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第二章 海へ

第四十四話 お買い物

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「買った買った~」
 
 霜降りとはいかないが良い肉が手に入った。時間の止まるアイテムバッグで輸送される牛の肉だ。赤みが強くて元の世界でいう所のアンガス牛といったレベルの物だ。しかし、アイテムバッグは便利だな。これは本当に現代までもっていきたい代物だよ。それをないがしろにしている冒険者は一度教育しなくてはならないな。

「買い物は以上ですか?」

「ん?ああ、そうだな」

「じゃあ。僕の買い物にも付き合ってくださいよ」

「そんな大きなものを買うのか?」

 アルフレドには俺が色々とできることを伝えた。大まかに言っているのであんまりわかっていない様子だがポーターの真似事はできると伝えてある。
 なのでそう言った持てないくらいいっぱい買うか大きいかのどちらかだと思ったんだが。アルフレドは首を横に振って、「妹に服を買ってあげたいんです」ともじもじしながら話してきた。
 時間もあるし俺は了承するとアルフレドは頬を赤くして弾み気味で市場の入り口付近まで戻っていく。そんなに妹に服を買うのが嬉しいのかな?

「そう言えば、乗合馬車の仕事はいいのか?」

「あと三日ほどここで待機なんです。船の到着と合わせているんですよ。今度は大きな船なので乗合馬車としては馬車を集めておきたいんだそうです」

 服の飾ってある出店に着いて、ふと思った疑問をぶつけた。アルフレドは乗合馬車でくっている、なのにこんなにのんびりしていていいのだろうかと思ったんだが仕事の都合だったらしい。この世界は移動が大変だからな、それを利用しない手はないよな。

「大きな旅団を組んで冒険者をみんなで雇えば安いですからね。本当はタツミを雇いたかったんですけど、海を渡ると聞いたので残念です」

 俺としてはこの世界を見て回りたい。長い船旅も悪くはないと思う。海にも魔物はいるのだろうか?ルキアの着ぐるみも一杯、種類が増えているからな、海の魔物の着ぐるみも楽しみだ。

「なんせ従魔が三人いる冒険者ですからね。冒険者四人を雇うより安いのにその分働けるなんて最高です。極めつけは料理ですよ。あれは至高の料理です」

 アルフレドは目を輝かせてついでに涎を垂らして話してくる。そんなに料理が美味しいか、まあ、この世界は調味料が発展していないからな。
 そう言えば、市場で買い物して、いいものを手に入れた、良い物とはサトウキビだ。砂糖って調味料の中では結構、新しい物なんだよな。煮詰めてできた液状の物を遠心分離させれば出来るんだったよな。砂糖が生まれる前は蜂蜜とかでしか甘いものはできなかったはず、この世界じゃまだ高価で手は付けられないだろうな。
 料理チートで試しに作ってみようと10束程買った。竹みたいにかさばるが良い買い物をしたよ。因みにお値段はなんと一束銅貨二枚、そのままかじるしかない代物だと思われているようでファストフード的存在になっているようだ。銀貨二枚で10束はお買い得だ。

「今日も食べに来るか?」

「はい!」

 服を見ながら俺達は夕飯の約束をした。

「どうですかこれ?」

「妹に買うんだろ?可愛いのがいいんじゃないのか?」

「えっ可愛くないですか?」

 アルフレドは自分に合わせて服を見せてくる。可愛いというよりはカッコイイ服でボーイッシュなものだ。

「可愛くと動きやすいじゃないですか?」

「男ならまだしもズボンは女の子は喜ばないぞ」

「そうかな~?」

 アルフレドは俺の助言を聞いて首を傾げた。俺は周りを見渡して女の子っぽい服を探す。

「これなんかどうだ?」

「え~ヒラヒラして動きにくそう・・・」

「いやいや、ピンクのワンピースだぞ。可愛いだろ」

 スカートの部分にシュシュのようなフワフワがついていてとても可愛らしいピンクのワンピースだ。これがダメってどんな妹だよ。

「ルキアに買ってもいいな」

「あ~~!タツミが選んでくれたから買います!僕が買います」

 ルキアの為に買おうと思ったらアルフレドが奪い店員の元へ。店員にお金を渡して早々に買ってきた。ルキアが大きくなったら着せようと思ったんだけどな。

「他にはどれがいいですか?」

「・・・そうだな~」

 あんまり女の子の服とか選んだことないから正直困るんだがな。

「カーディガンとかどうだ?」

 薄い紫のカーディガンを手に取って見せてみる。綺麗な紫でこれもまたルキアに買ってやりたい、ルキアは赤とかの方が良さそうか?

「綺麗ですね。じゃあ青いのにしようかな~」

「青?」

「青じゃ可笑しいですか?」

「まあ、おかしくないけど、女の子って明るい色が好きだと思うんだよな」

「そうですかね・・・」

「まあ、アルが一番妹の事を知っているんだから、好きだと思う色にした方がいいぞ」

「そうですよね!じゃあ青で」

 アルフレドは嬉しそうに弾んで薄い青色のカーディガンを手に取った。値段を見ると驚きな価格だが大丈夫だろうか?革袋を渡しているので大丈夫なのだろうが、アルフレドは金持ちなんだな。まあ、王族っぽいから納得だけどな。

「昼はどうする?孤児院にくるか?」

「いえ、夕飯ご馳走になるので遠慮しておきます。荷物もいっぱいですし」

 服を結構買ってしまったのでアルフレドは両手が塞がっている。俺は人気のない所でポーターになってしまっているがアルフレドは違うからな。持ってあげたいのはやまやまなんだが、シーラインの米どころに行かなくちゃいけなくなるからやめておいたのだ。宿屋に行くと厨房長に掴まりそうだから行きたくないのだよ。

「じゃあ、また後で」

「ああ、最高の料理を用意しておくよ」

 アルフレドは俺の言葉を聞いてウキウキしながら宿屋の方へと帰っていった。
 
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