転生の魔女~せっかく王女に生まれ変わったのに、無双しすぎてまた魔女って言われちゃいそうです~

十森メメ

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第1章 ゼノビア王国編

第27話 アリアが危ない

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 シルメリアの秘宝は今,どこにあるのか。 

 ドゥグラスが説明した経緯が全て嘘とは思えない。ただ、本当のことは巧妙に隠している。そういうのは昔から気づいてしまう。私は基本的に、人の言うことをあまり信用しない。

 長い沈黙ののち、ドゥグラスが重い口を開いた

「アリアだ」

 え?うそでしょ?それはホントっぽいし!子供にそんなことさせるの、この国は!ちょっと頭おかしいんじゃないの!

 いや、いまはそんなこと考えている場合じゃない!

 冷や汗が背筋を伝う感覚がわかる。この状況は非常にまずい!アリアが危険だ!テオドールは目的のためなら、子供でも容赦しない!

「すぐに行動を開始しなければならない状況になった。テオドールは我々で追う。アリア皇女はいま、どこにいる?」

 ティベリウスが場に問いかける。我々とは、ゼノビア組のことだろう。

「奴とは少なからず因縁がある。私が適任だ。それに」

 と押し切った。さらに

「アリア・シルメリア皇女は私の妹、ティア・ゼノビアの大切な友達だ」

 会談を打ち切り、早急にアリアが今向かっていると報告があった、歴史宝物庫の西にあるシルメリアの魔導研究所に向かうことを決めた私とティベリウス。もちろんルイも一緒だ。

「待ちな!」

 協議場をあとにしようとした私たちに、アストラ共和国の共同代表ブラハム・マカラハムが野太い声をかけてくる。

「ここから目的地までは普通の馬車で最短でも2日はかかる。それでは遅いじゃろ」

 確かに、どれだけ急いでも最低2日は必要だ。状況が変わることが容易に想像できる。ちなみに目的地まで直接飛べるような魔法はない。私の転移魔法・テレポートは自分が行けないし、そもそもどこに飛ぶかもわからない。

「ワシらの馬車を使え。半日で着く」

 いや、それは無理でしょ。どんなに早い馬でも1.5日はかかる。しかもその速さで移動すれば、馬車内の揺れはハンパじゃなくなる。とても耐え切れない。

「心配無用じゃ。アストラ公用の馬車は特別仕様での。疾風のごとき速さと山のごとき安定感で快適な旅を約束するぞ!そこらのポンコツ馬車と一緒にしてもらっては困るのぉ!」

 がっはっはと豪快に笑うブラハム。確かに、アストラ製の各製品は高品質なものが多い。信用していいのかも。

「信頼してもらって大丈夫ですよ。ヴァナハイムでも公用馬車として採用していますから」

 おそらく代表団の中で最も若いであろうヴァナハイムの代表、アラン・マケドニアが品質保証をしてくれる。これは間違いないのだろう。

 ちなみにヴァナハイムは5大国で最も強大な超大国だ。ゼノビア、シルメリア、アストラ、ヘスペリデウスをすべて合わせてようやく太刀打ちできるほどの戦力を有する5大国の要。最強の国だ。

「シルメリア各地の暴動鎮圧については我々に任せてください。すでに各都市の情勢と戦力分布については確認しております。事前に帝都ヴァナハイム・キングダムからある程度の部隊も配置しておりましたので、5大国の連合軍が現地入りすれば、鎮圧はたやすいでしょう」

 さらっと言っているが、この発言は暴動が起きることを予見していたともとれる。5大国最大の帝国、ヴァナハイム。ここに代表として来ているこの色白の優男は伯爵だ。代理にこんな若造をよこすのは、余裕の表れなのか、それとも……

「テオドールと因縁があるのは、ゼノビアだけではありませんことよ。それにあなたたち、回復魔法を使える術者、いないのではなくて?」

 ヘスペリデウスの代表が私たちの会話に割って入ってくる。大聖女マザー・ステラ。各国トップ不在の中、この国だけがナンバー1自ら参加してきていた。

「私の優秀な妹を連れていきなさい。きっと役に立つわ。入りなさい」

 手をパン、パンと優雅に2度ならし、マザー・ステラは対象者を呼んだ。協議場の扉がゆっくりと開く。

 そこにいたのは、思春期を経て成長した因縁の相手だった。

「お久しぶりですわね、ティア・ゼノビア」

「セイラ!」

 ちょっと大きな声を出してしまう。驚いた。彼女も来ていたのか。気づかなかった。

「話はこっそり聞いていましたわ。アリアさんが危ないのね」

「ええ。それに……」

「テオドールでしょ。あの男には聞きたいことが山ほどあるの!わたくしも連れて行きなさい!必ず捕まえてやるんだから!」

 正直、心強い。彼女の強さは5年前とはいえ実感済。セレスのことを聞きたいという期待もあるのだろう。断る理由はなかった。

「各国の申し出に感謝する。では、行こうか」

 ティベリウスが場に挨拶を済ませ協議場を出ると、すでにアストラの特殊馬車が準備されていた。御者もいる。ルイが手配してくれていたようだ。

「わたし、存在感薄くないでしょうか……」

 しょぼくれるルイを無視し、私たちはアリアがいるであろうシルメリアの魔導研究所へ急いで向かうのであった。
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