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59 バカップル

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突然塞がれた唇、なすがままに舌を絡め取られ、初めての快感に衝撃を受けた京平は、頬を赤らめ自分の唇を両手で隠した。

乙女のように座り込む京平にスセリビメは、再び抱き寄せた。

「ひい様!破廉恥極まりないですぞ!」

鴉天狗が、血相を変え二人を引き離そうと京平の肩に手をかけた。

「何をする!妾は、京平さまと契りを交わしました。二人の愛を引き裂くのは、何人たりとも許しませぬ」

完全に機能停止状態の京平をスセリビメと鴉天狗が、取り合いをしていた。

「ひいは、愛と嫉妬を司る神にゃ。京平の告白で、ひいの本能を刺激してしまったにゃ」

「ほほほ、微笑ましいでございますなぁ」

朧と浅葱は、どうにでもなれと客観視していた。このままでは、治りつかないと、佐久夜は、京平の元に歩み寄った。

スセリビメとのキスの余韻に未だに機能停止状態の京平。佐久夜は、胸ぐらを掴み、思いっきり拳骨を落とした。

「イッテェ!!」

ゴチンとその場の全員に聞こえた、拳骨の音。京平は、頭を両手で押さえ悶えている。

「スセリビメ様!俺たちは高校生です!まずは、順序を守って、健全なお付き合いからお願いします」

佐久夜は、悶える京平の耳を思いっきり掴んで引っ張った。

「京平!いくら気持ち良かったからって、それくらいで腑抜けになるな!いったん神社に帰るよ!」

間に挟まっていた京平を奪われたスセリビメと鴉天狗は、呆然と佐久夜を見つめた。佐久夜は、京平の耳を引っ張ったまま階段を降りていく。

「スセリビメちゃん!俺は、君大好きだぁ」

耳を引っ張られながら覚醒した京平は、告白を続ける。

「俺と結婚してください!」

「まだ言うか!早い!段階を踏め」

佐久夜が、京平を投げ飛ばし、再び拳骨を落とした。

「京平さま、それは、誠か?妾と契りを交わすのか?」

「俺を信じろ!スセリビメ!」

京平は、佐久夜に投げ飛ばされ、拳骨を喰らいながら、愛を叫ぶ。その言葉を潤んだ瞳で、受け止めるスセリビメ。

「佐久夜、おバカ二人は、諦めるにゃ」

京平は立ち上がり、スセリビメの元へ走り出す。スセリビメも鴉天狗を押し退け、階段を駆け降りた。ガシッと皆が見る前でお互いを抱きしめ合った。

「お客人、ウチのひい様が申し訳ない」

「いや、こちらのバカもご迷惑おかけします」

完全に二人の世界となったスセリビメと京平を置いて、佐久夜たちは最初に控えていた客間へ戻ることにした。

残された京平とスセリビメは、並んで階段に座り、手を握り合ってお互いの想いを語り合った。

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