食うために軍人になりました【一人称版】

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第二章

虎龍討伐作戦?

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 ウィルバルト・フォン・ローゼンハイム上級大将閣か。
 世の中には化物の上をいく化物がいるんだなぁ。
 でも、その人が1人で虎龍を討伐したのなら、その作戦をそのまま実行すれば勝てるんじゃないか?

「ローゼンハイム上級大将閣下はどうやって虎龍を倒したんですか? 何か特別な作戦が……」

「……ない」

「ないんだよねぇ……」

 ない?
 ないってどういう事だ?

「ローゼンハイム閣下はなんの小細工も無しに正面から虎龍と戦って勝ったのだ。爪を折り、牙を砕き、鱗を裂いて首を落とした」

「私も証拠として持ち帰った虎龍の亡骸を見たけどぉ、言葉がなかったもん」
 
 無茶苦茶ですやん。
 そんなんあり得まへん、君とはもうやっとれまへんわ! って感じだな。
 最大で10メートルにもなる化物に単身で挑むだけでも凄いのに、真っ向勝負するなんてもう人間じゃないぞ。
 しかも勝っちゃうし。

「失礼な話だが参考にはならん。我々には我々の作戦が必要だ」

「どうするのぉ? 普通なら前衛部隊が散開して撹乱しながら攻撃を防いでいる間にぃ、後衛の部隊がガンガン攻撃していくんだけどぉ~」

「その通りだ。その作戦を応用するならファンティーヌは後方から攻撃魔法を撃ち、詠唱の間隔は私の魔剣《雷の涙サンダーティア》の雷撃を当てる事になるな」

「でも虎龍って確か炎耐性あるよねぇ? そうなると水とか氷系の魔法になるから私は苦手だよぉ?」

「それはこの砦から《氷魔法付与フロストエンチャント》の魔道具を借りようと思う。それを使えばいい」

「不安は残るけど、やるしかないかぁ。水系なら《大津波タイダルウェイヴ》、氷系だと《氷の重装槍アイスファランクス》だけどぉ、どっちがいいかなぁ?」

「貫通できる方がいいだろうから《氷の重装槍アイスファランクス》だな。炎を吹かれた際の防御なら《大津波タイダルウェイヴ》でもいいが、予備動作無しでやられたら詠唱が間に合わないから無駄だろうしな」

「詠唱を長くすれば《氷柱アイスピラー》でもよさそうだけどぉ?」

「それは止めておこう。攻撃の間隔が開くと前衛が危なくなる。前衛がやられたら撤退しないといけなくなるからな」

「じゃあ私が氷系魔法でぇ、間をアリシアちゃんが魔剣の雷攻撃で埋める作戦だねぇ」

「よし、作戦は決まった。念のため魔力回復薬を砦から貰っておこう」

「了解ですぅ、大尉殿ぉ!」

 作戦が決まった所で申し訳ないんですけど、俺の意見は無し?
 それとやっぱり前衛って俺ですか?
 
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