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第七章
夢想
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そうだ。
久しぶりに会った時にどうするかを考えておかねばならんな。
ここはやはり大人の余裕をたっぷり魅せつけるべきだろう。
敢えて、気にしていなかった風を装えば、アイツも焦るかもしれないな。
いや、それは可哀想過ぎるか?
やっぱり温かい包容力で包み込んで……
「閣下。我々全員で向かうのは分かりましたが、此度の会談の代表はどなたですか?」
「こう優し……えあっ!? な、なんだ? アリシア」
いかん。
頭の中が、どう詩的に再会するかでいっぱいになっていた。
気取られるように平静を装わねば。
「何を考えてたか、すぐにわかりますねぇ。確認のために言っておきますけどぉ、リッくんについては抜け駆け無しの恨みっこ無しですからねぇ」
「わ、わかっている! そんな事は考えていない!」
チッ! ファンティーヌめ、相変わらず勘のいいやつだ。
私は上官で、お前達より歳上なんだから、ちょっとぐらい優遇してくれてもいいものを、改めて確認してきおった!
抜け目のないところが、本当に可愛くない!
「その話も非常に気になりますが、今は陛下の名代が誰なのかの方が気になります」
「ああ、その事か。陛下の名代はウォーレイク閣下だ。元々、今回の会談の申し出を受けたのも閣下だからな。敵から見ても、一番話のわかる元帥だと思われたんだろう」
「その選択は正しいですわ。他の方々をどうこう言うつもりはありませんが、長官は無駄に騒ぐだけでしょうから」
「おぉ、そうだ。それで思い出した。先ほどの会議で、その軍隊司令長官殿が謹慎を命じられたそうだ。事実上の更迭となる。これで我々も動きやすくなるぞ」
ヴォルドンの更迭を聞いた全員の顔が一気に綻んだ。
奴にはこれまで散々煮え湯を飲まされてきたからな。
一年前にサザントールから帰還した時も『フェンドラにやられっぱなしで、帝国軍の栄光に泥を塗った』と罵られたものだ。
それ自体は事実だが、当の本人が何もしていないのに言われるのは腑に落ちなかったものだ。
だが、今となってはどうでもいい。
奴が更迭されたとなれば、次の軍隊司令長官はウォーレイク閣下だろう。
これで軍の統率も秩序を取り戻せる。
腐敗した帝国を正すために、先ずは軍から正さねばならない。
「閣下、相手側からは誰が来るのですか?」
「ルークリアからはアルフォンス・サウデンベルクなる代議士、フェンドラからは海神十二将の長が来るそうだ。会場内での護衛は二名まで。私が行くから、お前達は扉の外で控えていろ」
「えっ? 護衛は二名までなんですよねぇ? どうして閣下だけなんですかぁ?」
「当然だろ? 最初から二名いたら、後から来た者が入れないじゃないか」
「閣下! そ、それは、もしかしてっ!?」
「面白いこと……やはり、そういう事でしたのね。ふふっ、楽しみですわ」
今ので完全にバレてしまったようだ。
仕方ない。
作戦行動上、必要不可欠な事を伝えただけだからな。
しかし……確定した途端、これだからなぁ。
「落ち着け、落ち着くんだ。アリシア。最初が肝心だ。平常心、平常心だ」
「うーん、装備はどうしようかなぁ? いつもの軍服より、少し胸元の開いたローブに替えとこうかなぁ。ああ、でも急に欲情したら危ないからぁ、少し控えめな方がいいかもぉ」
「やっと会える。今度こそ、私はお側を離れたりはしない。そのために命懸けで手に入れた力だ。一生、お側に……い、一生……そ、それって……ぁああああ!?」
「やっと惚けた顔を引っ叩けわ。この一年の苦労、全てぶつけてやりますわ! それでお顔が見られないようになっても、私が責任をもって養ってあげますから、問題ありません! 問題、ありませんわ!」
やれやれ、これではさっきの私と変わらんではないか。
客観的に見ると、これ程情けない顔をしていたのか。
まぁ、この一年は全員が命を賭して力をつけたんだ。
今ぐらい、少し夢に浸ってもいいだろう。
なんせ、添い遂げるのは私だからな!
