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第七章
皇帝と元帥
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結局、あれから陛下は何も言わず、ウォーレイク元帥にルークリア、フェンドラとの会談の場を設けるよう勅命を出して会議を終わらせた。
レッドウッドやジェニングスは最後まで納得がいかない様子だったが、勅命に異議を唱える事もできず、不承不承ながら受け入れた。
しかし、陛下は何を考えているのか。
あの顔はきっと何かあるのだ。
おそらく、我々にも内密の事情があるのだろう。
それが何なのか……見当もつかん。
むっ、あそこにいるのはウォーレイク元帥か。
「これはローゼンハイム上級大将、先程はお見苦しいところをお見せして、申し訳ありません」
「いえ……閣下。階級が下の者に簡単に頭を下げてはなりませんぞ。いらぬ誤解を招くことになるやも知れませんからな」
「ええ、分かっています。ですが、今この場には恩を仇で返す不心得者もおりません。そして、おそらくこれが私が陛下以外に下げる最後の頭となるでしょう」
「ほぅ。それは此度の功績により、軍隊司令長官の座に就く、という事ですかな?」
「さすがですね」
微笑うだけで否定も肯定もせん、か。
やはり、その辺りは打ち合わせ済みだったというわけだ。
この帝国存亡の危機に、ヴォルドンのような家柄と門閥貴族の支援だけで地位を得た無能は必要ない。
だが、今の現状で軍隊司令長官が不在というわけにもいかん。
そこで、ウォーレイク元帥が後釜につけるように手回しをされていたのだろう。
おそらくはヘルフォード元帥、フェラース元帥にも内々に話があったはずだ。
解任の話があった時に何も発しなかったからな。
「私としてはローゼンハイム上級大将に元帥になっていただく方が良いと思ったのですが」
「それは有難いお話ですが、遠慮させていただきます。元帥など、この老骨にはちと荷が重い。それに、いつまでも年寄が座ったままでは、若い者が座れません。我々も立ち去る勇気を持たねばなりません」
積み重ねた地位を捨てることは容易では無い。
だが、この国は年寄だけの国では無い。
才ある若者達にこそ、上に立って導いてもらわねば困るのだ。
腰が曲がって前を向くのがやっとの年寄より、胸を張って立ち、上を向ける若者にこそ、この国を担ってもらいたい。
でなければ、未来などやって来ないのだから。
「御立派です、ローゼンハイム上級大将」
「年寄の独り言です。それより、閣下は先の会議について、どう思われますか? 失礼ですが、直属のシュナイデン中佐の事を考えると、ルークリアはともかく、フェンドラには思うところがあるのではないかと愚考しまして」
この男が、シュナイデン中佐を軽んじていたわけがない。
報告を聞いた時は、部下を遠ざけて部屋に篭ったと聞いた。
恨みがないわけがない。
「お心遣い感謝致します。ですが、今は私情を挟んでいる場合ではありませんので」
妙だな。
何かはぐらかされた様な気分だ。
どうやら何かを隠しているな。
なら、こちらはどうだ?
「そうですか。では、もう一つ教えていただきたいのですが、ジェニングス中将とその部下4名は今、どちらに? 特別な任務とお伺いしましたが」
「あの者達は来たる戦いに向けて特訓しているところです。それと付け加えるなら、コクトー、バランディン、テーニセンの3人も」
なに? あの3人まで何かしていると言うのか。
軍上層部以外で、あの3人に直接命令を出せるとすれば、陛下しかいない。
陛下とウォーレイク、一体何を企んでいるのか。
わからぬが、おそらく起死回生の策があるのだろう。
今はそれに賭けてみるしかない。
才能ある若者達に。
レッドウッドやジェニングスは最後まで納得がいかない様子だったが、勅命に異議を唱える事もできず、不承不承ながら受け入れた。
しかし、陛下は何を考えているのか。
あの顔はきっと何かあるのだ。
おそらく、我々にも内密の事情があるのだろう。
それが何なのか……見当もつかん。
むっ、あそこにいるのはウォーレイク元帥か。
「これはローゼンハイム上級大将、先程はお見苦しいところをお見せして、申し訳ありません」
「いえ……閣下。階級が下の者に簡単に頭を下げてはなりませんぞ。いらぬ誤解を招くことになるやも知れませんからな」
「ええ、分かっています。ですが、今この場には恩を仇で返す不心得者もおりません。そして、おそらくこれが私が陛下以外に下げる最後の頭となるでしょう」
「ほぅ。それは此度の功績により、軍隊司令長官の座に就く、という事ですかな?」
「さすがですね」
微笑うだけで否定も肯定もせん、か。
やはり、その辺りは打ち合わせ済みだったというわけだ。
この帝国存亡の危機に、ヴォルドンのような家柄と門閥貴族の支援だけで地位を得た無能は必要ない。
だが、今の現状で軍隊司令長官が不在というわけにもいかん。
そこで、ウォーレイク元帥が後釜につけるように手回しをされていたのだろう。
おそらくはヘルフォード元帥、フェラース元帥にも内々に話があったはずだ。
解任の話があった時に何も発しなかったからな。
「私としてはローゼンハイム上級大将に元帥になっていただく方が良いと思ったのですが」
「それは有難いお話ですが、遠慮させていただきます。元帥など、この老骨にはちと荷が重い。それに、いつまでも年寄が座ったままでは、若い者が座れません。我々も立ち去る勇気を持たねばなりません」
積み重ねた地位を捨てることは容易では無い。
だが、この国は年寄だけの国では無い。
才ある若者達にこそ、上に立って導いてもらわねば困るのだ。
腰が曲がって前を向くのがやっとの年寄より、胸を張って立ち、上を向ける若者にこそ、この国を担ってもらいたい。
でなければ、未来などやって来ないのだから。
「御立派です、ローゼンハイム上級大将」
「年寄の独り言です。それより、閣下は先の会議について、どう思われますか? 失礼ですが、直属のシュナイデン中佐の事を考えると、ルークリアはともかく、フェンドラには思うところがあるのではないかと愚考しまして」
この男が、シュナイデン中佐を軽んじていたわけがない。
報告を聞いた時は、部下を遠ざけて部屋に篭ったと聞いた。
恨みがないわけがない。
「お心遣い感謝致します。ですが、今は私情を挟んでいる場合ではありませんので」
妙だな。
何かはぐらかされた様な気分だ。
どうやら何かを隠しているな。
なら、こちらはどうだ?
「そうですか。では、もう一つ教えていただきたいのですが、ジェニングス中将とその部下4名は今、どちらに? 特別な任務とお伺いしましたが」
「あの者達は来たる戦いに向けて特訓しているところです。それと付け加えるなら、コクトー、バランディン、テーニセンの3人も」
なに? あの3人まで何かしていると言うのか。
軍上層部以外で、あの3人に直接命令を出せるとすれば、陛下しかいない。
陛下とウォーレイク、一体何を企んでいるのか。
わからぬが、おそらく起死回生の策があるのだろう。
今はそれに賭けてみるしかない。
才能ある若者達に。
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