最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)

文字の大きさ
43 / 60
第2章 天界と魔界

第43話 転移、そして歓迎

しおりを挟む
「僕も色々とあなたに聞きたいことがあったんだ。丁度良かった」

 天界に別の世界に続く橋があることは分かった。だけど、天界への扉っていうのを出す方法は知らない。サターンにそれを教えてもらわないとね。

「なかなか豪胆な赤子だ。私をなめているようだな!」

「!?」

 僕の言葉に気を悪くした様子のサターン。声と共に気合のような衝撃波を僕に当ててくる。僕の体重を浮かせるほどの威力。痛みはないから威圧的な意味合いで使ってきたのかな。

「ほ~、恐怖を感じないか。お前の従魔も、とは恐れ入る」

「恐怖? 今の衝撃波は恐怖を感じるものだったの?」

 サターンが嬉しそうに説明してくれる。ウルドとプラナと顔を見合って首を傾げた。一応、特殊な効果のある攻撃をしてきていたみたい。僕らが強くなり過ぎたってことか?

「さあ、無駄な願いを願った罪を償うがいい!」

 黒い球を辺りに数えられないほど作り出すサターン。そのすべてが闇属性の魔法みたいだ。地面に触れた黒い球が小さなクレーターを作ってる。人が当たったらひとたまりもない。
 一つ、二つ躱し距離を取る。ウルドも同じように躱しているけど、プラナはものともせずに黒い球を握りつぶす。ウルドは敏捷性の回避タイプ。プラナは堅牢な防御タイプといった感じか。

「お、おい! アキラ! 大丈夫か?」

「アキラ!」

 サターンの恐怖の衝撃波が村まで届いちゃったみたいだ。レッグスとエミが、震える体で村のある方角から心配そうに声をあげる。僕はニッコリと微笑んで手を振って見せた。

「分が悪い。だが、天界への扉を開かせるわけにはいかん」

 両親に手を振っているとサターンが声をあげる。周りに作り出した黒い球を両手に集めだした。黒い球は重なっていくと大きく成長していく。

「あの村を潰すことくらい簡単に出来る。さあ、選べ。村を終わらすか。天界への扉を開けるか」

 サターンはそう言って黒い球を掲げる。背中から羽を生やすと宙に浮いていく。

「僕は二つとも諦めない!」

 僕がそう答える。するとサターンは驚愕して見つめて来た。静寂があたりを支配し、ゆっくりと時間が進んでいく。

「その言葉を言ったものは死ぬ。そう、あいつの様に……。相反するものを両方求めると、その二つから滅ぼされるんだ。だから、俺は一つを滅ぼす……。彼女の為にも」

 日が下っている静寂の中、サターンが後悔のような言葉を吐いていく。彼は何か思う所があるみたいだ。
 僕はただ聞いているだけじゃない。プラナを村に走らせる。守らせるために行かせると、彼は村全体に結界のような光を作り出す。【プロテクトサークル】と聞こえて来た。防御に特化した魔法と言ったところか。
 サターンの作った黒い結界は僕らには効いてないみたいだ。何の抵抗もなく出れてる。

「さあ、滅びろ!」

「ウルド!」

 サターンが黒い球を村へと放る。ゆっくりと下っていく黒い球。僕はその声を聞いてウルドに声をあげる。彼女は分かった様子で僕を抱き上げる。
 抱き上げたままサターンへと飛んでくれるウルド。サターンは小さな黒い球を作り出して迎撃してくる。

「我がマスターに殺意を向けるな! 【ブラッドムーン】」

「ぐ!?」

 ウルドは殺意のこもった声をあげる。すると彼女は血の色をした三日月を魔法で作り出して黒い球を消し去る。サターンはその三日月の魔法を受けて、左腕が消し飛ぶ。冷や汗をかくサターンにウルドに指示を飛ばす。
 彼女は僕を放り投げる。

「天界への扉の開け方を教えて欲しいな」

「ふ、私がここまで舐められるとは……」

 サターンに抱き着き問いかける。ウルドの放る速度は彼の反射神経を軽く超えるものだった。簡単にとりつくことが出来た。
 サターンは冷や汗をかきながらも笑って見せてくる。

「教えてやろう。天使の羽、これを天使がもてばいいだけだ」

 サターンは胸のポケットから羽根を取り出して教えてくれる。簡単に教えてくれるんだな。
 僕に見せて来た羽根を奪おうと肩に移動して手を伸ばす。サターンは抵抗してこない。なんかおかしいな。

「「アキラ!」」

「もう遅い」

 レッグスとエミが血相を変えて叫んでいるのが聞こえる。羽根に手が届いて安堵していた僕、サターンが次の手を考えていたみたいだ。あたりを見回すと、僕とサターンとウルドが黒い球に包まれていた。
 サターンが声をあげると共に視界が全く別の土地に変わる。

「マスター! 転移魔法です!」

「転移?」

 ウルドが驚愕して声をあげる。僕がサターンの肩で首を傾げて見せるとウルドはすぐに僕を抱きかかえる。羽根はしっかりと僕の手に。

「我が国へようこそ。豪胆さは死を招くという事をおしえてやろう。さあ、パーティーの始まりだ」

 サターンはそう言って右腕を天へと掲げる。掲げられた手から艶のある黒い球を撃ちだす。玉は天へと上り大きな音と共に爆発を起こした。
 その音が合図となり、真下の城壁に囲まれた町から魔族が飛び立ってくる。少しすると僕らを囲うように魔族が集まりだす。

「けけけ、魔王様。戦争の合図とはどういうことでしょうか?」

「ん~? 人間と片翼の犬人?」

 魔族は魔王にお辞儀をすると僕らに気が付いて声をあげる。
 どうやら、本当に魔族の国に来てしまったみたいだ。ってことは下に広がる町は魔国、サダラーンってことか。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!

日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」 見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。 神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。 特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。 突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。 なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。 ・魔物に襲われている女の子との出会い ・勇者との出会い ・魔王との出会い ・他の転生者との出会い ・波長の合う仲間との出会い etc....... チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。 その時クロムは何を想い、何をするのか…… このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...