久しぶりに会った時にどうするかを考えておかねばならんな。
ここはやはり大人の余裕をたっぷり魅せつけるべきだろう。
敢えて、気にしていなかった風を装えば、アイツも焦るかもしれないな。
いや、それは可哀想過ぎるか?
やっぱり温かい包容力で包み込んで……
「閣下。我々全員で向かうのは分かりましたが、此度の会談の代表はどなたですか?」
「こう優し……えあっ!? な、なんだ? アリシア」
いかん。
頭の中が、どう詩的に再会するかでいっぱいになっていた。
気取られるように平静を装わねば。
「何を考えてたか、すぐにわかりますねぇ。確認のために言っておきますけどぉ、リッくんについては抜け駆け無しの恨みっこ無しですからねぇ」
「わ、わかっている! そんな事は考えていない!」
チッ! ファンティーヌめ、相変わらず勘のいいやつだ。
私は上官で、お前達より歳上なんだから、ちょっとぐらい優遇してくれてもいいものを、改めて確認してきおった!
抜け目のないところが、本当に可愛くない!
「その話も非常に気になりますが、今は陛下の名代が誰なのかの方が気になります」
「ああ、その事か。陛下の名代はウォーレイク閣下だ。元々、今回の会談の申し出を受けたのも閣下だからな。敵から見ても、一番話のわかる元帥だと思われたんだろう」
「その選択は正しいですわ。他の方々をどうこう言うつもりはありませんが、長官は無駄に騒ぐだけでしょうから」
「おぉ、そうだ。それで思い出した。先ほどの会議で、その軍隊司令長官殿が謹慎を命じられたそうだ。事実上の更迭となる。これで我々も動きやすくなるぞ」
ヴォルドンの更迭を聞いた全員の顔が一気に綻んだ。
奴にはこれまで散々煮え湯を飲まされてきたからな。
一年前にサザントールから帰還した時も『フェンドラにやられっぱなしで、帝国軍の栄光に泥を塗った』と罵られたものだ。
それ自体は事実だが、当の本人が何もしていないのに言われるのは腑に落ちなかったものだ。
だが、今となってはどうでもいい。
奴が更迭されたとなれば、次の軍隊司令長官はウォーレイク閣下だろう。
これで軍の統率も秩序を取り戻せる。
腐敗した帝国を正すために、先ずは軍から正さねばならない。
「閣下、相手側からは誰が来るのですか?」
「ルークリアからはアルフォンス・サウデンベルクなる代議士、フェンドラからは海神十二将の長が来るそうだ。会場内での護衛は二名まで。私が行くから、お前達は扉の外で控えていろ」
「えっ? 護衛は二名までなんですよねぇ? どうして閣下だけなんですかぁ?」
「当然だろ? 最初から二名いたら、後から来た者が入れないじゃないか」
「閣下! そ、それは、もしかしてっ!?」
「面白いこと……やはり、そういう事でしたのね。ふふっ、楽しみですわ」
今ので完全にバレてしまったようだ。
仕方ない。
作戦行動上、必要不可欠な事を伝えただけだからな。
しかし……確定した途端、これだからなぁ。
「落ち着け、落ち着くんだ。アリシア。最初が肝心だ。平常心、平常心だ」
「うーん、装備はどうしようかなぁ? いつもの軍服より、少し胸元の開いたローブに替えとこうかなぁ。ああ、でも急に欲情したら危ないからぁ、少し控えめな方がいいかもぉ」
「やっと会える。今度こそ、私はお側を離れたりはしない。そのために命懸けで手に入れた力だ。一生、お側に……い、一生……そ、それって……ぁああああ!?」
「やっと惚けた顔を引っ叩けわ。この一年の苦労、全てぶつけてやりますわ! それでお顔が見られないようになっても、私が責任をもって養ってあげますから、問題ありません! 問題、ありませんわ!」
やれやれ、これではさっきの私と変わらんではないか。
客観的に見ると、これ程情けない顔をしていたのか。
まぁ、この一年は全員が命を賭して力をつけたんだ。
今ぐらい、少し夢に浸ってもいいだろう。
なんせ、添い遂げるのは私だからな!
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