トキトキの町のアクア

カムイイムカ(神威異夢華)

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第二話 恩返し

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 ここは、トキトキの町、青年は驚いていた。

「にゃ~」

 悪い男達の襲撃から三日、アクアはある青年の家の前に座っていた。

「今日も撫でさせてくれるのかい?」

 あの日からアクアは青年、ウィルの家に毎日通っていた。ウィルはあの悪い人達が訪れた時に橋の前まで来ていた。ウィルはアクアを見ていたのだった。

「にゃん」

「ああ、もう行ってしまうのかい?」

 いくらか撫でまわされるとアクアはそっぽを向いて、ウィルの家の向かいの家へ。その屋根で丸まって目を閉じた。日当たりのいい屋根で眠るアクアはとても気持ちよさそうでウィルの眠気を誘うものだった。

「やあ、また来てくれたのかい?」

「にゃ~」

 更に次の日も、アクアはウィルの家の前にいた。

 ウィルは笑顔でアクアを撫でる。アクアは目を細めて気持ちよさそうにしている。

「にゃん」

「また一撫で? アクアは何がしたいのだろう」

 ウィルは首を傾げる。なんでアクアは毎日、家の前にいるのだろうと。

 アクアは考えていた。ウィルに見られていたのではないかと、そして、アクアは毎日、彼の前に訪れていた。
 でも、ウィルは何もしてこない。アクアの不思議な力に手を出そうとしてこない。

 そこでアクアは内緒にしてくれているウィルに、恩返しができないかと頭を悩ませた。

 アクアはあることを思いつく。

「にゃ~」

「やあ、また来てくれたのかい? ん? それは何だい?」

 また次の日、アクアはウィルの家の前、ある物を咥えてアクアは尻尾を揺らして座っていた。

「んにゃ」

「鳥の羽?」

 それは綺麗な鳥の羽、黄色に輝く鳥の羽はとても綺麗でウィルは目を奪われた。

「これを僕にくれるのかい?」

「んにゃ」

 アクアがウィルに答えるとウィルは羽を手に取る。それを確認したアクアはすぐに定位置の向かいの家の屋根へ。

「綺麗だな~」

 ウィルは家に戻って、羽を見つめる。とても綺麗でため息が出てしまうようだ。

「そうだ、これを使ってアクセサリーを作ろう。折角、アクアがくれたんだから大事にしなくちゃ」

 ウィルはそう言ってアクセサリーを作る準備をする。幸いなことに、ウィルは装飾品を作ることに長けていた。すぐにでも出来上がるだろう。

「よし、これで後は羽を...あっ!」

 ネックレスが出来上がり、羽を加えようと手に取ると、羽がひとりでに飛び上がり、閉めていたはずの窓から飛び出していった。ウィルは慌てて外へと羽を追いかける。

 羽はウィルから遠ざかり、町の中央、教会の前へと舞い降りた。

「ハァハァ、どうして、こんなところまで...」

 ウィルは息を切らせて、羽の前へたどり着いた。羽を取ろうとしゃがむと頭に鈍い痛みが走る。

「きゃ」「わっ」

 ウィルとシスターが羽を取ろうとして、頭をぶつけあってしまった。

「ごめんなさいシスターララ」

「あっ、いえ、こちらこそ、綺麗な羽だったものでつい」

 二人とも頬を赤く染めてペコペコと謝りあっている。

「にゃ~」

 そこへアクアが現れて、ネックレスをウィルの足元へ。

「アクア? それにネックレス?」

 ウィルは頭を傾げて、ネックレスを手に取った。すると、まるで吸い寄せられるように羽がネックレスへと重なっていく。

「綺麗・・・」

 その様子を見ていたシスターララが声をもらした。

「ありがとうございます」

 ウィルは褒めてくれたシスターララに俯き加減にお礼を言った。

「にゃ~」

 ウィルは照れながら、ネックレスをシスターララに手渡した。アクアはにっこりとほほ笑んで鳴き声をあげる。

 見事にアクアは、ウィルに、お礼をすることに成功しましたとさ。

 この町はいくつもの奇跡が舞い降りる町、トキトキ。奇跡を起こすアクアは今日も鳴き声を町に響かせていた。
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