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第一章
現れた者達
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耳を劈くような悲鳴に7人は一斉に戦闘態勢に入る。
サトだけは視線を逸らさずに少し高い草花部分を見ていた。
「今の悲鳴は何だ? アメリア」
「声の方向はさっき矢を射った辺りです。となれば……」
「ロンメル様、お見事です。素晴らしい弓の腕と索敵能力ですね」
「ジュリアン形無しだね」
「情けない」
「やれやれ、さすがは元ハンターだな。ロンメル爺さん、腕は鈍っていないようで何よりだよ」
皆が口々にロンメルを称賛したが、当の本人は複雑な心境だった。
矢を放ったのはサトが怪しがっていたからであって、自らの手柄ではない。
しかし、ここでサトが気づいた事を言ってしまえばサトの鑑定能力の事がバレる可能性もある。
言いたくても言えない。
そんなもどかしさをロンメルは嫌と言うほど味わっていた。
「サト、何故おかしいと思ったんじゃ?」
ロンメルは他の者に気づかれないように小声でそっとサトに尋ねた。
「この草原の草花は長さが全て一定です。なのにあの部分だけ少し伸びているのはどうにも気になったんです。そして、その周囲だけが泥濘んでいる事もあの場所が特異である事を示しています。それに毎回のように泥に足をとられる新米ハンター達。それでピンと来たんです」
「どういう事じゃ?」
「あの場所は誰かがワザと泥濘ませているんじゃないかって事です。そして、それを周知させるために定期的に足をとられるハンターを誰かが演じていたんじゃないかって」
「なるほどのぅ。この場所に近づけないためか」
「ええ。だから俺はそこに何かあるんじゃないかと思って、草花の根本を見たんですよ。そしたらありました。扉がね」
サトが見た時に脳裏に浮かんできた言葉はただ一つ。
『扉』であった。
「では、儂の射った矢は……」
「扉の横にいた、おそらく見張りの男に当たりました。お見事です。びっくりさせられたらいいかと思ったのに、まさか命中させるなんて」
「たまたまじゃよ。しかし、となるとあそこにはあるわけじゃな。奴らの根城が」
その時だった。
少し伸びた草花の辺りからワラワラと数人の男達が出て来た。
数は20人、全員が武器を構えていた。
「随分と出て来たな。ここが奴らの根城だったわけか。いやぁ、まさかこんな隠れようのない一階層に根城を作っていたとはな。恐れ入ったぜ」
「ジュリアンの推測外れまくりだね、クククッ」
「恥ずかしい」
「3人ともお喋りはその辺りにしておけ。あの先頭の男には見覚えがある。手配書で見たゾルタンだな。つまり、こいつらがゾルタン盗賊団というわけだ。こいつは大手柄だぞ。公爵家御用達の商家を襲った奴らだ」
ミネルバァ達も武器を構えると、その姿を見たゾルタンが悪態をつく。
「チッ! ダンジョン改か。まさかこの偽装を看破るとはな。だが、ここにはお前達しかいない。お前達全員を殺せば……いや、女は美人揃いじゃねえか。こりゃいい。久しぶりに楽しませてもらうとしようじゃねえか! 野郎ども! 1番多く男を殺した奴に女を回してやるぞ! 男を皆殺しにしろ!」
「「「おおおおおおおっ!」」」
盗賊達がいきり立ち、武器を構えて襲いかかってくる。
「歯向かう者には容赦はいらん! 討伐せよ!」
サトだけは視線を逸らさずに少し高い草花部分を見ていた。
「今の悲鳴は何だ? アメリア」
「声の方向はさっき矢を射った辺りです。となれば……」
「ロンメル様、お見事です。素晴らしい弓の腕と索敵能力ですね」
「ジュリアン形無しだね」
「情けない」
「やれやれ、さすがは元ハンターだな。ロンメル爺さん、腕は鈍っていないようで何よりだよ」
皆が口々にロンメルを称賛したが、当の本人は複雑な心境だった。
矢を放ったのはサトが怪しがっていたからであって、自らの手柄ではない。
しかし、ここでサトが気づいた事を言ってしまえばサトの鑑定能力の事がバレる可能性もある。
言いたくても言えない。
そんなもどかしさをロンメルは嫌と言うほど味わっていた。
「サト、何故おかしいと思ったんじゃ?」
ロンメルは他の者に気づかれないように小声でそっとサトに尋ねた。
「この草原の草花は長さが全て一定です。なのにあの部分だけ少し伸びているのはどうにも気になったんです。そして、その周囲だけが泥濘んでいる事もあの場所が特異である事を示しています。それに毎回のように泥に足をとられる新米ハンター達。それでピンと来たんです」
「どういう事じゃ?」
「あの場所は誰かがワザと泥濘ませているんじゃないかって事です。そして、それを周知させるために定期的に足をとられるハンターを誰かが演じていたんじゃないかって」
「なるほどのぅ。この場所に近づけないためか」
「ええ。だから俺はそこに何かあるんじゃないかと思って、草花の根本を見たんですよ。そしたらありました。扉がね」
サトが見た時に脳裏に浮かんできた言葉はただ一つ。
『扉』であった。
「では、儂の射った矢は……」
「扉の横にいた、おそらく見張りの男に当たりました。お見事です。びっくりさせられたらいいかと思ったのに、まさか命中させるなんて」
「たまたまじゃよ。しかし、となるとあそこにはあるわけじゃな。奴らの根城が」
その時だった。
少し伸びた草花の辺りからワラワラと数人の男達が出て来た。
数は20人、全員が武器を構えていた。
「随分と出て来たな。ここが奴らの根城だったわけか。いやぁ、まさかこんな隠れようのない一階層に根城を作っていたとはな。恐れ入ったぜ」
「ジュリアンの推測外れまくりだね、クククッ」
「恥ずかしい」
「3人ともお喋りはその辺りにしておけ。あの先頭の男には見覚えがある。手配書で見たゾルタンだな。つまり、こいつらがゾルタン盗賊団というわけだ。こいつは大手柄だぞ。公爵家御用達の商家を襲った奴らだ」
ミネルバァ達も武器を構えると、その姿を見たゾルタンが悪態をつく。
「チッ! ダンジョン改か。まさかこの偽装を看破るとはな。だが、ここにはお前達しかいない。お前達全員を殺せば……いや、女は美人揃いじゃねえか。こりゃいい。久しぶりに楽しませてもらうとしようじゃねえか! 野郎ども! 1番多く男を殺した奴に女を回してやるぞ! 男を皆殺しにしろ!」
「「「おおおおおおおっ!」」」
盗賊達がいきり立ち、武器を構えて襲いかかってくる。
「歯向かう者には容赦はいらん! 討伐せよ!」
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