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第五章
ドロドロ
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ソッと物陰から現場を見ると、エマが地面を見下ろした姿勢で立っていた。
あのコソ泥がどうなったかは暗くてよく見えないが、ツンとする異臭が鼻を刺してきたし、こりゃドロドロになって床に溶けて原型留めてないパターンだな。
あんまり汚すなって言ったのに、あとの床掃除が大変だぞ。
「ラルフ」
「お、おぅ!」
姿勢を変えないまま急に声をかけてきたから、思わず変な声出しちまった。
もう収まってんだろうな?
「だ、大丈夫か?」
「うん。平気」
顔を上げたエマはいつものエマだった。
ふぅ、とりあえず安心した。
相変わらず怒ったらヤバいな。
「ラルフ?」
「あ……ああ、悪い。それで一応聞くが……ドロドロか?」
「ドロドロ」
サラッと言いやがって。
あーあ、絨毯に見るも悍ましい腐臭を放つ染みが残ってるし、床の一部が腐ってるじゃねえか。
こりゃ掃除だけじゃ無理だな。
絨毯ごと交換して、床も補修しないといけないじゃないか。
しかし、ここまでやるって事は相当エマが怒ってたって事だ。
普通ならここまでやらないからな。
「旦那様を馬鹿にされたからか?」
「うん。やり過ぎた?」
現場の酷い状態を見て、流石のエマもマズいと感じたか?
心配そうな目でこっちを見てきた。
「いや、お前がやらなかったら俺がやってたよ。こいつは自業自得だし、これは仕方ない事だ。だが、メイド長様に怒られるのだけは覚悟しとけ」
「うっ…………わかった」
しょんぼりした表情を見せるエマは年齢以上に幼く見えた。
まぁ、実際幼いんだけどな。
「それにしても派手にやったな。お前がここまで怒るのも珍しいよな」
「旦那様良い人。だから許せなかった」
「そうか。そうだな。旦那様は本当に良い方だよ。俺達みたいなワケありを雇ってくださって、こんな良い生活をさせてくださるんだもんな」
「うん。楽しい」
本当にここの暮らしは良い。
まともな仕事をさせてもらってるのに、給金は軍人の時よりいいくらいだ。
休みもあるし、身体を動かす時間もくれるから鈍る事もない。
たまに帰ってこられる旦那様との訓練も最高に面白い。
唯一の不満は旦那様と俺の実力差が全く縮まらない事だな。
旦那様強すぎるんだよなぁ。
そこがまたお仕えしていて楽しいところでもあるんだけどな。
「エマは旦那様好きか? 俺は……」
「好き。子ども欲しい」
「そんけ……ちょっと待て。今なんて言った?」
「子ども欲しい?」
「何で急にそんな話になるんだよ?」
「旦那様は強い、優しい、かっこいい」
「いや、確かにそうだけど……いきなり子どもって……」
エマはまだ幼い。
その幼児体型で旦那様を落とすのは無理があるんじゃないか?
「旦那様、可愛いって言ってくれた。イケる」
「イケるって……はぁ……まぁ、頑張ってみればいいんじゃないか? メイドが旦那様と恋仲になるなんて無い話じゃ無いからな」
「うん、玉の輿」
そんな無い胸を張ってもなぁ。
旦那様に幼児趣向はなかったと思うが、まぁいいか。
旦那様なら悪いようにはしないだろう。
それにしてもウチの女使用人達は旦那様にメロメロだな。
帝都の世話当番から帰ってきたソフィアもクラリスも完璧に堕ちてたし、今行ってるテレシアも同じだろう。
旦那様がこっちに戻ってきたらエマの参戦で三つ巴どころか四つ巴のドロドロの女の戦いが始まりそうだ。
あのコソ泥がどうなったかは暗くてよく見えないが、ツンとする異臭が鼻を刺してきたし、こりゃドロドロになって床に溶けて原型留めてないパターンだな。
あんまり汚すなって言ったのに、あとの床掃除が大変だぞ。
「ラルフ」
「お、おぅ!」
姿勢を変えないまま急に声をかけてきたから、思わず変な声出しちまった。
もう収まってんだろうな?
「だ、大丈夫か?」
「うん。平気」
顔を上げたエマはいつものエマだった。
ふぅ、とりあえず安心した。
相変わらず怒ったらヤバいな。
「ラルフ?」
「あ……ああ、悪い。それで一応聞くが……ドロドロか?」
「ドロドロ」
サラッと言いやがって。
あーあ、絨毯に見るも悍ましい腐臭を放つ染みが残ってるし、床の一部が腐ってるじゃねえか。
こりゃ掃除だけじゃ無理だな。
絨毯ごと交換して、床も補修しないといけないじゃないか。
しかし、ここまでやるって事は相当エマが怒ってたって事だ。
普通ならここまでやらないからな。
「旦那様を馬鹿にされたからか?」
「うん。やり過ぎた?」
現場の酷い状態を見て、流石のエマもマズいと感じたか?
心配そうな目でこっちを見てきた。
「いや、お前がやらなかったら俺がやってたよ。こいつは自業自得だし、これは仕方ない事だ。だが、メイド長様に怒られるのだけは覚悟しとけ」
「うっ…………わかった」
しょんぼりした表情を見せるエマは年齢以上に幼く見えた。
まぁ、実際幼いんだけどな。
「それにしても派手にやったな。お前がここまで怒るのも珍しいよな」
「旦那様良い人。だから許せなかった」
「そうか。そうだな。旦那様は本当に良い方だよ。俺達みたいなワケありを雇ってくださって、こんな良い生活をさせてくださるんだもんな」
「うん。楽しい」
本当にここの暮らしは良い。
まともな仕事をさせてもらってるのに、給金は軍人の時よりいいくらいだ。
休みもあるし、身体を動かす時間もくれるから鈍る事もない。
たまに帰ってこられる旦那様との訓練も最高に面白い。
唯一の不満は旦那様と俺の実力差が全く縮まらない事だな。
旦那様強すぎるんだよなぁ。
そこがまたお仕えしていて楽しいところでもあるんだけどな。
「エマは旦那様好きか? 俺は……」
「好き。子ども欲しい」
「そんけ……ちょっと待て。今なんて言った?」
「子ども欲しい?」
「何で急にそんな話になるんだよ?」
「旦那様は強い、優しい、かっこいい」
「いや、確かにそうだけど……いきなり子どもって……」
エマはまだ幼い。
その幼児体型で旦那様を落とすのは無理があるんじゃないか?
「旦那様、可愛いって言ってくれた。イケる」
「イケるって……はぁ……まぁ、頑張ってみればいいんじゃないか? メイドが旦那様と恋仲になるなんて無い話じゃ無いからな」
「うん、玉の輿」
そんな無い胸を張ってもなぁ。
旦那様に幼児趣向はなかったと思うが、まぁいいか。
旦那様なら悪いようにはしないだろう。
それにしてもウチの女使用人達は旦那様にメロメロだな。
帝都の世話当番から帰ってきたソフィアもクラリスも完璧に堕ちてたし、今行ってるテレシアも同じだろう。
旦那様がこっちに戻ってきたらエマの参戦で三つ巴どころか四つ巴のドロドロの女の戦いが始まりそうだ。
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