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第七章
力量
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「ところで、当のシュナイデン男爵は今どちらにおられるのであるかな?」
動揺をすぐに鎮め、素知らぬ顔でリクトの居場所を確認してくるとは、老獪な事だ。
この同盟締結の場で、一年前の暗殺事件を持ち出されるのはフェンドラにとっては痛いところだろうからな。
リクトは本当に生きているのか、何処にいるのか、フェンドラが関与している事はバレているのか。
平静を装っていても、グランツにとっては気が気ではないだろう。
「シュナイデン男爵は今は別任務のために、この場にはいません。それより、随分とシュナイデン男爵の事を気になさるのですね? グランツ殿」
「シュナイデン男爵は帝国でも一、二を争う実力者と聞いている。アマナ王国との戦を前に、強力な戦力が増えるのは非常に重要であるからな。気にもなるのである」
「そうでしたか。では、ご安心ください。彼は以前にも増して強くなり、今回のアマナ王国との戦いでも、活躍してくれますよ。私が保証いたします」
「そ、そうであるか。しかし、強くなったとは、どれ程であるかな? 一年前も相当な強さだったが……」
「おや? 一年前のシュナイデン男爵の力量をご存知なのですか? 面識はなかったと思いますが?」
「いや、彼の勇猛さは聞き及んでいたのである。なんせ、そこにおられるルーストレーム殿と引き分けたと聞いたのでな」
素晴らしい胆力だな。
憎いほどに。
ここまで言えば、フェンドラが関与している事に、こっちが気づいているとわかるだろうに。
それを確証を得るまではシラを切るつもりのようだ。
全く、人というのは恐ろしいものだな。
「お口を挟んで失礼ですけど、私も興味があるわ。彼、そんなに強くなったのかしら?」
沈黙した重苦しい雰囲気を破ったのはルーストレームだった。
こいつもリクトとは浅からぬ因縁があるし、もし、会う機会があれば気をつけておかないといけないな。
「ルーストレーム殿。正直、私もまだこの眼で見たわけではありません。ですが、彼が師事した方の実力を見れば、彼がどれほど強くなったかは、大体はわかります」
「その師事した方っていうのが、そちらの魔族の方かしら?」
ルーストレームがフォルネア殿に眼を向ける。
その眼には明らかに殺気が込められているが、フォルネア殿が意に介した様子はない。
強くなった私でも、警戒するレベルの殺気なのに、彼女はそれを微風程度にも感じていないのだ。
本当に実力の底が知れない。
「リクトの力量? まぁ、僕と戦えるレベルにはなってるよ。そうだねぇ、君とだったら、2秒で終わらせれるくらいじゃない?」
「……そうですか。私が2秒しかもたないと。では、その実力見させてもらいますわ!」
殺気を撒き散らしたルーストレームがフォルネアに襲いかかった。
愚かな事を……死ぬぞ?
動揺をすぐに鎮め、素知らぬ顔でリクトの居場所を確認してくるとは、老獪な事だ。
この同盟締結の場で、一年前の暗殺事件を持ち出されるのはフェンドラにとっては痛いところだろうからな。
リクトは本当に生きているのか、何処にいるのか、フェンドラが関与している事はバレているのか。
平静を装っていても、グランツにとっては気が気ではないだろう。
「シュナイデン男爵は今は別任務のために、この場にはいません。それより、随分とシュナイデン男爵の事を気になさるのですね? グランツ殿」
「シュナイデン男爵は帝国でも一、二を争う実力者と聞いている。アマナ王国との戦を前に、強力な戦力が増えるのは非常に重要であるからな。気にもなるのである」
「そうでしたか。では、ご安心ください。彼は以前にも増して強くなり、今回のアマナ王国との戦いでも、活躍してくれますよ。私が保証いたします」
「そ、そうであるか。しかし、強くなったとは、どれ程であるかな? 一年前も相当な強さだったが……」
「おや? 一年前のシュナイデン男爵の力量をご存知なのですか? 面識はなかったと思いますが?」
「いや、彼の勇猛さは聞き及んでいたのである。なんせ、そこにおられるルーストレーム殿と引き分けたと聞いたのでな」
素晴らしい胆力だな。
憎いほどに。
ここまで言えば、フェンドラが関与している事に、こっちが気づいているとわかるだろうに。
それを確証を得るまではシラを切るつもりのようだ。
全く、人というのは恐ろしいものだな。
「お口を挟んで失礼ですけど、私も興味があるわ。彼、そんなに強くなったのかしら?」
沈黙した重苦しい雰囲気を破ったのはルーストレームだった。
こいつもリクトとは浅からぬ因縁があるし、もし、会う機会があれば気をつけておかないといけないな。
「ルーストレーム殿。正直、私もまだこの眼で見たわけではありません。ですが、彼が師事した方の実力を見れば、彼がどれほど強くなったかは、大体はわかります」
「その師事した方っていうのが、そちらの魔族の方かしら?」
ルーストレームがフォルネア殿に眼を向ける。
その眼には明らかに殺気が込められているが、フォルネア殿が意に介した様子はない。
強くなった私でも、警戒するレベルの殺気なのに、彼女はそれを微風程度にも感じていないのだ。
本当に実力の底が知れない。
「リクトの力量? まぁ、僕と戦えるレベルにはなってるよ。そうだねぇ、君とだったら、2秒で終わらせれるくらいじゃない?」
「……そうですか。私が2秒しかもたないと。では、その実力見させてもらいますわ!」
殺気を撒き散らしたルーストレームがフォルネアに襲いかかった。
愚かな事を……死ぬぞ?
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