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第六章
青い子ども
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「青い子ども……まさか」
「言っておきますが、お尻が青いわけではありませんよ」
「わ、わかっている! くだらない事を言っていないで早く続きを話せ!」
「では、順を追って話しましょう。このサザントールは帝国でも一、二を争う大都市ではあります。ですが、光あるところ影もまたあり。他の都市と等しく、路地裏には孤児達の姿が見多くられました」
それはこの地を治めていく者として、背けてはならない事実だ。
死別や遺棄、行方不明など理由は様々だが、この街にも孤児達は多く存在する。
孤児である事に罪はないが、生きるために犯罪に手を染める者も少なくない。
そうならない様に現在は孤児院を作るなどの対応はしているが、孤児達はその境遇から大人に不信感を持つ者が多く、あまり上手くいってはいないと聞く。
この件が片付いたら、それもまた考えねばならんな。
「で? その孤児達と青い子どもの関係は?」
「慌てずにお聞きください。私はこれまで多くの街で同じような孤児達を見てきましたが、この街の孤児は他の街の孤児と大きく異なっている点がありました。それは誰一人として大きな怪我や病気をしていない事です」
「それは喜ばしい事ではないか? 何が問題なのだ?」
「喜ばしくはありますが、気にはなります。恵まれた環境しか知らぬ閣下には理解し難い事かもしれませんが、不十分な食事、洗われていない身体、粗末な衣服、そして未来の見えない生活。それで健康的にいられるとお思いですか?」
「それは……誰かの施しでも受けたとか……」
「全ての孤児が健康でいられる施し? それにはかなりこ予算が必要となるでしょう。いくら豊かとはいえ、そんな巨額の施しなど考えにくいと思いますが?」
確かにそうだ。
それに金だけで全てが解決できる問題でもない。
一体、誰が……まさかっ!?
「孤児達は健康である理由を喋りませんでした。そこで我々は彼等の行動を観察する事にしました。そして先日、ぐったりした子を担いだ孤児達が海岸近くの洞窟に入っていくのを見たのです」
「海岸近くの洞窟……岬の祠か。確か漁の安全を祈るための祠があると聞いているが」
「ご存じでしたか。中は暗くて確認は出来ませんでしたが、その祠から出てきた子どもは歩けるまでに回復していました。そしてこう言っていました。『あの青い子はやっぱりスゴい。すぐに治った』とね」
「青い子……それがさっきの青い子どもの事か。それにしてもすぐに治ったとはどういう事だ?」
回復魔法では怪我は治せても、病気の治療はできない。
逆に弱った身体に回復魔法をかけると更に衰弱するくらいだ。
「『おとぎ話の魔物』、『青い子ども』、そして『病気を治す』。私はこれらの情報から一つの結論を見出しました。あそこには魔族が棲んでいる、と」
「言っておきますが、お尻が青いわけではありませんよ」
「わ、わかっている! くだらない事を言っていないで早く続きを話せ!」
「では、順を追って話しましょう。このサザントールは帝国でも一、二を争う大都市ではあります。ですが、光あるところ影もまたあり。他の都市と等しく、路地裏には孤児達の姿が見多くられました」
それはこの地を治めていく者として、背けてはならない事実だ。
死別や遺棄、行方不明など理由は様々だが、この街にも孤児達は多く存在する。
孤児である事に罪はないが、生きるために犯罪に手を染める者も少なくない。
そうならない様に現在は孤児院を作るなどの対応はしているが、孤児達はその境遇から大人に不信感を持つ者が多く、あまり上手くいってはいないと聞く。
この件が片付いたら、それもまた考えねばならんな。
「で? その孤児達と青い子どもの関係は?」
「慌てずにお聞きください。私はこれまで多くの街で同じような孤児達を見てきましたが、この街の孤児は他の街の孤児と大きく異なっている点がありました。それは誰一人として大きな怪我や病気をしていない事です」
「それは喜ばしい事ではないか? 何が問題なのだ?」
「喜ばしくはありますが、気にはなります。恵まれた環境しか知らぬ閣下には理解し難い事かもしれませんが、不十分な食事、洗われていない身体、粗末な衣服、そして未来の見えない生活。それで健康的にいられるとお思いですか?」
「それは……誰かの施しでも受けたとか……」
「全ての孤児が健康でいられる施し? それにはかなりこ予算が必要となるでしょう。いくら豊かとはいえ、そんな巨額の施しなど考えにくいと思いますが?」
確かにそうだ。
それに金だけで全てが解決できる問題でもない。
一体、誰が……まさかっ!?
「孤児達は健康である理由を喋りませんでした。そこで我々は彼等の行動を観察する事にしました。そして先日、ぐったりした子を担いだ孤児達が海岸近くの洞窟に入っていくのを見たのです」
「海岸近くの洞窟……岬の祠か。確か漁の安全を祈るための祠があると聞いているが」
「ご存じでしたか。中は暗くて確認は出来ませんでしたが、その祠から出てきた子どもは歩けるまでに回復していました。そしてこう言っていました。『あの青い子はやっぱりスゴい。すぐに治った』とね」
「青い子……それがさっきの青い子どもの事か。それにしてもすぐに治ったとはどういう事だ?」
回復魔法では怪我は治せても、病気の治療はできない。
逆に弱った身体に回復魔法をかけると更に衰弱するくらいだ。
「『おとぎ話の魔物』、『青い子ども』、そして『病気を治す』。私はこれらの情報から一つの結論を見出しました。あそこには魔族が棲んでいる、と」
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