86 / 113
第二章 海へ
第四十三話 アルのいざこざ
しおりを挟む
「すいません。お医者さんはいらっしゃいますか?」
「ああ、昨日の。ジアスさんなら市場の方の急患に行ったよ」
門の横の衛兵詰め所に着くと衛兵に医者は市場に行ったといわれた。衛兵にお辞儀をして市場に向かう。
医者の名はジアスと言うらしいな。
市場に向かって歩いているとアルフレドがいるのが見えた。出店のない広間になっているスペースで外套に身を包んだ四人組と何か話しているようだ。
「うるさい。帰らないと言ったら帰らないんだ。お父様には私は死んだと言いなさい」
「そんな我儘通るとお思いですか?アルフ」
「よう!アル、何かお困りか?」
外套を目深くかぶっている四人組がアルフレドを威圧するように囲んでいて、アルフレドの腕を掴みかかってきた奴とアルフレドの間に入り込んで腕を無理あり引きはがして声をかけた。アルフレドの一人称が可笑しかったみたいだけど気にしないようにするか。
「何ですかあなたは」
「ん?俺は通りすがりのアルの友達さ。話なら俺が聞くぞ」
「俺達はお前に話はない!そこを退け!」
「ちょっと待ちなさい。ここでは人目がありすぎます。引きますよ」
「「「はっ」」」
アルフレドに掴みかかっていた奴が威圧してきた奴を引き留めて港の方へと帰っていった。他の二人も従っているな、威圧してきた奴は男っぽかったが他は女のように細身だな。
「ありがとうございますタツミさん」
「ああ、構わないよ。それよりも医者を知らないか?」
「訳は聞かないんですね・・・ジアスさんなら港の方に行きましたよ。僕が案内しますね」
訳は聞かないさ、友達でも言いたくない事はいっぱいあるだろうからな。まあ、大体は予想つくし、アルフレドが言いたくなったら勝手に聞かせてくれ。
アルフレドに案内されて医者のジアスさんの所に到着する。天幕の下に布をひいただけの医務室だった、衛生もくそもない。
彼は血を頭から流しているライオンの獣人に聴診器を当てていた。
「この人は外傷だけだな。あっちは食中毒になってるから水を飲ませて吐かせろ。回復魔法の使えるものはこの人の回復を」
ジアスさんはその場にいた衛兵の人に指示を出していく。港町と言うだけあって色々な人がいる。獣率の高い獣人と海の獣の獣人とか色とりどりだ。ファンタジーの世界に来たと実感できる人達で溢れかえっている。
「先生こっちの奴隷も見てやってくれ」
「ああ」
ジアスさんは黙々と職務を全うしていく、老若男女問わず、また種族の垣根を越えて、全員を見ていくジアスさん。こりゃ医者のトップに立つわけだわ。
「ジアスさん、昨日はありがとうございました」
「ん?その声は昨日の従魔馬鹿か」
うおい、いきなり馬鹿にされたぞ。
「従魔を仲間にしているのならそいつらの事を勉強しておけよ。俺も忙しいんだからな」
話しながら医者として仕事をしながら俺にそう言ってくるジアスさん。感謝しているので怒らないよ。それよりも尊敬すら越えるほどカッコイイ。しかし、体、臭すぎる。
「そうだな。俺も気を付けるよ。だけど、あんたも医者なら清潔にした方がいいぞ。病気はそういう所からも発生するんだからな」
意趣返しにそう言って俺は物陰へと入って僧侶の服に着替える。
そして、
「[クリーン]」
天幕全体に清潔になる魔法を唱える。すると天幕全体が綺麗になって血の汚れなども全部綺麗になった。こんな魔法を使ってもMPの消費は1だ。僧侶のトップの人もチートすぎるな。
「回復魔法が使えるのか!ならばこの人も頼む」
「ああ、昨日のお礼に全員面倒みてやるよ」
綺麗になったジアスさんの期待に応えて俺は全員に向かってヒールを唱えた。回復魔法は範囲指定できるようなのでそうしたらみんな驚いた顔をしていたな。
「いや~助かったよ。俺は見れるんだが、回復魔法はできないからな。お代は」
「昨日のお礼だから金はいらないよ。それよりもジアスさんは清潔に暮らしてください。お医者さんなんだから」
「ははは、そうだな。嫁にもそう言われたよ」
