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第一章
第42話 住宅の空間
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「みんな~、ご飯よ~」
カタリナ様達が来てから二日ほどが経った。ベロニカさんが草原で遊んでる僕らに声をかけてくる。カタリナ様達と話して、宿屋に帰ってきたらすぐに異世界商店の住宅に入ることにした。ベロニカさんが安心するって言うのもあるけど、住宅の方が調理器具が整ってるから彼女の腕が冴えるんだよね。調味料も完備されてるからいちいち買わなくてもいいからね。
「ん~。美味し~。ベロニカは本当に料理が上手いな~。私も上手くなるだろうか?」
「大丈夫よアイラさん。しっかりと練習すればうまくなるわ」
アイラとベロニカさんが料理をつまみながら話す。思わず微笑んでしまう光景だな。
「ニカお兄ちゃん。食べてすぐに遊ぶにゃ」
「了解~」
ルキナちゃんとニカはそういって料理をかきこんでいく。行儀が悪いけど僕らはそんな二人を微笑んで見てる。
「ハヤトお兄ちゃん先に行ってるよ!」
「マスターもすぐに来てほしいにゃ~」
食べ終わるとニカとルキナちゃんは外へと出ていった。住宅の外の草原はどこまでも続いてる。魔物もいない大草原だ。ニカとルキナちゃんが追いかけっこしながら木剣を振り回してる。訓練も兼ねた遊びだな。動きは常人のそれじゃないから僕はあまりやりたくないな~。
「ハヤト。いこう」
「ええ~。僕はもう少しベロニカさんとお茶してるよ」
「まったく、ハヤトは……。剣の腕も磨いておかないダメだぞ。騎士と戦うことになるかも知れないんだからな」
食べ終わったアイラが立ち上がって僕の腕を引っ張ってくる。僕も食べ終わっていたんだけどのんびりしようと思ったんだけど、無理やり引っ張られる。本当はやらないといけないって言うのは分かるんだけどさ。僕には魔法があるからな~。
「せっかくだから魔法の実験でもしようかな」
アイラに引っ張られて外に出ると魔法石を数個購入。oneMagicのストームは城壁を壊してしまうほどの強さを持っていた。その時にふと思い出したんだ。ZeroMagicの存在を。
「さて、グラビティサークルか。重力を操るのかな?」
数個買った中の一つを手に取って力を込める。oneMagicの魔法がそうだったように危険だから誰もいない方向を向いて魔法石を使った。
その瞬間、耳を塞ぎたくなるほどの轟音に襲われて目の前の草原がなくなって円形に陥没していた。
「……。ハヤト? これはなに?」
「え? ははは、グラビティサークルだってさ」
「へ~」
「あ、アイラ……さん?」
アイラが口が開いたまま陥没した地面を指さす。魔法名を言うと怖い笑顔で詰め寄ってきて頬をつねってきた。
「そんな魔法はない! ということは使っちゃダメな魔法! わかった?」
「ひゃ、ひゃい。わかひまひた」
両頬をつねられるままアイラに怒られる。アイラが知らない魔法を使ってしまったようだ。
「今度から私達に聞いてから魔法石を使うこと!」
「はい!」
「こんな魔法聞いたこともない。私が知らないってことは王都でも知られてないはずだぞ!」
凄い剣幕で声をあげるアイラ。なるほど、王都でもってことは少なくともこの国では使える人がいないってことか。それを魔法石で使えてしまう……相変わらずチートだな~。
「興味本位で使っちゃダメってことかな」
「oneMagicの魔法ですら使わない方がいい」
「え? エナさんは使ってたと思ったけど?」
「彼女は特別だぞ。魔法使いでも上位の存在だからね。言葉が魔法になるほどのマナの持ち主だから」
