食うために軍人になりました【一人称版】

第六章

爆裂の魔眼

「自爆するのか？」

　爆散する自分の姿に思わず、自分の身体を抱きしめた。
　『死なば諸共！』的な魔眼は嫌だなぁ。

「自爆なんかするわけないだろっ！？　僕を誰だと思ってるんだ！？　あのフォルネア・ルーン・マルベラだぞ！」

　どのフォルネア・ルーン・マルベラだよ？
　俺は目の前にいる愛らしい子どものフォルネアしか知らないぞ。

「だって、ドッカーンって……」

「バカっ！　見た対象物を爆発させる《爆裂の魔眼エクスプロージョンゲイズ》だよ！　自爆の魔眼なんて、あるわけ……ちょっと面白そうかも」

　やめろよ？
　俺の右眼は無事なんだからな？
　チラチラとこっちを見るんじゃない！
　それにしても、《爆裂の魔眼》とはね。
　物騒な事には変わりないけど、遠距離攻撃が出来る様になるのはありがたいな。
　なんせ刀の間合いは限られてるし、距離を保ちながら攻撃されると厄介だからね。
　海神十二将の時も、これがあったら何とかなったかもしれないな。

「先ずは物は試しだ。あそこに向かって魔眼を発動させてみろ」

「洞窟の壁？　そんなところ爆発させて大丈夫なのか？」

「いいから、やってみろ。ほら！」

　無理矢理引き起こされて、壁に向かわされた。
　もう、どうなっても知らないぞ！

「先ずは左眼に意識を集中させろ。そして、弓を引くイメージを持つんだ」

　左眼に意識を集中、そして目標を見つめて、弓を引くイメージを持つ。

「集中を切らすなよ。次はそのまま、イメージした矢に魔力を込めていくんだ。視線は合わせたままだぞ」

　イメージした矢に魔力を込める。
　な、なんか眼が渇いてきたような……ジンジンする感じがするぞ。

「限界まで集中し、魔力が十分込められたら、一気に矢を放つ！」

　よくわからないけど、一気に矢を放つ！
　
「いっけぇえええ！」

　と、威勢よく声を上げてみたが何も起こらなかった。
　あれ？　なんで？

「はぁ……やっぱり最初はこんなもんか」

　溜息混じりにフォルネアがそう呟いた。
　失敗したのか？

「生まれつき持っている【天性魔眼】と違って、【創生魔眼】は使いこなすのが難しいんだよ。使いこなすとなったら、やっぱり修行が必要だな」

「ま、また修行か？　そんな悠長な時間は……」

「わかってるよ。アマナ王国が帝国に攻め込んでからじゃ遅いって言うんだろ？　だから明日からは魔力操作、実践形式での戦闘訓練と併用して魔眼の修行もやる。もうそれしかない」

「うっ……お手柔らかに、してる場合じゃないな。せめて優しくお願いします」

「君は一度でも僕が優しく見えた事があるのかい？」

　……無いな。

「わかったか？　なら、今日は休め！　明日からはこの世の地獄が始まるからな。死ぬんじゃ無いぞ？」

　悪魔みたいな笑みしやがって！
　俺からも一言、言わせてくれ！
　殺さないでください！