バツが悪そうにジアスさんは頭を掻きむしった。どうやら、地雷を踏んでしまったようだ。
「仕事が忙しすぎて子供の面倒も嫁とも会話がなくなってな。御覧の通り汚い大人の出来上がりだよ」
無精ひげを擦ってジアスさんは自虐的に話していく。俺からしたらカッコイイんだけどな。
「俺はカッコいいと思うけどな。アルはどうだ?」
「僕もカッコいいと思うよ」
アルフレドも賛同してくれた。
「そうか、息子もそう言ってくれたがあいつには嫌われてしまったようなんだ。まあ、好きでも離れ離れは嫌だったんだろうな」
患者のいなくなった天幕の中に重い空気が漂う。衛兵数人と俺達だけだからか、すっごい重い。
「あ~それじゃ、俺達はこれで」
「待ってくれ、また頼むことがあるかもしれない。名前を教えてくれ」
「そうだった。それが目的だったんだ。俺はタツミだ。昨日はありがとう」
「そうだったのか、わざわざ。俺はジアスだ。さんはいらん。呼び捨てで呼んでくれ」
「じゃあ俺もタツミでいいよ」
「ちょ!タツミ」
ジアスに自己紹介すると呼び捨てにしてくれと言われたので俺も呼び捨てにしてくれと言うとアルフレドが怒り出してしまった。全く、男のやきもちはやめてくれよ。
ジアスに軽く手を振って天幕をでた。俺達は食材を買いに市場の港側に向かう。ルキアが起きたらお腹すいたって言いそうだから美味しいもんを作ってやりたい。ジアスの言っていたように俺は従魔馬鹿、親ばかなのだ。最高の食べ物を用意してやらんと気が済まんのだよ。
「ああ、昨日の。ジアスさんなら市場の方の急患に行ったよ」
門の横の衛兵詰め所に着くと衛兵に医者は市場に行ったといわれた。衛兵にお辞儀をして市場に向かう。
医者の名はジアスと言うらしいな。
市場に向かって歩いているとアルフレドがいるのが見えた。出店のない広間になっているスペースで外套に身を包んだ四人組と何か話しているようだ。
「うるさい。帰らないと言ったら帰らないんだ。お父様には私は死んだと言いなさい」
「そんな我儘通るとお思いですか?アルフ」
「よう!アル、何かお困りか?」
外套を目深くかぶっている四人組がアルフレドを威圧するように囲んでいて、アルフレドの腕を掴みかかってきた奴とアルフレドの間に入り込んで腕を無理あり引きはがして声をかけた。アルフレドの一人称が可笑しかったみたいだけど気にしないようにするか。
「何ですかあなたは」
「ん?俺は通りすがりのアルの友達さ。話なら俺が聞くぞ」
「俺達はお前に話はない!そこを退け!」
「ちょっと待ちなさい。ここでは人目がありすぎます。引きますよ」
「「「はっ」」」
アルフレドに掴みかかっていた奴が威圧してきた奴を引き留めて港の方へと帰っていった。他の二人も従っているな、威圧してきた奴は男っぽかったが他は女のように細身だな。
「ありがとうございますタツミさん」
「ああ、構わないよ。それよりも医者を知らないか?」
「訳は聞かないんですね・・・ジアスさんなら港の方に行きましたよ。僕が案内しますね」
訳は聞かないさ、友達でも言いたくない事はいっぱいあるだろうからな。まあ、大体は予想つくし、アルフレドが言いたくなったら勝手に聞かせてくれ。
アルフレドに案内されて医者のジアスさんの所に到着する。天幕の下に布をひいただけの医務室だった、衛生もくそもない。
彼は血を頭から流しているライオンの獣人に聴診器を当てていた。
「この人は外傷だけだな。あっちは食中毒になってるから水を飲ませて吐かせろ。回復魔法の使えるものはこの人の回復を」
ジアスさんはその場にいた衛兵の人に指示を出していく。港町と言うだけあって色々な人がいる。獣率の高い獣人と海の獣の獣人とか色とりどりだ。ファンタジーの世界に来たと実感できる人達で溢れかえっている。
「先生こっちの奴隷も見てやってくれ」
「ああ」
ジアスさんは黙々と職務を全うしていく、老若男女問わず、また種族の垣根を越えて、全員を見ていくジアスさん。こりゃ医者のトップに立つわけだわ。
「ジアスさん、昨日はありがとうございました」
