食うために軍人になりました【一人称版】

第二章

魔法の武具

　剣と籠手が淡く光っている。
　これってこの2つが魔法の武具だって事だよな？

「剣と籠手か。前衛の卿にはもってこいの品だな」

「まさか2つも反応するとはねぇ。じゃあ、ついでに鑑定の魔法もかけちゃおう！　《鑑定アプレイザル》」

　鑑定の魔法なんかあるんだ。
　魔法って何でもありかよ。

「ふんふん……おおおっ！　結構いい品みたいだねぇ。剣は《フウァールウィンド》っていう風属性の魔剣でぇ、籠手は《ガイアガントレット》っていう土属性の防具だよぉ」

　魔剣ってマジかよっ！？
　魔剣といえば最低でも金貨100枚以上はする高級品なんだよ？
　でも、この剣って確かオーマン伯爵の騎士団の団長らしき奴から奪った剣だったな。
　それなら持っていても不思議はないか。

「良かったじゃないか、少尉。それにこの脛当も鉄製だからな。今の硬革ハードレザーの物よりはマシじゃないか？」

　確かに言われてみればそうだ。
　この脛当も魔道具ではなくても今のやつよりはマシだろう。
　とりあえず全部付けてみるか。
　魔剣は勿体無いけど、俺には自前の刀があるから魔法鞄に戻しておこう。
　おっ？　意外にサイズも合うもんだな。
　
「装備はしっかり身体に馴染ませておけよ。ぎこちないままだと本来の動きが出来ないからな」

「了解しました。しかし、改めて見ると装備の寄せ集めみたいで格好悪いですね」

　頭には硬革と鉄の鉢金。
　身体は硬革の鎧、籠手が《ガイアガントレット》、脛当は鉄の脛当。
　それで腰には刀だもんなぁ。
　大尉や少尉みたいに統一性がないから、変な感じだ。

「最初はみんなそうだよぉ～。まぁ、私達は実家から持ってきたから違うけどぉ、大抵の人は徐々に集めていくからねぇ」

　金持ち許すまじ。
　まぁ、別に許す許さないの問題でもないんだけど、この差も改革すべきところなんじゃないかな？
　貴族と平民の差はやはり大きい。
　そして、それに対して大尉と少尉も違和感を感じてないようだ。
　2人とも選民意識があるわけではないだろうけど、貴族と平民とは差があるって事が当たり前になってるんだろうなぁ。
　それに士官学校とかも平民には敷居が高いのが現状だ。
　平民は殆どが一兵卒からの入隊になるから当然、貴族の士官学校出とは出世の速度にも差が出る。
　比較的、身分の差がないって言われてる軍でこれじゃ、社会での貴族と平民の差は凄まじいんだろうなぁ。
　ん？　待てよ。
　じゃあ、この貴族優位の社会で平民出身でありながら元帥にまでなったウォーレイク閣下って何者なんだ？