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第三章
久しぶりの単独任務
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「聞いた場所はこの辺のはずだけど……辺りにそれらしい気配はないか。まぁ、相手はかなりの手練れだって言うし、そう簡単に尻尾は見せないか」
俺は隊をフェルナン少尉に任せて、久しぶりの単独で森の中に来ていた。
3小隊壊滅の調査って名目だけど、実際は壊滅させたと思われる共和国の大英雄をなんとかしろっ事だ。
自分から手を上げた事とはいえ、10000の敵を足止めできる奴に1人で立ち向かうのは無謀だったとちょっと後悔してる。
でも、これ以上兵が犠牲になるのも嫌だからやれるだけやってみようと思う。
もっとも狙いがあの文官達なら放っておいたかもしれんけどね。
「聞いてみたらやっぱり貴族出身だったよ。おかしいと思ったんだよなぁ。前線に来る文官にしては戦場の事知らないし、我身を第一に逃げようとするし、あんなのが佐官とか言われても納得できないよなぁ」
いかん。
つい愚痴を溢してしまった。
此処は戦場で強敵が潜んでいるかもしれないってのに、気を散らすとは気が緩んでるな。
もっと緊張感をもたないとな。
感覚を研ぎ澄ませて……おっ、あっちから鉄の匂い……これは血だな。
かなりの量だからあっちが襲撃された場所……いや、違う。
そんなわけはない。
あっちは風上の方角だ。
もし、襲撃された場所があっちなら風に乗ってもっと早く匂いが届いていたはずだ。
なのに急に現れて、そして急に消えた。
つまり、血の匂いが移動したって事だ。
となると、考えられるのは一つしかない。
血の匂いを放つ誰かが彷徨いているって事だ。
気配は全く感じないのに誰かがいるってのは不気味なもんだ。
背筋が寒くなる。
不死の魔物ですら負のオーラがあるってのに……。
「思ってた以上にヤバいな……」
意識を集中させればさせるほどに周りが静かなのがわかる。
でも、静かなのに空気だけはピンと張り詰めている。
厄介だな。
襲ってくる敵の位置が掴めていないってのは正直しんどい。
早く出てきて欲しいけど、そう思う事が相手の狙いなんだろうな。
このまま相手の思う壺ってのは面白くないね。
なら先に仕掛けてやる!
「この技は疲れるんだけど、仕方ないな。ふぅ……」
刀の柄をいつもより強く掴んで細かく震わせる。
これが意外と腕に来るんだよなぁ。
なんて泣き言言ってる場合じゃないね、やるぞ!
「《波剣・音無》」
抜刀しながら横薙ぎに一周回ると……
「そこだっ!」
奥の茂みに向かって一気に刀を振り下ろす。
カッキィイイイイイイン!
自然の中に似つかわしくないけたたましい金属音が鳴り響いた。
「なるほど、ただの子どもではないようだ」
子どもじゃないって。
俺は隊をフェルナン少尉に任せて、久しぶりの単独で森の中に来ていた。
3小隊壊滅の調査って名目だけど、実際は壊滅させたと思われる共和国の大英雄をなんとかしろっ事だ。
自分から手を上げた事とはいえ、10000の敵を足止めできる奴に1人で立ち向かうのは無謀だったとちょっと後悔してる。
でも、これ以上兵が犠牲になるのも嫌だからやれるだけやってみようと思う。
もっとも狙いがあの文官達なら放っておいたかもしれんけどね。
「聞いてみたらやっぱり貴族出身だったよ。おかしいと思ったんだよなぁ。前線に来る文官にしては戦場の事知らないし、我身を第一に逃げようとするし、あんなのが佐官とか言われても納得できないよなぁ」
いかん。
つい愚痴を溢してしまった。
此処は戦場で強敵が潜んでいるかもしれないってのに、気を散らすとは気が緩んでるな。
もっと緊張感をもたないとな。
感覚を研ぎ澄ませて……おっ、あっちから鉄の匂い……これは血だな。
かなりの量だからあっちが襲撃された場所……いや、違う。
そんなわけはない。
あっちは風上の方角だ。
もし、襲撃された場所があっちなら風に乗ってもっと早く匂いが届いていたはずだ。
なのに急に現れて、そして急に消えた。
つまり、血の匂いが移動したって事だ。
となると、考えられるのは一つしかない。
血の匂いを放つ誰かが彷徨いているって事だ。
気配は全く感じないのに誰かがいるってのは不気味なもんだ。
背筋が寒くなる。
不死の魔物ですら負のオーラがあるってのに……。
「思ってた以上にヤバいな……」
意識を集中させればさせるほどに周りが静かなのがわかる。
でも、静かなのに空気だけはピンと張り詰めている。
厄介だな。
襲ってくる敵の位置が掴めていないってのは正直しんどい。
早く出てきて欲しいけど、そう思う事が相手の狙いなんだろうな。
このまま相手の思う壺ってのは面白くないね。
なら先に仕掛けてやる!
「この技は疲れるんだけど、仕方ないな。ふぅ……」
刀の柄をいつもより強く掴んで細かく震わせる。
これが意外と腕に来るんだよなぁ。
なんて泣き言言ってる場合じゃないね、やるぞ!
「《波剣・音無》」
抜刀しながら横薙ぎに一周回ると……
「そこだっ!」
奥の茂みに向かって一気に刀を振り下ろす。
カッキィイイイイイイン!
自然の中に似つかわしくないけたたましい金属音が鳴り響いた。
「なるほど、ただの子どもではないようだ」
子どもじゃないって。
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