食うために軍人になりました【一人称版】

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第六章

交わり

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 フォ、フォルネアは何を言ってるんだ?
 さっきまで魔殻の破り方について話し合ってた筈なのに、どうしてこんな話になったんだ?

「おいっ? どうした? 何を固まってるんだ? 固くするのはこっち……」

「うわぁ! ど、どこ触ろうとしてんだよ! ふざけてる場合じゃないんだぞ!」

「何もふざけてないぞ? 僕は至って真剣だ」

 だったら、何でこんな話になるんだよ!
 そもそも幼児体型のフォルネアに欲情なんかするか!

「まぁ落ち着け、童貞。いくら初めてでもそんなに盛るもんじゃないぞ? 童貞」

 この野郎……
 今なら魔殻も破れそうな気がする……

「まぁ、冗談はこれくらいにしておくとして。僕と交わる事については冗談じゃないよ」

「だから、何でそうなるんだよ!?」

「さっき魔殻を破った人間がいたって言っただろ? そいつが魔族と関係を持っていたからさ」

 えっ? そ、そうなのか?
 だとしたら、魔族と交わる事が条件って事になるのか?
 つまり、俺はフォルネアと関係をもたないない限り魔殻を破れないって事……
 ど、どうするんだよ……

「ただ、肉体的な交わりは関係なかったと僕は思っているんだ。それはオマケで必要だったのは魔力の交わりだったんじゃないかと思う」

「魔力の交わり? なんだ、それは?」

「お互いの魔力を同調させて、互いの身体に流し込む事だよ。推測だけど、魔殻を破るには魔族の魔力因子が必要なんだと思うんだ」

 魔力因子?
 属性みたいなものか?
 魔族特有の魔力、魔属性とでも言うのかな?

「でも、何でそう思うんだよ? さっきのその……肉体的な交わりが関係してない根拠があるのか?」

「なに? 僕とやりたいの? やだなぁ……僕の魅力に堕ちちゃったの? 困るなぁ、もう!」

 幼児体型でクネクネしてもお遊戯にしか見えないぞ。
 俺は条件の確認をしてるだけだ。

「あれ? 今度は狼狽えないの? つまんないなぁ~」

「いいから、ちゃんと答えてくれよ」

「はいはい。もし、肉体的な交わりが条件なら愛玩的に捕らえられた魔族や人間と交わった者達も魔殻を破ってるはずだよ。でも、僕が知る限り負け魔殻を破った人間は後にも先にもただ1人だよ」

「愛玩って……そんな事があるのか!?」

「何百年か前にはね。今は知らないけど。とにかくそういった事を考えると肉体的な交わりだけでは意味がないのは間違いないと思う」

 愛玩的な交わりなど反吐が出る話だけど、肉体的な交わりが関係ないとわかったのは大きい。
 それにしても、フォルネアって意外と理論的な思考が出来るんだな。
 そういえば此処も工房兼住居って言ってたし、何かの技術者なのかも知れないな。

「さぁ! そうと解ればやる事は一つ! やるよ!」

「その言い方はやめろ! それで? 魔力の交わりってどうすればいいんだ?」

「色々あるんだけど、やっぱり肉体的に交わるのはどうかな?」

「却下。次」

「じゃあ深い接吻」

「……もうちょっと何とか」

「強く熱く抱き合う」

「……もう一声」

「はぁ……いくじなし。じゃあ手を握るのは?」

「それで行こう! それしかない!」

 譲歩に譲歩を重ねて何とか妥協点を見出せた!
 いくじなしとでも腰抜けとでも好きに言うがいい!

「ただし、一番危険なのを選んだんだから死んでも知らないよ?」

「へっ? な、なんで?」

「離れていればいる程、魔力操作が難しくなるんだからね。僕の魔力が体内で暴れ回って破裂する可能性も……」

「うっ……やっぱり抱き合うくらいで……」

「はぁ~? 何かおっしゃいましたかぁ? 一度は拒否したシュナイデンさん?」

「…………フォルネアさん。だ、抱きしめていいですか?」

「えへへ。はい、いいですよ~初めからそう言えばいいのに、童貞くんは困ったもんですねぇ」

 くそぉおおおおおおおおお!!
 俺の怒りの炎よ!
 今こそ魔殻を打ち破れぇえええええ!!

 ……しかし、何も起きなかった……無念。
 
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