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第三章
共和国の英雄
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左腕の創部の傷口を布で縛って、ポーションをかけておこう。
これでひとまず安心だ。
相手は意外にも構えたまま動かないでいてくれたからラッキーだった。
まぁ、あの表情を見るに勝てると確信しての慢心だろうけどね。
「回復したようだな。回復の暇を与えてやったのはせめてもの情けだ。次は頭をかち割って痛みを感じる間も無く殺してやるよ。共和国の英雄である百勇士に殺される事を有難く思いなっ!」
英雄だろうが何だろうが殺されて感謝するのは御免だね。
しかし、間合いに入ってないのにどうやって斬られたのかわかってないし、下手すればあいつの言う通り頭をかち割られる可能性もあるぞ。
うーん、困ったなぁ。
「さあ、覚悟が出来たなら、念仏でも祈りでも唱えやがれ!」
2本の戦斧を両手に構えて突進してくる。
考える暇はくれないみたいだな。
作戦の障害になるかもしれないと思って我慢してたけど……仕方ないか。
「斬り捨てる」
こちらも納刀したままの状態で迎え撃つように突っ込んでやる!
「武器も抜かずに観念したか!?」
的外れな事を言いながら相変わらずの大振りでやって来る百勇士の……そういえば、名前知らんわ。
兎に角、ぶんぶん斧野郎の右手の戦斧を強めに弾き返そう。
おっと、思わぬ衝撃に体勢が崩れたようだな。
なら、空いてる左腕を斬り捨ててくれるわ!
左腕のお返しは左腕に、ダメージは勿論3倍返しじゃ!
「断剣・炎天」
神速の抜刀から繰り出された炎の刃は何の抵抗もなく、ぶんぶん斧野郎の左腕の肘から先を斬り捨てた。
切り口から炎が舞い上がり、宙を飛んでいる間に左腕は燃え尽きて、カランと虚しく左手に持っていた戦斧が地面に落ちた。
「がぁああああああ! お、俺の腕がああああああ!」
腕を失った痛みで地面に蹲るぶんぶん斧無し野郎。
ちょっと本気になっちゃったけど、作戦的に不味かったかな?
まぁ、やっちゃったものは仕方ないか。
「て、てめぇ! よくも、よくも! この共和国百勇士のジェラール・フェルドの腕を斬りやがったな! 許さねぇ、絶対に許さねぇからな!」
「いやいや、戦争なんだからお互い様でしょ? それに、またお口のチャックが緩んでますよ。百勇士のジェラール・フェルド君」
「くっ……」
唇を噛み締めるジェラール君はほっといて、ちょっと戦斧を見せてもらおうっと。
こっちが右手ので、こっちが左手のか。
……なるほど、左の戦斧より右の戦斧の方が長いんだ。
しかも、バレないように柄の長さは同じにして、持ち手の位置だけ変えている。
相手は同じ間合いだと錯覚して避けるから、右の戦斧の一撃を喰らう。
こういう闘い方もあるわけか。
「おいっ! 俺の斧に気安く触るんじゃねぇ!」
「ん? ああ、ごめんごめん。立派な斧だったから、ついね。ついでに悪いんだけど、これ貰っていい?」
「なっ!? ふざけんなっ! テメェ、どういうつもり……ぎゃあああ! ひ、火が俺の身体にぃいいいいい!」
痛いって泣き叫んでた割りに鈍感だな。
切り口から炎が燃え広がってたのに気づいてなかったのか。
「ぎゃああああああ! た、た、助けてくれぇええええ!」
「何言ってるの? 助けないよ。敵である君を助けるわけないじゃん。それとさっきの質問に答えるね。どういうつもりって、この戦斧は戦利品として貰っていくって意味だよ」
じわじわと炎が身体を焼いていき、英雄のジェラール君はその痛みでのたうち回っている。
あっ、そういえばさっき痛みなく殺してやるって言ってたっけ。
傷を治す情けもかけてくれた事だし、俺も情けをかけるか。
「せめて一思いに逝かせてあげるよ」
「なっ!? ま、待て! 待ってくれ! か、金なら幾らでもやる! やるから、た、たす……」
「炎天……炎上!」
俺の納刀と共にじわじわと広がっていた炎が一気に燃え上がり、一瞬でジェラールの身体を焼き尽くした。
最後は言葉なく燃え尽き、跡にはジェラールだったものの灰だけが残った。
それにしても、共和国の英雄である百勇士の最後の台詞が命乞いとは……案外、共和国も腐ってるのかもしれないなぁ。
これでひとまず安心だ。
相手は意外にも構えたまま動かないでいてくれたからラッキーだった。
まぁ、あの表情を見るに勝てると確信しての慢心だろうけどね。
「回復したようだな。回復の暇を与えてやったのはせめてもの情けだ。次は頭をかち割って痛みを感じる間も無く殺してやるよ。共和国の英雄である百勇士に殺される事を有難く思いなっ!」
英雄だろうが何だろうが殺されて感謝するのは御免だね。
しかし、間合いに入ってないのにどうやって斬られたのかわかってないし、下手すればあいつの言う通り頭をかち割られる可能性もあるぞ。
うーん、困ったなぁ。
「さあ、覚悟が出来たなら、念仏でも祈りでも唱えやがれ!」
2本の戦斧を両手に構えて突進してくる。
考える暇はくれないみたいだな。
作戦の障害になるかもしれないと思って我慢してたけど……仕方ないか。
「斬り捨てる」
こちらも納刀したままの状態で迎え撃つように突っ込んでやる!
