鑑定能力で恩を返す

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第二章

呪われし装備

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「の、呪われてる?」

「ええ。こちらの装備は両方とも呪われてますよ」

 信じがたいものを見る目でサトに尋ねるライズだったが、サトは気にした様子もなく答えた。

「呪われた装備なんて使える訳ないじゃない! 何を考えているんですかっ!?」

 アリアはライズ以上に動揺しているのか、手に持っていた装備をカウンターに叩きつけるように置いた。

「2人で10000しかないんじゃ、普通の装備を売ることは無理だ。だけど、この呪われた物なら売ることが出来る」

「だ、だからって使えない物じゃ意味ないじゃないかっ!」

「そうよ! 呪われた装備なんて……」

「いや、それは間違いじゃよ。お若い2人さん」

 猛抗議する2人をロンメルは宥めた。

「呪われた装備は使えないわけではない。《呪装じゅそう》と言ってな。通常の武器と比べて能力が高いからのぅ。内容によっては呪いを受け入れて使う者もおるんじゃ」

「ほ、本当ですか?」

「呪いの内容って、どういう事ですか?」

「一括りに《呪装》と呼ばれておるが、実際には呪いの千差万別でのぅ。使う度に命を削るものもあれば、ただ1日の使用回数が決まっているだけのものもあるんじゃ」

「じゃあ呪いの内容によっては使ってても問題ないんですね? ちなみにこれにはどんな呪いがあるんですか?」

「ライズくんのチェインメイルには《詠唱阻害》の呪いがかかってるね。つまり、装備中は魔法が使えない呪いだ」

「えっ? 俺、最初から魔法使えないけど?」

「でも、魔法使いの人には最悪の呪いだからね。この呪いがローブの方にかかっててアリアさんが装備したら……」

 アリアはスッとチェインメイルから離れて、身震いした。

「考えただけで怖いわね……それで、私のローブにはどんな呪いがかかってるの?」

「アリアさんのローブは《筋力低下》の呪いだね。その名の通り筋力が弱くなる呪いだ。減少率は2割ってとこかな?」

「魔法使いの私が筋力低下したって大差ないわね。ローブにこの呪いって意味あるのかしら?」

「魔法戦士は困るじゃろうな。彼らはローブを着てその上から鎧を着ることもあるからのぅ。10の2割なら2で済むが、100の2割なら20じゃからな」

「なるほどなぁ。うーん、どうしようか」

 ライズとアリアはしばらく悩んだ。
 呪いの装備という点は気になるが、呪い自体はそれほど困るものでもない。
 結局2人はその装備を受け入れることにした。

「じゃあ10000ルーク。確かにもらったよ。それと注意点がある。決して他の人に譲ったり、売ったりしないこと。装備を変えたくなったら必ず教会で解呪してもらうこと。いいね?」

「わかった。約束するよ。よし! アリア、こっちから俺達の冒険が始まるんだ!」

「最初から不安だらけだけど、やるしかないわね!」

 2人は若さを存分に発揮しながら店を出て行った。

「やれやれ、困った奴らじゃわい」

「本当ですね。でも、若いうちの失敗も必要ですから」

「そうじゃな。じゃが儂が言う困った奴とはお前さんも入っておるんじゃぞ?」

 ロンメルはサトをジロリと睨んだ。

「呪装は本来は禁忌の装備じゃ。己以外にも災いをもたらす可能性があるからのぅ。その辺のところ、あいつらにちゃんと注意しておかねばならなかったんじゃないか?」

 真面目に話すロンメルに対して、サトは少し笑っただけだった。

「その点は大丈夫ですよ」
 
「その根拠は?」

「あの装備の呪い、もう解いちゃいましたから」

「なぬっ!?」

 ロンメルは驚愕と声を上げ、サトはまた少し笑った。
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