へ~、エナさんってそんなに凄い人だったのか。無口なのは下手に声をあげると魔法になっちゃうからなのかな? 僕もレベルがあがったらそんなことになっちゃうんだろうか? 怖いな。
「おにいちゃ~んそろそろ依頼をしに行こうよ~」
「ルキナも行きたいにゃ」
エナさんの凄さに感心しているとニカとルキナちゃんが声をあげた。住宅の空間の欠点は魔物がいないことだな。
「じゃあ、いくか。ベロニカさんは入ったままでいますか?」
「ん~。宿屋で待つわ。ルビアさん達もいるし」
住宅の扉を開けてベロニカさんに聞く。ルビアさん達も雷の宿屋のお客さんになったんだよな。みんなベロニカさんの料理のとりこだ。
「じゃあ作った料理インベントリに入れていきますね」
「ありがとうハヤトさん」
冷めないうちに料理をしまって行く。因みに料理は朝食ということもあって軽めのコーンスープとパンとベーコンエッグ。食材も完備してる住宅は完璧な家だ。恐ろしいのは入るたんびに新しくなることだな。
外に持っていっても新しくなっているので石鹸やシャンプーは雷の宿屋に置いている。これだけでも宿屋のレベルがアップしてる。ルビアさん達は驚きながらもシャンプーに大喜びしてたな~。
綺麗な髪になった二人を見て僕は眼福でした。もちろん、アイラとベロニカさんを見ても眼福。
雷の宿屋の僕の部屋に帰還する。住宅に入ると僕と一緒にその空間は移動することが分かった。中に入っている人が僕と接触していると出ることが出来て、それ以外は閉じ込めることも可能……誘拐なんか簡単にできちゃうな、しないけど。
「お兄ちゃん! 早く行こ~」
「分かったよニカ。行ってきますベロニカさん」
「行ってらっしゃい」
ニカに引っ張られて部屋を出て出口へと走る。控えめに手を振るベロニカさんに大きく手を振って答える。
ギルドではいつも通り。ゴブリンの依頼を受ける。依頼を受けてふと依頼が貼られている掲示板を見ると真っ白な依頼書が見える。
冒険者ギルドの掲示板に貼られている依頼書は羊皮紙と言われる茶色紙が主。真っ白な紙は珍しいなと目を通すと金のランクの依頼でカタリナ様からの依頼だった。
「カタリナ様からの依頼だ」
「エクリプスの件で忙しいはずなのに」
僕が呟くとアイラが心配そうに呟く。そうだよな~。アキムのいざこざで忙しいはずなのに町の脅威にも対応しないといけない。
僕らの為に動いてくれてるって言うのもあるから、僕が出来ることないかな。
「『求む! 結界の魔法石、またはHollyCircleの魔法を使える魔法使い』これなら、すぐに渡そう」
結界の魔法石が欲しいみたいだ。一回しか使ってない魔法石がある。もしかしたら騎士との話で使う可能性がある。僕はすぐにヴァインに依頼書と魔法石を手渡した。
「は、ハヤトさん! これって!」
「何も聞かずに」
「わ、分かりました。ありがとうございます」
ヴァインは冷や汗をかきながらも魔法石を受け取ってくれる。カタリナ様には言うだろうけど、僕らの為に必要なことかもしれないから致し方ないよな。
「報酬です」
「ええ!? 白銀貨ってやつ?」
ヴェインが2枚の白銀貨を手渡してきた。思わず聞くと無言で頷いて答えた。
「こんなに受け取れないよ!」
「いやいや、正当な値段です。HollyCircleは短くて一日、長くて三日程結界を施すものです
。どの程度長いかわからないのでその値段ですが三日でしたら3枚になるんです。間をとって2枚にしておいたんです」
声をあげるとヴェインが少し呆れた様子で説明してくれた。高価だとは聞いていたけど、これほどとは……。1000Gで買えちゃうんだけどな。
「ハヤトお兄ちゃん。気にしちゃダメだよ。お兄ちゃんは規格外なんだから」
「そうにゃ、そんなことよりも早くゴブリン狩りに行くにゃ~」
ニカとルキナちゃんに引っ張られてヴェインから遠ざかる。その様子にギルドにいたダンと他の冒険者達は口が開きっぱなしになっていた。驚くのも無理はないな。つい最近入った僕らが白銀貨を得ちゃう姿を見ているんだからな。
