結婚してるのに、屋敷を出たら幸せでした。

恋愛系

文字の大きさ
34 / 170
第一部 三章 仲間を確保する

その名を聞いた時私は思い出した。

しおりを挟む
 その名を聞いたとこ私は、彼女の事を思い出した。

 確かあれは、寒い雪降る日のことだった。何も変哲ないまま、たまたまルット王国にルカと訪れた。
 あの時は確か何も用事がなく、ただ顔を合わせたいと、ルカが言ったからだったと思う。

『陛下。王妃。どうぞお越しになりました』

 アンは、あの時から礼儀正しく、ルカにも私にも優しく接してくれた。そして、ルカが

『ミアは、一時王国でも回ればいい』

 珍しい事を言い出して、私はアンと共にここの王国を回ることになった。私的には嬉しかった事を今でも鮮明に覚えている。

『王妃、どこを回りましょう?』

 あまりに王妃という響きが嫌だったから私は『プリンセスって呼んで』と言った。
 その時考えていたのは、ルカのことでルカが最初に会った時のことだった。どんなふうだったか今じゃあ覚えてないけど、あの時はなぜか思い出せていた。

『ですが・・・・・。はい分かりました」

 ほとんどの聖騎士なら尖って絶対に応じないだろう。
 

 そしてその後、全てを打ち明けた結果少しの手伝いをしてくれるということになった。
 その手伝いとは、

『もしも屋敷を出て私を見つけたら、仲間になってあげます。それにプリンセス貴女が屋敷を出る前に呪文をかけてあげます』
 
 という感じで、今の今まで気づいていなかった。

「思い出しました? ミア貴女は私と仲間で、プランスという人物は私の先輩聖騎士です」

 ミアは笑顔で語るので、何が何だか分からなくなって、困惑しながら魔力を完全に解いた。
 同時に激痛が走った。
 けれど、今の喜びの方が大きいから、痛みが和らいだ。

 それに、もう仲間とはぐれっこなんてしたくない、忘れたくない。名前は覚えていたかもしれない。
 だが、心の中にいろいろな、物が入りすぎた。

「そうなの? でも、プランスは戦地に飛び込んだ。多分もう駄目ね?」

 私は心のどこかで諦めていた想いが口に出る。
 まあこの後は自殺しようと思っていたのも事実。それは神様に逆らう行為だけど、プランスの居ない世界など、笑わないピエロと同じくらい、悲しい。

「何言ってるですー、プランスならもうここに居ます。まあ聖騎士の群れに戦いに行こうとしたから一時的に安堵の魔力に浸かっています」
 
 後少しだけと続ける彼女の瞳はプランスと同様嘘をついていない。
 それでなのか、私は安心して、シルバーに乗った。それで、プランスのところに行こうとしたのだ。
 
「なので、私を仲間に入れてくれません?」

「分かったって言いたいけど、貴女は聖騎士の仕事が・・・・・」

 何か申し訳なくなって、そう言ったけど彼女は「約束ですので」と私についていく、という熱心を伝えてきた。
 こんなことされたら、断れるはずがないので微笑みでかえした。
 それで、アンはシルバーに私と同様に乗った。
 アンが私を後ろから抱きしめると、魔力が病弱していることに勘づく。多分私がさっき攻撃したからだろう。
 本当に申し訳ない。

「プランスは今どこに居ます?」

 咄嗟に訊くとシルバーは走り出した。同時に手綱を強く握ると後ろに体が下がる。
 このままでは、シルバーが止まったら真っ直ぐ前に飛んでいってしまう。そう考えて思いっきり、大勢を限りなく低くした。

「真っ直ぐ行く時居ます。安堵の魔力にかかっているけど、塔に入ってくる聖騎士と戦っているだろうね」

 優しく語るけど、その手には力がなくなっていて、涙ができそうだ。

 そんな時ふと自分の頭に文字が浮かぶ。
 恐らく、もう一人の私だろう。

 そしてその文字とは、やはり呪文であった。

 安らぐ日

 これは歌として作られた呪文。なんて書いてあるか分からなかったから、結構魔力を消費したことを覚えている。

「ふるるるる~。寝すのは明日~・・・・・事件当日の日彼の日はもう終わる。火が落ちた」

 三分の一を読むと、彼女の手に力が入ったことが分かる。

「人に人で子ができ、また繰り返される。仮に人が終わる時だとしても男女が居ればまた始まる」

 そこまでいい詩じゃないけど、彼女を安らがせる詩だから文句を言わなない。

 そして、全て詩を読み上げると私までもが、安らいだ。

「ミア。プランスはそこにいるはず?」

 ふと天井を見ると、プランスが虫のように、いや動物のように、天井に逆立ちをして立っていた。
 意味がわからない大勢だけど、さっきは空を自由に飛んでたし彼にとっては普通なのだろう。

 この時私は気がついた。

 彼は絶対に生きている。絶対に死なない。

 ということに。

「ミア、あっそれにグルハット。久しぶり」
 
 笑顔で地面に降り立つと、シルバーがゆっくりと横になる。相当なストレスに加えて新キャラ登場ときた。
 シルバーも流石にお手上げだろう。

「よかった・・・・・、死んじゃったかと思った・・・・・」

「俺が死ぬわけないだろ? しかもミアを一人置いて去ることなんてできない」

 プランスのこんな一言で、涙ができてきてしまった。まさかと思うけれど、涙が溢れて止まらなくなってしまう。

「言ってくれるわね・・・・・」
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

私が生きていたことは秘密にしてください

月山 歩
恋愛
メイベルは婚約者と妹によって、崖に突き落とされ、公爵家の領地に倒れていた。 見つけてくれた彼は一見優しそうだが、行方不明のまま隠れて生きて行こうとする私に驚くような提案をする。 「少年の世話係になってくれ。けれど人に話したら消す。」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

教養が足りない、ですって

たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

処理中です...