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第二章 黒煙

第四十五話 建設

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 さてさて、子供達の為に採掘採掘。と思ったのだけど、ダリルさんの勧めで孤児院の建物を作ることになりました。屋敷は後回しでいいって言われました、子供達の事が最優先って事だね。
    これだけの人数がいると宿屋を通って入ると混雑するって言うのが一番の理由だけどハッキリ言って酒場の見える所を通るのも何かねって事で隣の畑の敷地に建物を作ることになりました。
 
 どんな建物にしようかな~。教会?屋敷?この二つはみんな怖がるんだよね。ゴブリンから助けた子供達は大丈夫だけどあとの二か所で助けた子供達はこの二つの建物を怖がってしまうんだ。
 やっぱり、トラウマのような状態になっているんだと思う。そうなるとこの二つの建物の外観はあまりよろしくない。
 さて、そうなると建物が限られてきてしまう。豪華な外観にすると屋敷に見えてしまうし左右対称だと教会っぽさと屋敷っぽさが合わさってしまうし、う~んどうしよう。

「兄さん、どうしたの?作らないの?」
「ユアン、兄さんは困っているんだよ。屋敷や教会だと子供達は嫌ってしまうし」
「そんなことないと思うけどな。兄さんが作った物だったらみんな喜ぶと思うんだけど」
「う~ん、出来るだけ僕に気を使わなくて済むようにしたいんだ」

 ユアンの言う、甘えにはあんまり頼らずに気に入ってもらえるようにしたいんだよね。横長の百坪ほどの敷地に作るわけだけど左右対称ではない建物を考えていこうかな。

 庭にはやっぱり噴水と花壇だよね。クルシュ様のお屋敷に行った時のあの庭園をイメージして植えていこう。噴水を囲うように植えていきます。実は花系統のタネも多く手に入っているので手間も省けるのだ。二十五坪ほどの敷地を庭にしてあとを建物にしていく、七十五坪の建物ってどんだけ大きくなるんだろう?

「凄い大きな建物になるんだね」
「ああ、モナーナ。あれだけの人数だからね。大きければ大きいほどいいかと思って」

 モナーナが庭の境目から建物の大きさを察して話した。総勢60人以上の子供達だからね。これでも足りるか心配だよ。

 花の種も植え終わって建物の建設に入っていきます。
 一階はリビングとキッチンにして全員で食事ができる食堂と簡単な運動が出来る運動場のような作りにしていく三十七坪の敷地を食堂にしてあとの三十八坪の範囲を運動室にする。
 運動室は二階まで天井を高くして食堂は普通の一階の範囲にします。玄関から上に上がれるように階段をつけて二階から子供達の部屋を作っていきます。食堂の上なので三十七坪の範囲、総勢60人以上だから部屋数も凄い事になる予定です。
 四坪8メートルほどの広い部屋を作って9部屋二階に作る。半端になった範囲は一メートルほどなので通路にすればいい、丁度いい感じになった。二階を完成させたくらいで日が傾いてきた。夕日が横からさすようになってきたので一度休憩にしようと二階から降りていくと子供達をつれてラザラさんが様子を見に来た。

「ルークさん凄いですね。花壇までできていて建物も立派な物が、一日でここまでできてしまうなんてルークさんはどこまで」

 子供達は庭で遊びだしてラザラさんはその庭と建物をみて驚きの声を上げた。僕の事を称賛しているんだけど何だか呆れの声っぽいのは気のせいだろうか?

「ルークさんは常識がないので許してあげてください」
「メイさん、その言い方だと僕がダメみたいじゃないですか~」
「ダメではないですよ。ただ揶揄っているだけですし」

 メイさんもやってきてラザラさんとの話を聞いて僕を揶揄う材料を得てしまったようです。揶揄うだけ揶揄ってメイさんは子供達と遊びだした。建物にも入っていって視察し始めています。何だか緊張する。

「本当にここで孤児院をしていいんですか?」
「良いも何も孤児院にする為に作ったので、中も見てみてください。キッチンも大きいので気に入ってもらえると嬉しいです」

 僕の勧めでラザラさんも建物の中に入っていく、子供達もラザラさんに続いて入っていく。暗くなってきているけど光の魔法を入れてある、ダイヤで作った魔石が所々に設置してあるので建物の中は明るくなります。気に入ってもらえるかな~?

 僕はそう思いながら嗜む子牛亭の中に入ってダリルさんの作ったパンを口に運んだ。その時にふと思った食べ物を作る事にしました。

「何をしてるにゃ?」

 ニャムさんが調理場で作業している僕に気が付いて声をかけてきた。僕はフライパンをフリフリ。

「果物がいっぱい取れたからジャムにしてみようと思って作ってるんだ」
「ジャム、それは良いにゃ」

 ニャムさんはジャムと聞いて舌なめずりをして尻尾をフリフリしている。白いパンが好きなニャムさんだからジャムの事も知っているようだ。黒いパンはシチューなどの温かいスープが合うんだけど白いパンは甘いジャムが合うんだよね。
 という事でジャムを製作していきます。流石に果物をコネコネするわけにもいかないのでちゃんと調理工程を実行していきます。定番のイチゴジャムから製作します。

「砂糖は入れないのかにゃ?」
「これだけ甘ければいらないかな」

 ニャムさんに砂糖を入れていない事を指摘されたんだけど、すでに完成品かと疑いたくなるほどの甘さなので大丈夫なんだよね。イチゴのへたを取って細かく刻んでフライパンへ、弱火でじっくり30分間、転がしながら熱していくと赤みが増してきて甘味も増してきました。

「ちょっと一口・・・・」
「ルーク大丈夫かにゃ?」

 僕はイチゴジャムを舐めて涙を流した。そんな僕を見てニャムさんは心配している。僕は無言でイチゴジャムをへらですくってニャムさんにもあげるとニャムさんも口に運んだ。

「美味しすぎるにゃ。みんなにも食べてもらうにゃ」

 ニャムさんもフライパンに火を通してイチゴジャムを製作していく、ニャムさんも自炊をしていただけあってこう言った事を得意としている。二人で作っていくとかなりの数が出来てくるんだけど流石に時間がかかる。

「ルークさんあの建物は凄いですね。それにしてもいい匂いですね。なにを作っているんですか?」

 ニャムさんと一緒にイチゴジャムを作っているとラザラさんとメイさん達が帰ってきた。子供達も帰ってきてリビングがにぎやかです。イチゴジャムを作っている事を伝えるとラザラさんとメイさんも手伝ってくれるみたい。

「私はブルーベリーのジャムを作ってみます」
「じゃあ私はサクランボをやってみましょう」

 どれもこれも通常よりも大きな物だから量が凄い事になってる。4人で作っても大変だけど子供達の為にもいっぱい作らないとね。

 アラト君とイラト君が帰ってきてワティスさんの所で働く子供達も帰ってくるとみんなでパンパーティになりました。パンだけじゃ足りないのでホットケーキを作ったりして代用した。アイテムバッグに常備していたパンがなくなってしまいました。ワティスさんに調達してもらわないといけなくなっちゃったかも。
 子供達の笑顔が見れたからいいけどね。
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