「ん?その声は昨日の従魔馬鹿か」
うおい、いきなり馬鹿にされたぞ。
「従魔を仲間にしているのならそいつらの事を勉強しておけよ。俺も忙しいんだからな」
話しながら医者として仕事をしながら俺にそう言ってくるジアスさん。感謝しているので怒らないよ。それよりも尊敬すら越えるほどカッコイイ。しかし、体、臭すぎる。
「そうだな。俺も気を付けるよ。だけど、あんたも医者なら清潔にした方がいいぞ。病気はそういう所からも発生するんだからな」
意趣返しにそう言って俺は物陰へと入って僧侶の服に着替える。
そして、
「[クリーン]」
天幕全体に清潔になる魔法を唱える。すると天幕全体が綺麗になって血の汚れなども全部綺麗になった。こんな魔法を使ってもMPの消費は1だ。僧侶のトップの人もチートすぎるな。
「回復魔法が使えるのか!ならばこの人も頼む」
「ああ、昨日のお礼に全員面倒みてやるよ」
綺麗になったジアスさんの期待に応えて俺は全員に向かってヒールを唱えた。回復魔法は範囲指定できるようなのでそうしたらみんな驚いた顔をしていたな。
「いや~助かったよ。俺は見れるんだが、回復魔法はできないからな。お代は」
「昨日のお礼だから金はいらないよ。それよりもジアスさんは清潔に暮らしてください。お医者さんなんだから」
「ははは、そうだな。嫁にもそう言われたよ」
バツが悪そうにジアスさんは頭を掻きむしった。どうやら、地雷を踏んでしまったようだ。
「仕事が忙しすぎて子供の面倒も嫁とも会話がなくなってな。御覧の通り汚い大人の出来上がりだよ」
無精ひげを擦ってジアスさんは自虐的に話していく。俺からしたらカッコイイんだけどな。
「俺はカッコいいと思うけどな。アルはどうだ?」
「僕もカッコいいと思うよ」
アルフレドも賛同してくれた。
「そうか、息子もそう言ってくれたがあいつには嫌われてしまったようなんだ。まあ、好きでも離れ離れは嫌だったんだろうな」
患者のいなくなった天幕の中に重い空気が漂う。衛兵数人と俺達だけだからか、すっごい重い。
「あ~それじゃ、俺達はこれで」
「待ってくれ、また頼むことがあるかもしれない。名前を教えてくれ」
「そうだった。それが目的だったんだ。俺はタツミだ。昨日はありがとう」
「そうだったのか、わざわざ。俺はジアスだ。さんはいらん。呼び捨てで呼んでくれ」
「じゃあ俺もタツミでいいよ」
「ちょ!タツミ」
ジアスに自己紹介すると呼び捨てにしてくれと言われたので俺も呼び捨てにしてくれと言うとアルフレドが怒り出してしまった。全く、男のやきもちはやめてくれよ。
ジアスに軽く手を振って天幕をでた。俺達は食材を買いに市場の港側に向かう。ルキアが起きたらお腹すいたって言いそうだから美味しいもんを作ってやりたい。ジアスの言っていたように俺は従魔馬鹿、親ばかなのだ。最高の食べ物を用意してやらんと気が済まんのだよ。
50
あなたにおすすめの小説
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
村人召喚? お前は呼んでないと追い出されたので気ままに生きる
丹辺るん
ファンタジー
本作はレジーナブックスにて書籍化されています。
―ー勇者召喚なるものに巻き込まれて、私はサーナリア王国にやって来た。ところが私の職業は、職業とも呼べない「村人」。すぐに追い出されてしまった。
ーーでもこの世界の「村人」ってこんなに強いの? それに私すぐに…ーー
最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
病弱な僕は病院で息を引き取った
お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった
そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した
魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる