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第一章
大発見の立役者
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「毎度あり~」
サトは店を出る客を見送りながら、買い取った品を整理していた。
「今日は薬草関連の持込みが多くて助かるなぁ。回復薬に精製して売れば……うん! 一気に倍の儲けになる。今日も良い取引が出来たな」
サトはほくそ笑みながら薬草を種類別に分けている。
薬草を回復薬にするには《薬物生成》という薬師の能力が必要になるが、サトは《薬物精製》という能力により、それが出来るようになっていた。
今までは薬草を買い取っても薬師に卸すだけだったが、回復薬に精製して売る事で儲けは大幅に変わった。
回復薬のできる量の薬草を卸しても1000ルークがせいぜいだが、回復薬なら5000ルークになる。
更にサトの《薬物精製》は《薬物生成》の上位能力であり、普通の薬師よりも質の良い回復薬が出来る。
そのため、少し高めでも売れるので、ロンメルの店の主力商品になりつつあった。
「酷い目にあったけど、これもこいつのおかげかな」
サトは傍に置いてある古本を見た。
脳裏に言葉が浮かんでくる。
《マーセルの魔導書》
2000年前に実在した魔導の叡智を極めた伝説の魔導師が遺した魔導書。
解読または鑑定が出来た者に古代の叡智を問答無用で脳内に叩き込む。
膨大な知識の奔流に脳や肉体が耐えられなければ死に至る危険な魔導書。
すでに知識の譲渡が済んでいるため、今は紙としての価値しかない。
相場10ルーク。
「あの時の激痛はこいつの知識の奔流が原因で、ジュリアンさん達が適切に対処してくれたおかげで死なずに済んだわけだ。もし1人の時だったら……」
サトは今でも思い出すと身震いする恐怖に顔を青褪めさせた。
「……で、でも! 済んだ事だ! ジュリアンさん達には感謝してもしきれない。帰ってきたらちゃんと御礼しなきゃいけないね。今頃、王都で楽しんでるかな」
ジュリアン達が教会に《ハメルンの魔笛》を持ち込んでから既に1ヶ月が経っていた。
《ハメルンの魔笛》は物が物だけに簡単に信用はして貰えなかったが、ジュリアンがサトの鑑定を丁寧に説明したために、渋々だが安からぬ御布施と引換えに教会が預かる事になった。
しかし、その後に王都から派遣された筆頭鑑定士が笛を《ハメルンの魔笛》と確定した事で事態は一変する。
古代の秘宝であり、伝説でもある《ハメルンの魔笛》の発見は、公都のみならずブロディア王国全土に衝撃を与えた。
その功績が評価されて発見したジュリアン達は王都に招かれ、国王陛下より直々に褒賞を受け取る事になり、今は3人揃って王都に行っている。
ジュリアン達は出発前にサトも功労者として一緒に行こうと誘っていたが、サトはそれを拒否した。
鑑定能力に加えて、古代の叡智を持つサトは権力者の誰もが欲しがる人材となっていた。
能力が露見すると自分の望みが叶えられなくなると思ったのである。
サトの望みはロンメルへの恩返し。
地位も名誉もサトには不要だった。
サトは誘いに来たジュリアン達に自分が鑑定した事を内密にする様に頼んだ。
最初は驚いていたジュリアンだったが、その後は何も聞かずに了承したのである。
『わかった。君には君の都合もあるのだろう。ハンターは互いに詮索せぬのが鉄則だ。約束しよう。今回の件では君のことは誰にも話さない』
サトはジュリアンの別れの言葉を思い出しながら、薬草の仕分けを続けた。
今も自分が店番をしていられるのはジュリアン達のおかげだと思い返しながら……。
サトは店を出る客を見送りながら、買い取った品を整理していた。
「今日は薬草関連の持込みが多くて助かるなぁ。回復薬に精製して売れば……うん! 一気に倍の儲けになる。今日も良い取引が出来たな」
サトはほくそ笑みながら薬草を種類別に分けている。
薬草を回復薬にするには《薬物生成》という薬師の能力が必要になるが、サトは《薬物精製》という能力により、それが出来るようになっていた。
今までは薬草を買い取っても薬師に卸すだけだったが、回復薬に精製して売る事で儲けは大幅に変わった。
回復薬のできる量の薬草を卸しても1000ルークがせいぜいだが、回復薬なら5000ルークになる。
更にサトの《薬物精製》は《薬物生成》の上位能力であり、普通の薬師よりも質の良い回復薬が出来る。
そのため、少し高めでも売れるので、ロンメルの店の主力商品になりつつあった。
「酷い目にあったけど、これもこいつのおかげかな」
サトは傍に置いてある古本を見た。
脳裏に言葉が浮かんでくる。
《マーセルの魔導書》
2000年前に実在した魔導の叡智を極めた伝説の魔導師が遺した魔導書。
解読または鑑定が出来た者に古代の叡智を問答無用で脳内に叩き込む。
膨大な知識の奔流に脳や肉体が耐えられなければ死に至る危険な魔導書。
すでに知識の譲渡が済んでいるため、今は紙としての価値しかない。
相場10ルーク。
「あの時の激痛はこいつの知識の奔流が原因で、ジュリアンさん達が適切に対処してくれたおかげで死なずに済んだわけだ。もし1人の時だったら……」
サトは今でも思い出すと身震いする恐怖に顔を青褪めさせた。
「……で、でも! 済んだ事だ! ジュリアンさん達には感謝してもしきれない。帰ってきたらちゃんと御礼しなきゃいけないね。今頃、王都で楽しんでるかな」
ジュリアン達が教会に《ハメルンの魔笛》を持ち込んでから既に1ヶ月が経っていた。
《ハメルンの魔笛》は物が物だけに簡単に信用はして貰えなかったが、ジュリアンがサトの鑑定を丁寧に説明したために、渋々だが安からぬ御布施と引換えに教会が預かる事になった。
しかし、その後に王都から派遣された筆頭鑑定士が笛を《ハメルンの魔笛》と確定した事で事態は一変する。
古代の秘宝であり、伝説でもある《ハメルンの魔笛》の発見は、公都のみならずブロディア王国全土に衝撃を与えた。
その功績が評価されて発見したジュリアン達は王都に招かれ、国王陛下より直々に褒賞を受け取る事になり、今は3人揃って王都に行っている。
ジュリアン達は出発前にサトも功労者として一緒に行こうと誘っていたが、サトはそれを拒否した。
鑑定能力に加えて、古代の叡智を持つサトは権力者の誰もが欲しがる人材となっていた。
能力が露見すると自分の望みが叶えられなくなると思ったのである。
サトの望みはロンメルへの恩返し。
地位も名誉もサトには不要だった。
サトは誘いに来たジュリアン達に自分が鑑定した事を内密にする様に頼んだ。
最初は驚いていたジュリアンだったが、その後は何も聞かずに了承したのである。
『わかった。君には君の都合もあるのだろう。ハンターは互いに詮索せぬのが鉄則だ。約束しよう。今回の件では君のことは誰にも話さない』
サトはジュリアンの別れの言葉を思い出しながら、薬草の仕分けを続けた。
今も自分が店番をしていられるのはジュリアン達のおかげだと思い返しながら……。
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