鑑定能力で恩を返す

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第一章

本当の目的

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「ところで、ミネルバァ様。今日はどうされたんですか?」

 最高級品の虹紅茶の3杯目を飲んでいたミネルバァは、サトの一言で我に帰ったように目を見開いた。

「そ、そうだった……いや、まぁ、大した事はないと言うか、お前の引っ越し祝いを持ってきてやったんだ。ほ、ほらっ! お前には何かと世話になっているしな!」

「は、はぁ……ありがとうございます」

 妙に焦ったように取り繕うミネルバァを不思議に思いながらも、差し出された箱をサトは受け取った。

「開けてみてもよろしいですか?」

「もちろんいいぞ! 絶対に役に立つからな!」

 サトが箱を開けると中には大小様々な種類の魔石が入っていた。
 ザッと見たサトの脳裏に言葉が浮かんでくる。

 火の魔石(大) 相場 30万ルーク

 水の魔石(大) 相場 50万ルーク

 風の魔石(中) 相場 8万ルーク

 土の魔石(中) 相場 6万ルーク

 光の魔石(大) 相場 70万ルーク

「おおっ! これは有難い! 生活に必要な魔石セットですね!? しかもこんな大きいのばっかり、いいんですか?」

「大した物ではない。ちょっとそこの店で見かけてな。まぁ、必要だと思ってパパッと買っただけだ。気にするな」

「よく言うにゃ……伯爵家の御用商人をわざわざ呼びつけて色々揃えさせたくせに……」

「当然ですね。このサイズの魔石は希少なんですよ? その辺でパパッと買える代物じゃないくらいすぐにわかりますよ」

「うっ……」

 珍しく息のあったアメリアとエレンの指摘にミネルバァは顔を赤らめて絶句してしまう。
 その表情にドキッとしながらもサトは平静を装った。

「ほ、本当にありがとうございます。大事に使わせてもらいますね」

「そ、そうだな。だ、大事に使ってくれ!」

 互いに照れながら視線を外す2人に、アメリアとエレンは妙な危機感を募らせるのであった。

「うううっ……御主人! さっさと本当の目的を言うにゃ! こんな甘酸っぱいお花畑ムードはもう終わりにゃ!」

「アルヴォード女伯爵様。何かとお忙しい身かと存じます。ここは早急に用件を済まされては如何でしょうかっ!?」

 2人の間に割って入るように前に出たアメリアとエレンが叫んだ。

「わ、わかっている! サト、実はもう一つ要件があってな。お前に本業のことで頼みに来たんだ」

「本業ですか?」

「そうだ。頼みたい事とはとある貴族の屋敷にある品々の山から価値ある物を選別する……出張鑑定をお前にしてもらいたいのだ」

「しゅ、出張鑑定ですか?」

 突然の申し出にサトは平静を装えなかった。





 
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