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60 また逢う日まで
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「今日、一番疲れた」
佐久夜は、控えの間に戻ると卓上に上半身を乗せ突っ伏した。
「ほほほ、お茶でも淹れるでございますか?」
浅葱は、急須に湯を注ぎ、茶葉を回して湯呑みにお茶を淹れた。
佐久夜は、カラカラに乾いた喉をお茶で潤していく。
浅葱に礼を言うと、にっこりと微笑んだ。
「佐久夜兄ちゃん、この赤い餅も食べても良いのか?」
朱丸は、卓上の茶菓子を持って、佐久夜に問いかけた。
「食べても良いよ」
両手を上げ、喜ぶ朱丸に佐久夜は指で頭を撫でる。嬉しそうに笑って、包み紙を開ける朱丸の姿に癒される。
「京平のこと、放って置いて良かったのか?」
「ん?ひいの加護が与えられるから、問題ないにゃ」
スセリビメの加護が、与えられる?
「ひいは、京平に執着したにゃ。この『ウラ』では、ひいの加護は、無敵にゃ」
座布団の上で、ザリザリと舌を使って毛繕いをしながら、朧は、淡々と佐久夜に説明をした。
「ハァ~」
鴉天狗が、がっくりと肩を落とし、ため息を吐く。
「ハァ~」
これからの事を憂い、鴉天狗は何度もため息を吐いた。
「あの…うちのバカが、申し訳ないです」
居た堪れなくなった佐久夜が、鴉天狗に詫びる。
「いや、ウチのひい様が、とんだご迷惑をおかけしました」
鴉天狗からすれば、京平の暴走よりもスセリビメの行動の方が、問題だったらしい。
「………」
お互いに無言のまま、時が過ぎる。
バン!
襖が勢いよく開くと、頬を紅潮させ、肌をツヤツヤさせた京平と、真後ろに瞳を潤ませ京平の肩にしな垂れるスセリビメが立っていた。
「やったでござるな」
「間違いないにゃ」
「何をやったの?」
「ハァ~」
浅葱、朧、朱丸、鴉天狗の反応で、佐久夜も全てを悟る。
「加護って、そう言うことか……」
神聖な本殿で、コイツら何やってんだと佐久夜は、天を仰いだ。
佐久夜たちは、鴉天狗の案内の元、黄泉比良坂の入り口まで案内された。
バカップルは、暫しの別れを惜しんでいる。京くん、スーちゃんとお互いの呼び名まで変わっていた。
「佐久夜さま、コレをお受け取りくだされ」
鴉天狗は、懐から一枚の護符を取り出した。
「その護符は、佐久夜の神社と我らの神社を繋ぐ物。その護符が有れば、いつでも『ウラ』と『オモテ』が行き来できるようになりまいすぞ」
「妾からの兄さまへの土産じゃ」
京平と両手を握り合ったままスセリビメは、答えた。そして、京平と再び抱き合い、そっと二人は離れた。
「行くが良い。名残惜しいが、霞を抜けるまで決して振り返るでないぞ」
佐久夜も鴉天狗と固く手を握り合い、別れの挨拶をする。
「さて、神さまの元へ帰ろうか」
四人でお辞儀をし、黄泉比良坂へ足を踏み入れた。
「佐久夜、俺、スーちゃんと付き合う事にした」
これでもかというくらい、幸せそうな笑顔を見せた京平。
「アレだけイチャイチャすれば、誰でも気づく」
「え!マジ?俺、恥ずかしい!!」
アレで、皆が気づいていないと思っている京平が、逆に凄いと思う佐久夜だった。
佐久夜は、控えの間に戻ると卓上に上半身を乗せ突っ伏した。
「ほほほ、お茶でも淹れるでございますか?」
浅葱は、急須に湯を注ぎ、茶葉を回して湯呑みにお茶を淹れた。
佐久夜は、カラカラに乾いた喉をお茶で潤していく。
浅葱に礼を言うと、にっこりと微笑んだ。
「佐久夜兄ちゃん、この赤い餅も食べても良いのか?」
朱丸は、卓上の茶菓子を持って、佐久夜に問いかけた。
「食べても良いよ」
両手を上げ、喜ぶ朱丸に佐久夜は指で頭を撫でる。嬉しそうに笑って、包み紙を開ける朱丸の姿に癒される。
「京平のこと、放って置いて良かったのか?」
「ん?ひいの加護が与えられるから、問題ないにゃ」
スセリビメの加護が、与えられる?
「ひいは、京平に執着したにゃ。この『ウラ』では、ひいの加護は、無敵にゃ」
座布団の上で、ザリザリと舌を使って毛繕いをしながら、朧は、淡々と佐久夜に説明をした。
「ハァ~」
鴉天狗が、がっくりと肩を落とし、ため息を吐く。
「ハァ~」
これからの事を憂い、鴉天狗は何度もため息を吐いた。
「あの…うちのバカが、申し訳ないです」
居た堪れなくなった佐久夜が、鴉天狗に詫びる。
「いや、ウチのひい様が、とんだご迷惑をおかけしました」
鴉天狗からすれば、京平の暴走よりもスセリビメの行動の方が、問題だったらしい。
「………」
お互いに無言のまま、時が過ぎる。
バン!
襖が勢いよく開くと、頬を紅潮させ、肌をツヤツヤさせた京平と、真後ろに瞳を潤ませ京平の肩にしな垂れるスセリビメが立っていた。
「やったでござるな」
「間違いないにゃ」
「何をやったの?」
「ハァ~」
浅葱、朧、朱丸、鴉天狗の反応で、佐久夜も全てを悟る。
「加護って、そう言うことか……」
神聖な本殿で、コイツら何やってんだと佐久夜は、天を仰いだ。
佐久夜たちは、鴉天狗の案内の元、黄泉比良坂の入り口まで案内された。
バカップルは、暫しの別れを惜しんでいる。京くん、スーちゃんとお互いの呼び名まで変わっていた。
「佐久夜さま、コレをお受け取りくだされ」
鴉天狗は、懐から一枚の護符を取り出した。
「その護符は、佐久夜の神社と我らの神社を繋ぐ物。その護符が有れば、いつでも『ウラ』と『オモテ』が行き来できるようになりまいすぞ」
「妾からの兄さまへの土産じゃ」
京平と両手を握り合ったままスセリビメは、答えた。そして、京平と再び抱き合い、そっと二人は離れた。
「行くが良い。名残惜しいが、霞を抜けるまで決して振り返るでないぞ」
佐久夜も鴉天狗と固く手を握り合い、別れの挨拶をする。
「さて、神さまの元へ帰ろうか」
四人でお辞儀をし、黄泉比良坂へ足を踏み入れた。
「佐久夜、俺、スーちゃんと付き合う事にした」
これでもかというくらい、幸せそうな笑顔を見せた京平。
「アレだけイチャイチャすれば、誰でも気づく」
「え!マジ?俺、恥ずかしい!!」
アレで、皆が気づいていないと思っている京平が、逆に凄いと思う佐久夜だった。
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