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第三章
ルークリア共和国
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話についていけない俺にファーレンハイト大尉が説明をしてくれた。
ルークリア共和国。
帝国の北に隣接する国で共和制とか言う政治体制らしい。
地域毎に国民から《選挙》とかいう多数決方式で選ばれた代議士なる人物が集まって国政を執り仕切る体制のようで、帝国のような皇帝も王国のような国王も存在しないそうだ。
一応、国の代表で代議士の中から選ばれた元首と呼ばれる人はいるらしいけど、王ではないそうだ。
代議士達は統一された思想を持っておらず、それぞれが個々の思想を持っていて、思想を同じくする人達とチームを組んでいて、これを《政党》と呼ぶ。
国の方針は代議士達の多数決で決まるから、この政党の人数が一番多いところを《与党》と言い、他を《野党》と呼ぶそうだ。
つまり共和制ってのは多数決で決めるってことらしいな。
「現在ルークリアの国政を執り行っている与党は『タブリス』と言う政党なんだが、最近そこに属する代議士達が頻回に不祥事を起こしたそうだ」
「不祥事……ですか?」
「ああ。公金の横領や商店との癒着、権力を笠に着た略奪行為などだな」
はぁ……ひどい話だとは思うけど、帝国でもよく聞く話でもある。
どこの国でも権力を持った奴はロクな事しないって訳だ。
「代議士は国民から選ばれる。悪いイメージがつけば次の選挙では選ばれなくなり、政党の代議士の数が減る事は、そのまま政党の弱体化に繋がる。要は与党ではいられなくなるという訳だ」
「あの……それが今回の戦と関係があるんですか?」
「わからないか? 奴らは今回の戦に勝つことで政党の力を誇示しようとしているのだ。つまり、所属代議士達の不祥事を戦功で覆い隠そうとしているのだよ」
はぁ! 何考えてんだっ!
自分達の身内の恥を隠すために戦争起こすってのか!?
冗談じゃない! 短絡的にも程があるぞ!
道理でみんなが怒るわけだ。
よぉし、二度とこんなアホな考えが起きないように完膚なきまで叩き潰してやるからな!
「閣下! こんなクソッタレな奴ら、今すぐ殲滅すべきです!」
「落ち着け、シュナイデン大尉。気持ちは同じだが、先も言ったように敵の戦力は大きい。足並みの揃っていない軍では返り討ちに合うだけだ。そうなれば奴らの思う壺だぞ」
「しかし、大佐! 大義も正義もない戦争を安易に起こす馬鹿野郎共なんか放っておけませんよ! 閣下、さっき言われていた陛下の直属軍は動かせるんですか? なら、今すぐにでも……」
「そこまで」
っ! び、びっくりした……。
ウォーレイク閣下は小さく一言言っただけなのになんて迫力だ。
思わず黙っちゃったよ。
他の人達も一気に黙り込んじゃった。
「大尉、焦ってはいけませんよ。戦いは常に冷静に。でなければ判断を誤り、多くの将兵を危険に晒すことになります。敵の愚を我々まで真似ることはありません」
「は、はっ! 申し訳ありません」
「実は陛下にはこうなる事を予想し、すでに勅命を頂いております」
勅命って陛下直々の命令だよな?
事前に貰っていたって事は、閣下は共和国軍がいつ攻めてくるかわかってたって事か。
本当にスゲェな……。
「ちょ、勅命ですか? 一体、どのような?」
大佐の質問に閣下は少し笑うと、懐から一枚の書類を出して広げて見せた。
「勅命。帝国軍元帥ジークフリード・フォン・ウォーレイクは共和国軍が攻めてきた際には皇帝直属軍20000を率いて、これを撃退せよ」
「おおおおおおっ!」
会議室内にはみんなの雄叫びにも似た感嘆の声が上がった。
ルークリア共和国。
帝国の北に隣接する国で共和制とか言う政治体制らしい。
地域毎に国民から《選挙》とかいう多数決方式で選ばれた代議士なる人物が集まって国政を執り仕切る体制のようで、帝国のような皇帝も王国のような国王も存在しないそうだ。
一応、国の代表で代議士の中から選ばれた元首と呼ばれる人はいるらしいけど、王ではないそうだ。
代議士達は統一された思想を持っておらず、それぞれが個々の思想を持っていて、思想を同じくする人達とチームを組んでいて、これを《政党》と呼ぶ。
国の方針は代議士達の多数決で決まるから、この政党の人数が一番多いところを《与党》と言い、他を《野党》と呼ぶそうだ。
つまり共和制ってのは多数決で決めるってことらしいな。
「現在ルークリアの国政を執り行っている与党は『タブリス』と言う政党なんだが、最近そこに属する代議士達が頻回に不祥事を起こしたそうだ」
「不祥事……ですか?」
「ああ。公金の横領や商店との癒着、権力を笠に着た略奪行為などだな」
はぁ……ひどい話だとは思うけど、帝国でもよく聞く話でもある。
どこの国でも権力を持った奴はロクな事しないって訳だ。
「代議士は国民から選ばれる。悪いイメージがつけば次の選挙では選ばれなくなり、政党の代議士の数が減る事は、そのまま政党の弱体化に繋がる。要は与党ではいられなくなるという訳だ」
「あの……それが今回の戦と関係があるんですか?」
「わからないか? 奴らは今回の戦に勝つことで政党の力を誇示しようとしているのだ。つまり、所属代議士達の不祥事を戦功で覆い隠そうとしているのだよ」
はぁ! 何考えてんだっ!
自分達の身内の恥を隠すために戦争起こすってのか!?
冗談じゃない! 短絡的にも程があるぞ!
道理でみんなが怒るわけだ。
よぉし、二度とこんなアホな考えが起きないように完膚なきまで叩き潰してやるからな!
「閣下! こんなクソッタレな奴ら、今すぐ殲滅すべきです!」
「落ち着け、シュナイデン大尉。気持ちは同じだが、先も言ったように敵の戦力は大きい。足並みの揃っていない軍では返り討ちに合うだけだ。そうなれば奴らの思う壺だぞ」
「しかし、大佐! 大義も正義もない戦争を安易に起こす馬鹿野郎共なんか放っておけませんよ! 閣下、さっき言われていた陛下の直属軍は動かせるんですか? なら、今すぐにでも……」
「そこまで」
っ! び、びっくりした……。
ウォーレイク閣下は小さく一言言っただけなのになんて迫力だ。
思わず黙っちゃったよ。
他の人達も一気に黙り込んじゃった。
「大尉、焦ってはいけませんよ。戦いは常に冷静に。でなければ判断を誤り、多くの将兵を危険に晒すことになります。敵の愚を我々まで真似ることはありません」
「は、はっ! 申し訳ありません」
「実は陛下にはこうなる事を予想し、すでに勅命を頂いております」
勅命って陛下直々の命令だよな?
事前に貰っていたって事は、閣下は共和国軍がいつ攻めてくるかわかってたって事か。
本当にスゲェな……。
「ちょ、勅命ですか? 一体、どのような?」
大佐の質問に閣下は少し笑うと、懐から一枚の書類を出して広げて見せた。
「勅命。帝国軍元帥ジークフリード・フォン・ウォーレイクは共和国軍が攻めてきた際には皇帝直属軍20000を率いて、これを撃退せよ」
「おおおおおおっ!」
会議室内にはみんなの雄叫びにも似た感嘆の声が上がった。
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