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第一章
約束
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「はぁぁぁぁぁ……なんか、私が一番辛い役回りじゃないか?」
年季の入ったテーブルに伏して大きな溜息を吐きながら愚痴を溢すミネルヴァ。
伯爵家の当主とは思えない姿である事は本人も自覚しているが、後ろめたさもあってかこうせずにはいられなかった。
「お疲れ様でした。ですが、皆がそれぞれの役回りをちゃんと果たしたんです。私だって結構無理したんですよ? 商会組合の人間がオークションに関わるなんてグレーもいいとこなんですから」
「それはわかっているが……年端もいかぬ娘の恋心を思うと罪悪感が……」
「御主人は意外と繊細にゃ。でも、私だって商品の警護大変だったのにゃ! 強盗団や盗賊がちょこちょこ来るから鬱陶しかったにゃ!」
「全員ぶちのめして、牢屋送り出来たからいいでしょ? 私だってオークションの進行役が大変だったんです。出品順から商品説明、客の反応を見ながら進めるのって大変なんですよ? イヤラしい眼で見てくる糞親父を何度消し炭にしてやろうかと思ったことか……」
「その分たんまり金を吐き出させたからいいじゃないですか。私の見立てでは今回のオークションの総額は52億くらいが相場でした。そこから更に20億もふんだくったんですから良しとしてください」
「みんな苦労があったんだな。だが、これで当面の危機は回避できたのだ。オリーヴィア嬢には悪いが、祝杯をあげさせてもらおう!」
静まり返った深夜の《歌う花嫁亭》で4人の女は、グラスを合わせた。
今回のサトの求婚騒動に際して、ミネルヴァ、クロエ、アメリア、エレンの4人は協力し、個々に役割を果たしていた。
知覚に優れ、戦闘力の高いアメリアが品物の運搬を担って、漏れなく品物を会場へと持ち込んだ。
次にエレンがオークション会場内で司会進行を務め、その絶大なる美貌で観客を魅了、平常心を揺さぶり財布の紐を緩めさせた。
オークションが始まれば、クロエが安く買おうしている客を牽制し、適正価格まで値段を徐々に上げていき、品物の値が下がらないように調整し、なるべく高値での売却を画策した。
最後にミネルヴァがマイヤーハイム家の不当資産の返納を見届け、余った資産をリハルト達に返還したのだ。
これによりマイヤーハイム家の今後に対する不安を解消し、最後にオリーヴィア嬢の求婚自体を有耶無耶にすると言う役割を担ったのだ。
最初に4人で話し合った際に生活にゆとりが出来れば、サトとの結婚に拘らないだろうと考え、品物を返納金以上に高く売却して資産を残すようにしたのだ。
そして、それとは別にもう一つ決めた事柄がある。
「今回の協力はここまでだ。だが、先の話し合いで決めた約束については今後も守っていく事を忘れないようにな」
「わかっています、ミネルヴァ様」
「そこは女の自尊心に賭けて守るにゃ」
「私もです。では、今後ともよろしくお願い致します」
4人は再び静かにグラス交わした。
年季の入ったテーブルに伏して大きな溜息を吐きながら愚痴を溢すミネルヴァ。
伯爵家の当主とは思えない姿である事は本人も自覚しているが、後ろめたさもあってかこうせずにはいられなかった。
「お疲れ様でした。ですが、皆がそれぞれの役回りをちゃんと果たしたんです。私だって結構無理したんですよ? 商会組合の人間がオークションに関わるなんてグレーもいいとこなんですから」
「それはわかっているが……年端もいかぬ娘の恋心を思うと罪悪感が……」
「御主人は意外と繊細にゃ。でも、私だって商品の警護大変だったのにゃ! 強盗団や盗賊がちょこちょこ来るから鬱陶しかったにゃ!」
「全員ぶちのめして、牢屋送り出来たからいいでしょ? 私だってオークションの進行役が大変だったんです。出品順から商品説明、客の反応を見ながら進めるのって大変なんですよ? イヤラしい眼で見てくる糞親父を何度消し炭にしてやろうかと思ったことか……」
「その分たんまり金を吐き出させたからいいじゃないですか。私の見立てでは今回のオークションの総額は52億くらいが相場でした。そこから更に20億もふんだくったんですから良しとしてください」
「みんな苦労があったんだな。だが、これで当面の危機は回避できたのだ。オリーヴィア嬢には悪いが、祝杯をあげさせてもらおう!」
静まり返った深夜の《歌う花嫁亭》で4人の女は、グラスを合わせた。
今回のサトの求婚騒動に際して、ミネルヴァ、クロエ、アメリア、エレンの4人は協力し、個々に役割を果たしていた。
知覚に優れ、戦闘力の高いアメリアが品物の運搬を担って、漏れなく品物を会場へと持ち込んだ。
次にエレンがオークション会場内で司会進行を務め、その絶大なる美貌で観客を魅了、平常心を揺さぶり財布の紐を緩めさせた。
オークションが始まれば、クロエが安く買おうしている客を牽制し、適正価格まで値段を徐々に上げていき、品物の値が下がらないように調整し、なるべく高値での売却を画策した。
最後にミネルヴァがマイヤーハイム家の不当資産の返納を見届け、余った資産をリハルト達に返還したのだ。
これによりマイヤーハイム家の今後に対する不安を解消し、最後にオリーヴィア嬢の求婚自体を有耶無耶にすると言う役割を担ったのだ。
最初に4人で話し合った際に生活にゆとりが出来れば、サトとの結婚に拘らないだろうと考え、品物を返納金以上に高く売却して資産を残すようにしたのだ。
そして、それとは別にもう一つ決めた事柄がある。
「今回の協力はここまでだ。だが、先の話し合いで決めた約束については今後も守っていく事を忘れないようにな」
「わかっています、ミネルヴァ様」
「そこは女の自尊心に賭けて守るにゃ」
「私もです。では、今後ともよろしくお願い致します」
4人は再び静かにグラス交わした。
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