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第二章
耳元
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「ア、《林檎の妖精》だと……お前、本当に何者だ? こいつは貴族達の間でも幻と言われてる酒だ。グラス一杯で金貨10枚は取ろうって代物だぜ? おいそれと手に入るようなもんじゃねぇぞ」
流石に度肝を抜かれたようだ。
驚きを通り越して猜疑の眼を向けている。
確かにオフィリアンの言う通りでコイツは帝都では入手困難な酒だから無理もない。
だけど、俺にはそうじゃないんだよなぁ。
と言っても、そんなにたくさん持ってるわけじゃないけどね。
「安心しなよ。ちゃんと合法的に手に入れた物だ」
「お前がそう言うんなら大丈夫か」
おいおい、随分とあっさり信用するんだな。
ちょっとは疑えよ。
「大丈夫だよ。でも、出所は言わないぞ?」
「バカっ! 聞きたかねぇよ! こいつの出所がわかった日にゃ、貴族共が競って手に入れようとするだろう。そのためには情報知ってる奴を拉致監禁するくらいは余裕でやりかねねぇからな」
確かにそうだな。
危ない物は持たないに限るし、危ない情報は知らないに限る。
俺だって巻き添えは御免だ。
「此処で呑んだことは黙ってろよ。でないとお前が持ち込んだって言いふらすからな」
「怖いこと言うな! 言わねえよ。それより本当に呑んでいいのか? 出所不明でも貴族のとこに持ち込めば、それなりの見返りはあるぜ? 出世とか」
「そっちこそ怖いこと言うなよ。俺は実力と才覚で出世する。贈賄なんかで出世したくないね。中身の伴わない地位なんか虚しいだけだろ?」
「わかるってるねぇ。だが、それがわかる奴は今の帝都には少ねぇ。みんな自分が高台の道化師だって事に気づいてないんだよ。その道化師がよく斬れるナイフを持ってなきゃ笑い者にするだけで済むんだけどよ」
ふーん、やっぱりか。
オフィリアンはちゃんと貴族や軍の腐敗の根幹に気づいている。
ヴィードみたいにただ権力者に対する嫌悪感を抱いているわけじゃなく、内情まで把握出来ているようだ。
やっぱり只者じゃないな。
「……おい、リクト。いつまでお預けなんだよ?」
「ん? なんだよ、自分で開ければいいじゃないか」
「怖いっての! こんな高い酒触れた事もねえんだよ!」
意外と小心者だな。
これもフリか?
「しょうがないな。ほら、注いでやるよ」
「お、おう! はぁ……こ、これが幻の酒か……じ、じゃあ飲むぞ?」
おっ、意外にもグイッといった。
お味はいかがだったかな?
……あれ? 固まっちゃったぞ?
おーい、オフィリアンくー……。
「美味めぇええええええええええ!」
ぎゃああああ!
この馬鹿!
いきなり耳元でバカでかい声出しやがって!
鼓膜が、鼓膜がぁあああああ!
流石に度肝を抜かれたようだ。
驚きを通り越して猜疑の眼を向けている。
確かにオフィリアンの言う通りでコイツは帝都では入手困難な酒だから無理もない。
だけど、俺にはそうじゃないんだよなぁ。
と言っても、そんなにたくさん持ってるわけじゃないけどね。
「安心しなよ。ちゃんと合法的に手に入れた物だ」
「お前がそう言うんなら大丈夫か」
おいおい、随分とあっさり信用するんだな。
ちょっとは疑えよ。
「大丈夫だよ。でも、出所は言わないぞ?」
「バカっ! 聞きたかねぇよ! こいつの出所がわかった日にゃ、貴族共が競って手に入れようとするだろう。そのためには情報知ってる奴を拉致監禁するくらいは余裕でやりかねねぇからな」
確かにそうだな。
危ない物は持たないに限るし、危ない情報は知らないに限る。
俺だって巻き添えは御免だ。
「此処で呑んだことは黙ってろよ。でないとお前が持ち込んだって言いふらすからな」
「怖いこと言うな! 言わねえよ。それより本当に呑んでいいのか? 出所不明でも貴族のとこに持ち込めば、それなりの見返りはあるぜ? 出世とか」
「そっちこそ怖いこと言うなよ。俺は実力と才覚で出世する。贈賄なんかで出世したくないね。中身の伴わない地位なんか虚しいだけだろ?」
「わかるってるねぇ。だが、それがわかる奴は今の帝都には少ねぇ。みんな自分が高台の道化師だって事に気づいてないんだよ。その道化師がよく斬れるナイフを持ってなきゃ笑い者にするだけで済むんだけどよ」
ふーん、やっぱりか。
オフィリアンはちゃんと貴族や軍の腐敗の根幹に気づいている。
ヴィードみたいにただ権力者に対する嫌悪感を抱いているわけじゃなく、内情まで把握出来ているようだ。
やっぱり只者じゃないな。
「……おい、リクト。いつまでお預けなんだよ?」
「ん? なんだよ、自分で開ければいいじゃないか」
「怖いっての! こんな高い酒触れた事もねえんだよ!」
意外と小心者だな。
これもフリか?
「しょうがないな。ほら、注いでやるよ」
「お、おう! はぁ……こ、これが幻の酒か……じ、じゃあ飲むぞ?」
おっ、意外にもグイッといった。
お味はいかがだったかな?
……あれ? 固まっちゃったぞ?
おーい、オフィリアンくー……。
「美味めぇええええええええええ!」
ぎゃああああ!
この馬鹿!
いきなり耳元でバカでかい声出しやがって!
鼓膜が、鼓膜がぁあああああ!
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