カタリナ様達が来てから二日ほどが経った。ベロニカさんが草原で遊んでる僕らに声をかけてくる。カタリナ様達と話して、宿屋に帰ってきたらすぐに異世界商店の住宅に入ることにした。ベロニカさんが安心するって言うのもあるけど、住宅の方が調理器具が整ってるから彼女の腕が冴えるんだよね。調味料も完備されてるからいちいち買わなくてもいいからね。
「ん~。美味し~。ベロニカは本当に料理が上手いな~。私も上手くなるだろうか?」
「大丈夫よアイラさん。しっかりと練習すればうまくなるわ」
アイラとベロニカさんが料理をつまみながら話す。思わず微笑んでしまう光景だな。
「ニカお兄ちゃん。食べてすぐに遊ぶにゃ」
「了解~」
ルキナちゃんとニカはそういって料理をかきこんでいく。行儀が悪いけど僕らはそんな二人を微笑んで見てる。
「ハヤトお兄ちゃん先に行ってるよ!」
「マスターもすぐに来てほしいにゃ~」
食べ終わるとニカとルキナちゃんは外へと出ていった。住宅の外の草原はどこまでも続いてる。魔物もいない大草原だ。ニカとルキナちゃんが追いかけっこしながら木剣を振り回してる。訓練も兼ねた遊びだな。動きは常人のそれじゃないから僕はあまりやりたくないな~。
「ハヤト。いこう」
「ええ~。僕はもう少しベロニカさんとお茶してるよ」
「まったく、ハヤトは……。剣の腕も磨いておかないダメだぞ。騎士と戦うことになるかも知れないんだからな」
食べ終わったアイラが立ち上がって僕の腕を引っ張ってくる。僕も食べ終わっていたんだけどのんびりしようと思ったんだけど、無理やり引っ張られる。本当はやらないといけないって言うのは分かるんだけどさ。僕には魔法があるからな~。
「せっかくだから魔法の実験でもしようかな」
アイラに引っ張られて外に出ると魔法石を数個購入。oneMagicのストームは城壁を壊してしまうほどの強さを持っていた。その時にふと思い出したんだ。ZeroMagicの存在を。
「さて、グラビティサークルか。重力を操るのかな?」
数個買った中の一つを手に取って力を込める。oneMagicの魔法がそうだったように危険だから誰もいない方向を向いて魔法石を使った。
その瞬間、耳を塞ぎたくなるほどの轟音に襲われて目の前の草原がなくなって円形に陥没していた。
「……。ハヤト? これはなに?」
「え? ははは、グラビティサークルだってさ」
「へ~」
「あ、アイラ……さん?」
アイラが口が開いたまま陥没した地面を指さす。魔法名を言うと怖い笑顔で詰め寄ってきて頬をつねってきた。
「そんな魔法はない! ということは使っちゃダメな魔法! わかった?」
「ひゃ、ひゃい。わかひまひた」
両頬をつねられるままアイラに怒られる。アイラが知らない魔法を使ってしまったようだ。
「今度から私達に聞いてから魔法石を使うこと!」
「はい!」
「こんな魔法聞いたこともない。私が知らないってことは王都でも知られてないはずだぞ!」
凄い剣幕で声をあげるアイラ。なるほど、王都でもってことは少なくともこの国では使える人がいないってことか。それを魔法石で使えてしまう……相変わらずチートだな~。
「興味本位で使っちゃダメってことかな」
「oneMagicの魔法ですら使わない方がいい」
「え? エナさんは使ってたと思ったけど?」
「彼女は特別だぞ。魔法使いでも上位の存在だからね。言葉が魔法になるほどのマナの持ち主だから」
へ~、エナさんってそんなに凄い人だったのか。無口なのは下手に声をあげると魔法になっちゃうからなのかな? 僕もレベルがあがったらそんなことになっちゃうんだろうか? 怖いな。
「おにいちゃ~んそろそろ依頼をしに行こうよ~」
「ルキナも行きたいにゃ」
