「俺、女子高生になります

あさき のぞみ

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体育祭

第33話 騎馬戦……。

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ホイッスルが鳴った。

騎馬戦、開始。

「いくよ!」

佐藤さんの声。

他のクラスの騎馬が、攻めてくる。

「うわ!」

体がぶつかる。

押し合う。

引っ張り合う。

集中する。

興奮しない。

『大丈夫、大丈夫……』

でも――

興奮してなかったのは、最初の30秒だけだった。

佐藤さんの太腿が、私の肩に乗っている。

温かい。

柔らかい。

そして、騎馬同士がぶつかるたびに――

体が揺れる。

佐藤さんの体重が、私の肩にかかる。

密着する。

「きゃあ!」

隣の騎馬から、悲鳴。

誰かの体操服が、引っ張られている。

肩がずれて――

ブラ紐が見えた。

白い。

「……!」

目を逸らす。

でも、また別の場所で――

「負けないで!」

体操服を掴み合う女の子たち。

シャツが引っ張られて、乱れて――。

「くそ……」

徐々に、下半身に血が回ってきているのが分かった。

『だめだ、だめだ……』

集中しようとする。

でも、佐藤さんの太腿。

周りの女の子たちの体。

汗をかいた肌。

乱れた服。

「やった! 取った!」

佐藤さんが、相手の帽子を取った。

「すごい!」

チームメイトが喜んでいる。

でも、私は――

『やばい……』

下半身が、どんどん硬くなっていく。

ホイッスルが鳴った。

一回戦、終了。

「お疲れ様ー!」

佐藤さんが、私の肩から降りる。

「みゆきちゃん、すごく頑張ってたね!」

「あ……うん」

座り込む。

息が荒い。

汗が流れている。

でも、それよりも――

タッキングが、窮屈になってきているのが確認しなくても分かる。

硬くなったものを、無理やり押し込んでいる状態。

痛い。

苦しい。

「みゆきちゃん、大丈夫? 顔色悪いよ?」

桜井さんが、水を渡してくれた。

「あ、ありがとう……ちょっと疲れただけ」

「無理しないでね。次の回もあるから」

次の回。

「……え?」

「騎馬戦、トーナメント方式だから。勝ったチームは、次も出るんだよ」

「そ、そうなんだ……」

『まずい』

このまま、もう一回?

いや、下手したら決勝まで?

「休憩、五分です! その後、二回戦!」

先生の声。

五分。

たった五分。

この状態で、また騎馬戦?

「……トイレ、行ってくる」

立ち上がる。

「あ、うん。気をつけてね」

急いで、校舎のトイレへ向かう。

廊下を走る。

トイレに入る。

個室に入って、ドアを閉める。

「……はあ、はあ」

息が荒い。

ショーツを下ろして、タッキングを確認する。

硬くなっている。

完全に。

「くそ……」

どうすればいい?

このまま、騎馬戦に出たら――

バレる。

絶対、バレる。

でも、今から処理する時間もない。

五分しかない。

「落ち着け、落ち着け……」

深呼吸をする。

でも、収まらない。

むしろ、さっきの光景を思い出して――

「だめだ……」

冷たい水で、顔を洗う。

首筋も、濡らす。

「落ち着け……」

もう一度、深呼吸。

時計を見る。

三分経過。

あと二分で、二回戦が始まる。

「……行くしかない」

タッキングをし直す。

できるだけ、しっかりと。

ショーツを履く。

鏡で確認する。

見た目は――

何とか、大丈夫。

でも、窮屈だ。

痛い。

「……我慢するしかない」

トイレを出て、校庭へ戻る。

「みゆきちゃん! もうすぐ始まるよ!」

田村さんが、手を振っている。

「ごめん、今行く!」

チームに合流する。

「大丈夫? 顔色悪いけど……」

「大丈夫……ちょっと緊張しただけ」

「そっか。じゃあ、頑張ろうね」

「……うん」

また、騎馬を組む。

佐藤さんが、私の肩に足を乗せる。

『だめだ、考えるな』

『興奮するな』

『集中しろ』

自分に言い聞かせる。

ホイッスルが鳴った。

二回戦、開始。

「いくよ!」

佐藤さんの声。

また、騎馬同士がぶつかる。

体が揺れる。

佐藤さんの太腿が、私の肩に食い込む。

「くっ……」

耐える。

必死に、耐える。

でも、下半身は――

『もう、限界……』

そう思った瞬間――

「やった! 勝った!」

佐藤さんが、相手の帽子を取った。

ホイッスルが鳴る。

二回戦、終了。

「やったー!」

チームメイトが喜んでいる。

でも、私は――

「ちょっと、休憩……」

その場に座り込んだ。

息が、できない。

下半身が、痛い。

「みゆきちゃん!」

桜井さんが、駆け寄ってきた。

「大丈夫? 保健室行く?」

「だ、大丈夫……ちょっと休めば……」

「無理しないで……」

周りが、心配そうに見ている。

「次は決勝だよ。休憩十分あるから、ゆっくり休んで」

決勝。

まだ、ある。

「……」

もう、限界だった。

でも、ここで棄権したら――

怪しまれる。

「大丈夫……出られる」

そう言った。

でも、本当は――

全然、大丈夫じゃなかった。​​​​​​​​​​​​​​​​
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