の生まれた家は貴族でも王族でもない普通の農家の家だと思う。なんで思うかと言うと、剣と盾があるからまだまだ謎なんだよね。
もしかしたら農家なんだけど、有事には戦闘をするみたいな感じなのかもしれない。
魔法使いが使うような杖も置いてあるからお父さんかお母さんが魔法を使える可能性もあるな。
それもあって、魔法書みたいなものがあるんじゃないかと思ったんだけど……そういったものは見られないな~。
そもそも、羊皮紙みたいな茶色紙はいくつかみられるんだけど、本みたいなものは見られないんだよな~。時代背景が中世って言うのも影響してるかな。
「ジーニ~」
「アイ!」
天井に張り付きながら考え込んでいるとお母さんが僕を呼ぶ。すぐに音もなく天井から降りて答えると魔法使いの杖みたいなものを持ってきて僕を抱き上げた。
「ジーニ。あなたならすぐに魔法を使えるようになると思うの。魔力を感じるって言うのかな? だから、少し見せるわね。ジークには魔法を禁止されているんだけど、奮発しちゃう」
嬉しそうにお母さんがそういって杖をキッチンの石のかまどに向ける。そして、目を瞑ったお母さんは小声でつぶやき始める。
「【我が魔力を力に変えよ。【ファイア】】」
「オオ~~~!」
お母さんが目を開いて声をあげると杖の先から火の塊が出て、かまどの薪に燃え移る。僕は思わず凄いと手を叩く、お母さんは力なく微笑んで前のめりに倒れこんだ。
「ご、ごめんなさいねジーニ。少し無理しちゃった」
四つん這いで僕を下ろすと謝るお母さん。首を振って答えると仰向けに寝返って息を整えていく。
「ふふ、こんな初級の魔法で息を切らせちゃうなんてね。本当に弱いお母さんでごめんねジーニ」
「アウアウ……」
「ジーニ、あなたはとても優しくて強い子。ジークの血を強く受け継いだんでしょうね。私のような弱い子にならなくて良かった」
お母さんが自分を追い詰めていく。僕は見ていられなくてただただ抱き着く。お母さんを良くしてあげたい。お母さんは強くて凄い人だって伝えたい。
魔法は本当に存在してる。詠唱が必要なら気持ちでも伝わるはずだ。
「ダブダブ……【バ~ブ】!」
「!? ジーニ!?」
お母さんの掴む杖を一緒に掴んで回復魔法を唱える。火の魔法がファイアならヒーリングかヒールのはずだ。僕は思いっきり元気になるお母さんをイメージして声をあげた。
すると、僕の体から白い光が放たれて部屋いっぱいに広がっていく。
「……か、体が軽いわ。ジーニ!? あなたがやったのね?」
仰向けで倒れていたお母さんが僕を抱き上げて回転する。踊るように舞うお母さん。さっきまで疲れ切っていた人とは思えない様子。
どうやら、回復魔法は成功したみたい。
「凄いわ! 今のはたぶんエリアヒールね。私は回復魔法の才能はなかった。ジーニはやっぱり天才!」
クルクル回りながら嬉しそうに僕を抱きしめるお母さん。良かった。おかあさんを治せた。
この日の夜は凄かった。ご飯も豪勢でお父さんにも褒められた。
あと、お母さんが魔法のことをすっごい教えてくれた。魔法は火、水、土、雷、光、闇の基本元素が存在するらしい。木なんて言うのもあるけど、それはエルフや限られた種族だけ、他にも存在するけど、希少だから知られていないものも多い。さらに複数の属性に適性がある人もいて、僕はそれの可能性があるんだってさ。ちなみに回復魔法は光属性。なんで最初にできなかったのかは杖が影響してるみたい。
魔法使いは杖を通して、世界に語り掛けることが出来るとか、それで魔力を使ってもらって現象を起こしてもらう。大きな現象になればなるほど多くの魔力を使われてしまう。魔力が枯渇すると気絶しちゃうらしいから気をつけないとな。
「……アブアブ」
初めて試練を達成して一週間が経った。お母さんが探しているのは天井にぶら下がってる僕。ステータスが赤ん坊のものとは思えないほど上がったおかげで天井のくぼみでぶら下がれるほどになってしまった。毎日試練を達成してレベルが10に到達したからだな~。
更に10レベルになるとスキルに新しい項目が増えた。
ジーニアス 0歳
LV10
【体力】81
【魔力】111
【筋力】41
【生命力】38
【命中性】32
【敏捷性】35
【知力】62
【精神力】62
スキル
【試練受注】【試練変更】
試練変更というスキルが追加された。これは達成できない試練が出てきた場合に変更できるみたい。一週間の期限を破ってしまいそうになったら使ってみる予定、こういった回避方法が出てくると期限を破るとペナルティーがあると思っていいだろうな。少し怖い。
「もう、どこへ行ったの? まさか! 外へ!?」
「アイ!」
「!? ジーニ! どこへ行っていたの~! 心配したでしょ! もう……」
お母さんが外へ走っていきそうになってしまったので机に飛び降りる。音もなく下りて声をあげると涙目で抱きしめてくる。少しいたずらしすぎてしまった。まあ、これも試練のせいなんだけどね。
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試練
一週間以内に、12時間2メートル以上の高さで暮せ 5/12時間
報酬 経験値
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家に二階はないので天井にぶら下がるくらいしかできない。外に出たらさっきみたいにお母さんが驚いてしまうから。
「ジーニ。絶対に外に出ちゃダメよ。ゴホゴホッ」
「アイアイ……」
お母さんは体が弱くて一日中家にいる。そんな体でも僕がいないとわかったらすぐに外に出ようとしちゃう。そんな優しいお母さんに無理させるのはよくないな。
「ゴホッ……。少し無理しちゃったわ。お昼寝しましょジーニ」
「アイ」
お母さんの顔色が変わっていく。青白くなって目のくまが大きく強調されている。
どうにかして、お母さんを強くできないだろうか?