「武器も抜かずに観念したか!?」
的外れな事を言いながら相変わらずの大振りでやって来る百勇士の……そういえば、名前知らんわ。
兎に角、ぶんぶん斧野郎の右手の戦斧を強めに弾き返そう。
おっと、思わぬ衝撃に体勢が崩れたようだな。
なら、空いてる左腕を斬り捨ててくれるわ!
左腕のお返しは左腕に、ダメージは勿論3倍返しじゃ!
「断剣・炎天」
神速の抜刀から繰り出された炎の刃は何の抵抗もなく、ぶんぶん斧野郎の左腕の肘から先を斬り捨てた。
切り口から炎が舞い上がり、宙を飛んでいる間に左腕は燃え尽きて、カランと虚しく左手に持っていた戦斧が地面に落ちた。
「がぁああああああ! お、俺の腕がああああああ!」
腕を失った痛みで地面に蹲るぶんぶん斧無し野郎。
ちょっと本気になっちゃったけど、作戦的に不味かったかな?
まぁ、やっちゃったものは仕方ないか。
「て、てめぇ! よくも、よくも! この共和国百勇士のジェラール・フェルドの腕を斬りやがったな! 許さねぇ、絶対に許さねぇからな!」
「いやいや、戦争なんだからお互い様でしょ? それに、またお口のチャックが緩んでますよ。百勇士のジェラール・フェルド君」
「くっ……」
唇を噛み締めるジェラール君はほっといて、ちょっと戦斧を見せてもらおうっと。
こっちが右手ので、こっちが左手のか。
……なるほど、左の戦斧より右の戦斧の方が長いんだ。
しかも、バレないように柄の長さは同じにして、持ち手の位置だけ変えている。
相手は同じ間合いだと錯覚して避けるから、右の戦斧の一撃を喰らう。
こういう闘い方もあるわけか。
「おいっ! 俺の斧に気安く触るんじゃねぇ!」
「ん? ああ、ごめんごめん。立派な斧だったから、ついね。ついでに悪いんだけど、これ貰っていい?」
「なっ!? ふざけんなっ! テメェ、どういうつもり……ぎゃあああ! ひ、火が俺の身体にぃいいいいい!」
痛いって泣き叫んでた割りに鈍感だな。
切り口から炎が燃え広がってたのに気づいてなかったのか。
「ぎゃああああああ! た、た、助けてくれぇええええ!」
「何言ってるの? 助けないよ。敵である君を助けるわけないじゃん。それとさっきの質問に答えるね。どういうつもりって、この戦斧は戦利品として貰っていくって意味だよ」
じわじわと炎が身体を焼いていき、英雄のジェラール君はその痛みでのたうち回っている。
あっ、そういえばさっき痛みなく殺してやるって言ってたっけ。
傷を治す情けもかけてくれた事だし、俺も情けをかけるか。
「せめて一思いに逝かせてあげるよ」
「なっ!? ま、待て! 待ってくれ! か、金なら幾らでもやる! やるから、た、たす……」
「炎天……炎上!」
俺の納刀と共にじわじわと広がっていた炎が一気に燃え上がり、一瞬でジェラールの身体を焼き尽くした。
最後は言葉なく燃え尽き、跡にはジェラールだったものの灰だけが残った。
それにしても、共和国の英雄である百勇士の最後の台詞が命乞いとは……案外、共和国も腐ってるのかもしれないなぁ。
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