食うために軍人になりました【一人称版】

KBT

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第五章

人気

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 群衆に囲まれていたのはヴォルガング少佐とその妹のイリア、リンテール中尉とその姉であるクリスティーヌの4人だった。
 二年ぶりともなると少々懐かしさを感じるな。

「すごい人気だな」

「そりゃそうだよ! アリシア様とファンティーヌ様は元からジェニングス中将と並ぶ女神だったし、イリア様とクリスティーヌ様も、二人に引けをとらない美しさがあるんだ! 人気がないわけないよ!」

「そ、そうか……詳しいんだな」

 少佐と中尉の人気は聞いていたが、イリアとクリスティーヌにも一定のファンがいたようだ。
 まぁ、黙ってればあの二人も美人だからな。
 
「でも、この四名の方々にはそれぞれ違った魅力があってね。人気と言ってもそれぞれに違った信者ファンがいるんだよ」

「ほぅ。興味深いな。どう違うんだ?」

「先ずはアリシア様だけど、端正な顔立ちにあのスタイルだろ? それでクールな性格となればご婦人方が黙っていない。女性人気は圧倒的だ。しかも、最近では凛とした佇まいと力強さで年下男子からの人気もかなり高いんだ」

 女性人気は聞いてたが、年下男子は初耳だな。
 頼り甲斐のあるお姉さんだからか?

「ファンティーヌ様は可愛らしい容姿と不釣り合いな抜群のスタイル! それに妹気質で年上の男性からの人気では群を抜いている。でも、帝都に戻ってからは同年代からの人気も伸びているんだよ」

 なんで同年代?
 それに年上の男性からの人気ってなんか怖いな……変な層じゃなければいいけど。

「イリア様はヴォルガング流剣術の師範で活発で真っ直ぐな性格から元々門下生達に絶大な人気があったんだけど、この二年で少し表情に柔らかさが出たことで、剣術を嗜む人達からの人気が急上昇と聞いてる」

 に、人気急上昇って……
 俺は何の話を聞かされてるんだ?
 
「最後にクリスティーヌ様。正直、以前は高圧的なイメージもあってあんまり人気がなかったんだけど、南方から戻られてから妖艶な魅力を醸し出していてね! 今はイジられたい系の男達から熱い人気があるんだ」

 イ、イジられたい系の男達って……
 帝国は大丈夫なのか?
 なんか別の意味で腐敗してないか?

「き、貴重な意見をありがとう。参考に……なった」

「いいんだよ! また知りたいことがあったらいつでも言ってくれ! 僕はアルミロ・フォン・カウル! カウル准男爵家の三男だ!」

「カウル准男爵家?」

「ああ、そうさ! だが、気にすることはない! 同じ美女達を愛する同志に会えて僕は嬉しいんだ! 身分など関係ないさ! じゃあ、また会おう!」

 アルミロはそう言うと、大きく手を振りながら満面の笑みで何処かへと走り去っていった。
 うーん……内容はともかく、情報収集能力と階位差に驕らない性格は好感がもてるな。
 帝国の未来に多少の不安を感じる情報だったけどね。
 まぁ、今は気にしても仕方ない。
 そろそろ時間だし、俺も行くとしますか。
 
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