食うために軍人になりました【一人称版】

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第七章

目覚めたら地獄

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 見覚えのない天井を前に俺は目を覚ました。
 身体中が痛いし、怠さが酷い。
 何もする気が起きないほどに、俺の身体は疲れ切っているようだ。
 そうやってぼんやりしていると、いつかの記憶が蘇ってくる。
 俺はあのガルビアとかいう魔族と戦った。
 自分で言うのも何だが、本当に死闘だったと思う。
 今、生きているのが不思議なくらいに。
 
「生きているという事は俺が勝ったのか?」

「引き分け。いや、お前の負けだよ」

 俺の独白に答えたのはフォルネアだった。
 また、顔と服に返り血が付いている。
 以前より返り血に勢いがある気がするのは、考えないようにしよう。
 何があったかというより、何をしたかを知る方が怖い。

「最後の一撃は互いの顔面を捉えての相打ちだったが、先に立ったのは向こうだ。だからお前の負け。邪魔が入らなかったら、お前はとどめを刺されていただろうからな」

 俺が負けたのか。
 悔しくないと言えば嘘になるけど、全力を出して負けたのなら仕方ない。
 自分より相手が強かった。
 ただ、それだけの事だ。

「助かったよ。フォルネアが助けてくれたのか?」

「違う。邪魔とは僕のことじゃない」

 それからフォルネアは事の顛末を俺に教えてくれた。
 魔族屈指の実力者、ルバス総統。
 そして、あのガルビアを従える魔族達が他にも沢山いる。
 もう、本当に絶望的な状況だな。

「72人いる【上位種グレーター】の中で、今のお前は69番目のガルビアと同等だ。それより強い奴等は誰でも、そのガルビアを一撃で倒せる。どれだけ強いかわかったか?」

「わかったよ。今の俺じゃどうやったって勝てないって事がな」

「なら、どうする?」

 俺を捉えたフォルネアの瞳は試すようで挑発的、それでいて引き込まれそうな不思議な魅力の瞳だったよ。
 わかってるよ。
 そんな眼をしなくても、俺の答えは決まっている。

「今より強くなるしかない。そのために、アレを使わせてくれ」

 俺の答えにフォルネアの瞳の輝きが増す。
 正直言うと、アレだけは使いたくなかったけど、そうも言っていられない。
 フォルネアの話では、奴らが攻めてくるのは半年後だけど、普通に修行して埋まるような実力差じゃないんだ。
 だから、普通じゃない修行をするしかない!

「ようやく腹を括ったか。この天才、フォルネアの秘策アレを使う気になってくれた事に感謝するぞ」

「何もせずに負けるのだけは嫌だからな。無理も無茶も承知の上! やってやる!」

「そうか、そうか。いい覚悟だよ。では、ようこそ地獄へ。歓迎するよ、私の相棒くん?」

 俺の決意をほくそ笑むフォルネア。
 そんな顔をされたら、決意が揺らぐからやめてくれ。
 本当は嫌なんだから!
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