エナさんの凄さに感心しているとニカとルキナちゃんが声をあげた。住宅の空間の欠点は魔物がいないことだな。
「じゃあ、いくか。ベロニカさんは入ったままでいますか?」
「ん~。宿屋で待つわ。ルビアさん達もいるし」
住宅の扉を開けてベロニカさんに聞く。ルビアさん達も雷の宿屋のお客さんになったんだよな。みんなベロニカさんの料理のとりこだ。
「じゃあ作った料理インベントリに入れていきますね」
「ありがとうハヤトさん」
冷めないうちに料理をしまって行く。因みに料理は朝食ということもあって軽めのコーンスープとパンとベーコンエッグ。食材も完備してる住宅は完璧な家だ。恐ろしいのは入るたんびに新しくなることだな。
外に持っていっても新しくなっているので石鹸やシャンプーは雷の宿屋に置いている。これだけでも宿屋のレベルがアップしてる。ルビアさん達は驚きながらもシャンプーに大喜びしてたな~。
綺麗な髪になった二人を見て僕は眼福でした。もちろん、アイラとベロニカさんを見ても眼福。
雷の宿屋の僕の部屋に帰還する。住宅に入ると僕と一緒にその空間は移動することが分かった。中に入っている人が僕と接触していると出ることが出来て、それ以外は閉じ込めることも可能……誘拐なんか簡単にできちゃうな、しないけど。
「お兄ちゃん! 早く行こ~」
「分かったよニカ。行ってきますベロニカさん」
「行ってらっしゃい」
ニカに引っ張られて部屋を出て出口へと走る。控えめに手を振るベロニカさんに大きく手を振って答える。
ギルドではいつも通り。ゴブリンの依頼を受ける。依頼を受けてふと依頼が貼られている掲示板を見ると真っ白な依頼書が見える。
冒険者ギルドの掲示板に貼られている依頼書は羊皮紙と言われる茶色紙が主。真っ白な紙は珍しいなと目を通すと金のランクの依頼でカタリナ様からの依頼だった。
「カタリナ様からの依頼だ」
「エクリプスの件で忙しいはずなのに」
僕が呟くとアイラが心配そうに呟く。そうだよな~。アキムのいざこざで忙しいはずなのに町の脅威にも対応しないといけない。
僕らの為に動いてくれてるって言うのもあるから、僕が出来ることないかな。
「『求む! 結界の魔法石、またはHollyCircleの魔法を使える魔法使い』これなら、すぐに渡そう」
結界の魔法石が欲しいみたいだ。一回しか使ってない魔法石がある。もしかしたら騎士との話で使う可能性がある。僕はすぐにヴァインに依頼書と魔法石を手渡した。
「は、ハヤトさん! これって!」
「何も聞かずに」
「わ、分かりました。ありがとうございます」
ヴァインは冷や汗をかきながらも魔法石を受け取ってくれる。カタリナ様には言うだろうけど、僕らの為に必要なことかもしれないから致し方ないよな。
「報酬です」
「ええ!? 白銀貨ってやつ?」
ヴェインが2枚の白銀貨を手渡してきた。思わず聞くと無言で頷いて答えた。
「こんなに受け取れないよ!」
「いやいや、正当な値段です。HollyCircleは短くて一日、長くて三日程結界を施すものです
。どの程度長いかわからないのでその値段ですが三日でしたら3枚になるんです。間をとって2枚にしておいたんです」
声をあげるとヴェインが少し呆れた様子で説明してくれた。高価だとは聞いていたけど、これほどとは……。1000Gで買えちゃうんだけどな。
「ハヤトお兄ちゃん。気にしちゃダメだよ。お兄ちゃんは規格外なんだから」
「そうにゃ、そんなことよりも早くゴブリン狩りに行くにゃ~」
ニカとルキナちゃんに引っ張られてヴェインから遠ざかる。その様子にギルドにいたダンと他の冒険者達は口が開きっぱなしになっていた。驚くのも無理はないな。つい最近入った僕らが白銀貨を得ちゃう姿を見ているんだからな。
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