魔法タイプのステータスの僕なら回復魔法が出来るんじゃないだろうか? ゲームと同じような世界に来たんだ。想えばそれが力になってくれるはず。
「スースー……」
僕を抱きしめながらベッドに横たわるお母さん。僕は目を瞑ってお母さんへと手のひらを向ける。
治れ治れ治れ……ちからを込めたり指先に集中したり……。
魔法がある世界でもそんな簡単に魔法が使えるはずないのに僕は頑張った。
「ダブ……」
どんなに力を込めても光がでたりしない。そんなに甘い世界ではないみたい。
自分の力のなさを感じて次の日。
僕は家の中の天井を移動する。お母さんが僕のいないことに気づくまで天井にいて、気づかれたらすぐに降りるを繰り返してる。
これは試練のためだけど、移動しているのは本みたいなものがないか探してる。
僕の生まれた家は貴族でも王族でもない普通の農家の家だと思う。なんで思うかと言うと、剣と盾があるからまだまだ謎なんだよね。
もしかしたら農家なんだけど、有事には戦闘をするみたいな感じなのかもしれない。
魔法使いが使うような杖も置いてあるからお父さんかお母さんが魔法を使える可能性もあるな。
それもあって、魔法書みたいなものがあるんじゃないかと思ったんだけど……そういったものは見られないな~。
そもそも、羊皮紙みたいな茶色紙はいくつかみられるんだけど、本みたいなものは見られないんだよな~。時代背景が中世って言うのも影響してるかな。
「ジーニ~」
「アイ!」
天井に張り付きながら考え込んでいるとお母さんが僕を呼ぶ。すぐに音もなく天井から降りて答えると魔法使いの杖みたいなものを持ってきて僕を抱き上げた。
「ジーニ。あなたならすぐに魔法を使えるようになると思うの。魔力を感じるって言うのかな? だから、少し見せるわね。ジークには魔法を禁止されているんだけど、奮発しちゃう」
嬉しそうにお母さんがそういって杖をキッチンの石のかまどに向ける。そして、目を瞑ったお母さんは小声でつぶやき始める。
「【我が魔力を力に変えよ。【ファイア】】」
「オオ~~~!」
お母さんが目を開いて声をあげると杖の先から火の塊が出て、かまどの薪に燃え移る。僕は思わず凄いと手を叩く、お母さんは力なく微笑んで前のめりに倒れこんだ。
「ご、ごめんなさいねジーニ。少し無理しちゃった」
四つん這いで僕を下ろすと謝るお母さん。首を振って答えると仰向けに寝返って息を整えていく。
「ふふ、こんな初級の魔法で息を切らせちゃうなんてね。本当に弱いお母さんでごめんねジーニ」
「アウアウ……」
「ジーニ、あなたはとても優しくて強い子。ジークの血を強く受け継いだんでしょうね。私のような弱い子にならなくて良かった」
お母さんが自分を追い詰めていく。僕は見ていられなくてただただ抱き着く。お母さんを良くしてあげたい。お母さんは強くて凄い人だって伝えたい。
魔法は本当に存在してる。詠唱が必要なら気持ちでも伝わるはずだ。
「ダブダブ……【バ~ブ】!」
「!? ジーニ!?」
お母さんの掴む杖を一緒に掴んで回復魔法を唱える。火の魔法がファイアならヒーリングかヒールのはずだ。僕は思いっきり元気になるお母さんをイメージして声をあげた。
すると、僕の体から白い光が放たれて部屋いっぱいに広がっていく。
「……か、体が軽いわ。ジーニ!? あなたがやったのね?」
仰向けで倒れていたお母さんが僕を抱き上げて回転する。踊るように舞うお母さん。さっきまで疲れ切っていた人とは思えない様子。
どうやら、回復魔法は成功したみたい。
「凄いわ! 今のはたぶんエリアヒールね。私は回復魔法の才能はなかった。ジーニはやっぱり天才!」
クルクル回りながら嬉しそうに僕を抱きしめるお母さん。良かった。おかあさんを治せた。
この日の夜は凄かった。ご飯も豪勢でお父さんにも褒められた。
あと、お母さんが魔法のことをすっごい教えてくれた。魔法は火、水、土、雷、光、闇の基本元素が存在するらしい。木なんて言うのもあるけど、それはエルフや限られた種族だけ、他にも存在するけど、希少だから知られていないものも多い。さらに複数の属性に適性がある人もいて、僕はそれの可能性があるんだってさ。ちなみに回復魔法は光属性。なんで最初にできなかったのかは杖が影響してるみたい。
魔法使いは杖を通して、世界に語り掛けることが出来るとか、それで魔力を使ってもらって現象を起こしてもらう。大きな現象になればなるほど多くの魔力を使われてしまう。魔力が枯渇すると気絶しちゃうらしいから気をつけないとな。
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