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第三十一話 ピクニック
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――この家に来てからもう、一週間が経った。
最初に着た頃は戸惑ってばかりだったが、すっかり彼女たちとの生活にも慣れてきた。
サキちゃんと遊んだり、マニュと散歩をしたり、エレオノーラとお風呂に入ったり、ルーラにマッサージをしてもらったり……そんなとりとめのなことばかりしていたが、とても楽しい毎日を送っていた。
美味しいごはんをしっかり食べて、体も休めて、彼女たちの笑顔で気分をリフレッシュさせて、マッサージもして、軽い運動もしていたおかげだろうか。
怪我をしてあまり動かなかった俺の体も、少しずつ動くようにはなっていた。
具体的には、サキちゃんと追いかけっこができる程度には回復していたのである。
だから俺は、ずっと考えていたことを彼女たちに伝えてみることにした。
夜。夕食をみんなで食べている時に、話を切り出してみることに。
「あのさ、できたらいいんだけど……近いうちに、ピクニックとか行ってみない?」
そう。前々から、みんなと外に出てみたいと思っていた。
このあたりは魔物の生息地のようだが、まったく出現する気配もない。自然は豊かで気持ちの良い場所なので、外でのんびりするのは楽しそうだと考えていたのである。
とはいえ、彼女たちの気分次第だけど。
「嫌だったら、断ってくれてもいいんだけど……みんなと外出してみたいなって」
まぁ、あまり気を遣いすぎるのは良くないとこの一週間で俺は学んでいた。
これもまた『わがまま』ということになるのかもしれない。
そんな俺の提案に、真っ先に声を上げたのはサキちゃんだった。
「いく! ピクニックする!!」
見るからに目を輝かせてはしゃいでいた。
良かった。この子に渋られたらそれで終わりだと思っていたけど、乗り気なら何よりである。
「そういえばここに来てから一度もみんなと出かけたことないもんね~。わたしもいーと思いまっす!」
「流石ね、下僕……悪くない案だわ」
続いてマニュとエレオノーラも賛同してくれた。
さて、後はルーラだけだが。
「……ご主人様。お体は、大丈夫なのですか?」
唯一、彼女だけは不安そうだった。
とはいっても、俺の案が嫌というわけではなく、単純に俺のことを心配してくれているらしい。
「大丈夫。体の調子は問題ないよ」
でも、気にしないでいいと伝えた。
これは強がりでもなんでもない。この家に来てからというもの、体の回復が早いのだ。
これなら、思ったよりも早くある程度の回復が見込めそうなくらいに。
今はまだ軽く走る程度しかできないが、ピクニックくらいなら何も心配は要らないだろう。
「……分かりました。では、行きましょうか」
俺の言葉に納得したのか、ルーラは小さく笑った。どうにか安心してくれたようだ。
これでピクニックに行くことが決まったようである。
「にひひっ。たのしみだな~。おにーちゃんとお出かけなんて、わくわくするよっ」
「何を着ていこうかしら……あ、下僕のワンピース着てあげるわね」
「やったー! サキね、おにぎりつくるっ。」
「では、サキ様もちょっと早起きしないとダメですね。一緒に作りましょうか」
四人ともピクニックそのものを楽しみにしてくれていた。
俺の提案でこんなに喜んでくれるんなんて……本当にいい子たちである。
「で、いつ行こっか?」
近いうち、なので具体的な日時までは考えていなかった。
「みんなの都合が合う日にしよう」
そんな俺の言葉に、四人は同時に言葉を揃える。
「あした!」
「明日じゃないかなっ」
「明日がいいんじゃないかしら」
「明日でよろしいかと」
と、いうわけで。
早速、明日から俺たちはピクニックに行くことになるのだった。
今日は早めに寝る必要がありそうである。
――深夜。
元勇者にして居候のカレスが寝た頃、四人の幼女のうち三人は外に出ていた。
「下僕のことはサキに任せて大丈夫よね……何かあったら、すぐに駆け付けるということで」
「うんっ。まぁ、わたしがいればどうにでもなるから大丈夫じゃないかなっ」
「……三人で済ませた方が早いですからね。すぐに終わらせて、わたくしたちもしっかり寝ましょう」
魔王の娘、エレオノーラ。
邪神、アンラ・マンユ。
現勇者、ルーラ。
この三人は、森の方へと入っていく。
その目的は――魔物の掃討だった。
カレスは魔物が出現しないのでこの付近は安全だと考えていたらしいが、実はそんなことはない。
いつもはアンラ・マンユことマニュが散歩のついでに魔物を駆逐しているので、魔物がカレスの前に現れないだけだ。
明日の朝、五人はピクニックに行くことになっている。
もちろん、ピクニックなのだからもう少し森の奥に入ることになるだろう。
その際に魔物が出ないように、三人は夜のうちに付近の魔物を殲滅しておこと話し合ったのだ。
邪神のマニュはもちろんだが、魔王の娘エレオノーラも、そして現勇者であるルーラも、その実力には凄まじいものがある。
単体で圧倒的な実力を誇る三人が、手を組んでいるのだ。魔物の掃討もすぐに終わった。
「こんなものかしら」
「もう見当たらないし、帰ろうよ~」
「もしかしたら、見落としもあるかもしれませんが……いざとなったら、わたくしたち三人のうち誰かが対処すれば良いでしょう。」
危険はない。
そう判断して、三人は家へと帰ることにする。
「ふふっ。明日は楽しみね……」
「おにーちゃんとお出かけするの初めてだし、ドキドキするかもっ」
「こうして一緒に過ごせるようになって、本当に良かったです」
なんだかんだ、この三人もカレスとピクニックに行けることを楽しみにしているのだ。
