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第二章
新しい朝
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「これなら全部で55000ルークで買い取りになりますけど、いいですか?」
公都ハメルンの裏通りにあるロンメル商店。
そこでサトは働いていた。
少し前までは通常業務から離れた仕事ばかりだったが、ようやく普段の日常を取り戻した。
「毎度あり。またご贔屓に」
店を出るハンターを見送るとサトは買い取った品に再び目をやる。
すると、サトの脳裏に言葉が浮かんでくる。
三角大鹿の当たり角
頭に3本の角を生やした大鹿の角。3本の内2本は猛毒があり、ハズレ角と呼ばれている。残りの1本は当たり角と呼ばれ全状態異常回復薬の原料となる。見極めは非常に困難で当たり角の価値は高い。
相場 1本 60000ルーク。
三角大鹿の皮
頭に3本の角を生やした大鹿の皮。色合いが良く、鞣すことで強度が増すため、鞄などによく使用される。
相場 500㎜×500㎜ 10000ルーク。
三角大鹿の肉
頭に3本の角を生やした大鹿の肉。クセはあるが柔らかく、あっさりとした肉は美味である。
相場 1キロ 10000ルーク。
「三角大鹿か。この世界特有の鹿だろうけど、鹿は美味しいっていうし、後で少し食べてみようかな。それにしても角だ! 3つの内の1つを当てて持って帰ってくるなんて、あのハンターやるね!」
サトは意気揚々と品物の整理を始めた。
すると、店の奥から1人の老人が現れた。
「おっ? 三角大鹿か? これは良いものを仕入れたのぅ」
「ロンメルさん。見てくださいよ、当たり角です。これを薬師に売るなり、オークションにかければ結構良い値がつきますよ」
「ほぅ。当たり角は他のハズレ角と見分けがつかんというが、お前さんの鑑定能力にかかれば、造作もない事じゃな」
鑑定能力
1000人に1人が持つ特殊能力の中でも極めて希少な能力の一つ。
見たものの価値を含む全ての情報を詳細に見ることができる能力。
「それで今日の収支は?」
「買取が10万3200ルーク、売上が13万4710ルークですね。利益は3万1510ルークです。ちょっと買取が高かったでしょうか?」
「いやいや、三角大鹿の当たり角や皮、肉を売らずに黒字なら大成功じゃよ。お前さんが来てからというもの、店は潤っておるわい。儂なんぞもう隠居してもよいかと思うくらいにな」
ロンメルは冗談で言ったつもりだったが、サトは至って真剣な顔をしていた。
「ロンメルさんが隠居なさってもお店はやらせてください。必ず黒字にしてロンメルさんの生活が困らないようにしますから、俺にやらせてください!」
サトが必死に頭を下げてそう言ったので、ロンメルは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「サトや、お前さんが儂に恩を感じてくれてるのはわかるが、もう十分じゃよ。儂はもう……」
「ロンメルさんがいいと仰っても俺が納得できないんです。あの時、何処の誰かもわからない俺をロンメルさんは助けてくれました。恩返しにはまだまだ足りません。どうか、よろしくお願いします」
「はぁ……頑固じゃのぅ。わかった、好きにするがええ。まったく物好きな男じゃよ」
ロンメルの言葉にサトは笑顔で応える。
それを見たロンメルもまた笑顔を返した。
公都ハメルンの裏通りにあるロンメル商店。
そこでサトは働いていた。
少し前までは通常業務から離れた仕事ばかりだったが、ようやく普段の日常を取り戻した。
「毎度あり。またご贔屓に」
店を出るハンターを見送るとサトは買い取った品に再び目をやる。
すると、サトの脳裏に言葉が浮かんでくる。
三角大鹿の当たり角
頭に3本の角を生やした大鹿の角。3本の内2本は猛毒があり、ハズレ角と呼ばれている。残りの1本は当たり角と呼ばれ全状態異常回復薬の原料となる。見極めは非常に困難で当たり角の価値は高い。
相場 1本 60000ルーク。
三角大鹿の皮
頭に3本の角を生やした大鹿の皮。色合いが良く、鞣すことで強度が増すため、鞄などによく使用される。
相場 500㎜×500㎜ 10000ルーク。
三角大鹿の肉
頭に3本の角を生やした大鹿の肉。クセはあるが柔らかく、あっさりとした肉は美味である。
相場 1キロ 10000ルーク。
「三角大鹿か。この世界特有の鹿だろうけど、鹿は美味しいっていうし、後で少し食べてみようかな。それにしても角だ! 3つの内の1つを当てて持って帰ってくるなんて、あのハンターやるね!」
サトは意気揚々と品物の整理を始めた。
すると、店の奥から1人の老人が現れた。
「おっ? 三角大鹿か? これは良いものを仕入れたのぅ」
「ロンメルさん。見てくださいよ、当たり角です。これを薬師に売るなり、オークションにかければ結構良い値がつきますよ」
「ほぅ。当たり角は他のハズレ角と見分けがつかんというが、お前さんの鑑定能力にかかれば、造作もない事じゃな」
鑑定能力
1000人に1人が持つ特殊能力の中でも極めて希少な能力の一つ。
見たものの価値を含む全ての情報を詳細に見ることができる能力。
「それで今日の収支は?」
「買取が10万3200ルーク、売上が13万4710ルークですね。利益は3万1510ルークです。ちょっと買取が高かったでしょうか?」
「いやいや、三角大鹿の当たり角や皮、肉を売らずに黒字なら大成功じゃよ。お前さんが来てからというもの、店は潤っておるわい。儂なんぞもう隠居してもよいかと思うくらいにな」
ロンメルは冗談で言ったつもりだったが、サトは至って真剣な顔をしていた。
「ロンメルさんが隠居なさってもお店はやらせてください。必ず黒字にしてロンメルさんの生活が困らないようにしますから、俺にやらせてください!」
サトが必死に頭を下げてそう言ったので、ロンメルは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「サトや、お前さんが儂に恩を感じてくれてるのはわかるが、もう十分じゃよ。儂はもう……」
「ロンメルさんがいいと仰っても俺が納得できないんです。あの時、何処の誰かもわからない俺をロンメルさんは助けてくれました。恩返しにはまだまだ足りません。どうか、よろしくお願いします」
「はぁ……頑固じゃのぅ。わかった、好きにするがええ。まったく物好きな男じゃよ」
ロンメルの言葉にサトは笑顔で応える。
それを見たロンメルもまた笑顔を返した。
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