そして、夜が明ける。
いよいよ、ピクニック当日である――
最初に着た頃は戸惑ってばかりだったが、すっかり彼女たちとの生活にも慣れてきた。
サキちゃんと遊んだり、マニュと散歩をしたり、エレオノーラとお風呂に入ったり、ルーラにマッサージをしてもらったり……そんなとりとめのなことばかりしていたが、とても楽しい毎日を送っていた。
美味しいごはんをしっかり食べて、体も休めて、彼女たちの笑顔で気分をリフレッシュさせて、マッサージもして、軽い運動もしていたおかげだろうか。
怪我をしてあまり動かなかった俺の体も、少しずつ動くようにはなっていた。
具体的には、サキちゃんと追いかけっこができる程度には回復していたのである。
だから俺は、ずっと考えていたことを彼女たちに伝えてみることにした。
夜。夕食をみんなで食べている時に、話を切り出してみることに。
「あのさ、できたらいいんだけど……近いうちに、ピクニックとか行ってみない?」
そう。前々から、みんなと外に出てみたいと思っていた。
このあたりは魔物の生息地のようだが、まったく出現する気配もない。自然は豊かで気持ちの良い場所なので、外でのんびりするのは楽しそうだと考えていたのである。
とはいえ、彼女たちの気分次第だけど。
「嫌だったら、断ってくれてもいいんだけど……みんなと外出してみたいなって」
まぁ、あまり気を遣いすぎるのは良くないとこの一週間で俺は学んでいた。
これもまた『わがまま』ということになるのかもしれない。
そんな俺の提案に、真っ先に声を上げたのはサキちゃんだった。
「いく! ピクニックする!!」
見るからに目を輝かせてはしゃいでいた。
良かった。この子に渋られたらそれで終わりだと思っていたけど、乗り気なら何よりである。
「そういえばここに来てから一度もみんなと出かけたことないもんね~。わたしもいーと思いまっす!」
「流石ね、下僕……悪くない案だわ」
続いてマニュとエレオノーラも賛同してくれた。
さて、後はルーラだけだが。
「……ご主人様。お体は、大丈夫なのですか?」
唯一、彼女だけは不安そうだった。
とはいっても、俺の案が嫌というわけではなく、単純に俺のことを心配してくれているらしい。
「大丈夫。体の調子は問題ないよ」
でも、気にしないでいいと伝えた。
これは強がりでもなんでもない。この家に来てからというもの、体の回復が早いのだ。
これなら、思ったよりも早くある程度の回復が見込めそうなくらいに。
今はまだ軽く走る程度しかできないが、ピクニックくらいなら何も心配は要らないだろう。
「……分かりました。では、行きましょうか」
俺の言葉に納得したのか、ルーラは小さく笑った。どうにか安心してくれたようだ。
これでピクニックに行くことが決まったようである。
「にひひっ。たのしみだな~。おにーちゃんとお出かけなんて、わくわくするよっ」
「何を着ていこうかしら……あ、下僕のワンピース着てあげるわね」
「やったー! サキね、おにぎりつくるっ。」
「では、サキ様もちょっと早起きしないとダメですね。一緒に作りましょうか」
四人ともピクニックそのものを楽しみにしてくれていた。
俺の提案でこんなに喜んでくれるんなんて……本当にいい子たちである。
「で、いつ行こっか?」
近いうち、なので具体的な日時までは考えていなかった。
「みんなの都合が合う日にしよう」
そんな俺の言葉に、四人は同時に言葉を揃える。
「あした!」
「明日じゃないかなっ」
「明日がいいんじゃないかしら」
「明日でよろしいかと」
と、いうわけで。
早速、明日から俺たちはピクニックに行くことになるのだった。
今日は早めに寝る必要がありそうである。
――深夜。
元勇者にして居候のカレスが寝た頃、四人の幼女のうち三人は外に出ていた。
「下僕のことはサキに任せて大丈夫よね……何かあったら、すぐに駆け付けるということで」
「うんっ。まぁ、わたしがいればどうにでもなるから大丈夫じゃないかなっ」
「……三人で済ませた方が早いですからね。すぐに終わらせて、わたくしたちもしっかり寝ましょう」
魔王の娘、エレオノーラ。
邪神、アンラ・マンユ。
現勇者、ルーラ。
この三人は、森の方へと入っていく。
その目的は――魔物の掃討だった。
カレスは魔物が出現しないのでこの付近は安全だと考えていたらしいが、実はそんなことはない。
いつもはアンラ・マンユことマニュが散歩のついでに魔物を駆逐しているので、魔物がカレスの前に現れないだけだ。
明日の朝、五人はピクニックに行くことになっている。
もちろん、ピクニックなのだからもう少し森の奥に入ることになるだろう。
その際に魔物が出ないように、三人は夜のうちに付近の魔物を殲滅しておこと話し合ったのだ。
邪神のマニュはもちろんだが、魔王の娘エレオノーラも、そして現勇者であるルーラも、その実力には凄まじいものがある。
単体で圧倒的な実力を誇る三人が、手を組んでいるのだ。魔物の掃討もすぐに終わった。
「こんなものかしら」
「もう見当たらないし、帰ろうよ~」
「もしかしたら、見落としもあるかもしれませんが……いざとなったら、わたくしたち三人のうち誰かが対処すれば良いでしょう。」
危険はない。
そう判断して、三人は家へと帰ることにする。
「ふふっ。明日は楽しみね……」
「おにーちゃんとお出かけするの初めてだし、ドキドキするかもっ」
「こうして一緒に過ごせるようになって、本当に良かったです」
なんだかんだ、この三人もカレスとピクニックに行けることを楽しみにしているのだ。
そして、夜が明ける。
いよいよ、ピクニック当日である――
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