美少女令嬢な元生徒会副会長を、キモオタな中年教師がNTRる話

小松 美堂

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第一章

遅刻とその後

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美奈子は授業が終わると、浜田先生に声をかけられないよう、急いで学校を後にした。

家に帰りついてからも、美奈子の頭の中を占めているのは、明日以後の先生への対応だ。

今日は、先生が自分を好きだという事をうまく利用して、涙の力も借りて切り抜けた。浜田先生の慌てぶりを思い出すと、あらためて滑稽に思えると共に、少しだけちくりと罪悪感を覚えた。美奈子は、もともとは心優しい娘なのだ。

(写真で脅迫してくるような卑劣な人なんだから、全然気にしなくていいはずなのに。
どうして少しだけ、人の恋心を利用しちゃったなんて思うんだろう。バカみたい……

そんな事より、明日の朝はどうしよう。
文芸部室行かないといけないのかな。
行ったら、今日以上のことをされてしまいそう。
約束したのはキスとエッチについてだけだとか言い張りそうだし。

それにしても、なんで先生はあんなに臭いんだろう。)

そんな思いが、家政婦が用意してくれてあった夕食中も、風呂の中も、アキラとLIME電話している間も、ベッドに入ってからもグルグルと巡った。
眠れば、あの文芸部室に行くのかと思うと、なかなか寝付けなかった。



「あれ? どうして! 目覚まし止めたかな」

そんな状態だった美奈子は、いつもより一時間以上も寝坊してしまった。

「朝食ナシで、ギリギリかな」

美奈子は、急いで身支度を整える。いつも早起きしているだけに、寝坊とはいえ遅刻することはなさそうだ。

ドアを開けて、出た際に思い出した。

「どうしよう、文芸部室には完全に遅刻だ」

美奈子は、浜田先生のケータイ番号もLIMEも知らないのでどうしようもなく、重い心を抱えつつも急ぎ学校に向かった。



「おはようございます」

教室に入ってきた浜田先生は、美奈子に一瞥もくれることなく、淡々とホームルームを終えて去って行った。

(あれ? きっと睨んでくるとか何かあると思ったのだけど……このまま自然消滅? そんなわけないか。

それとも、まさか職員会議行き ? それは、ないとは思いたたい……)

美奈子は悶々とするしかなかった。

昼休み、学生食堂に向かう美奈子は、入り口近くに佇む浜田先生を見つけた。
陽菜と、ほか二名の友人と連れ立っていた美奈子が、そのまま通り過ぎようとすると

「あっ、葛城さん。これ、この前手伝ってくれた時の忘れ物だよ」と言って封筒を渡してきた。
「はい? あっ、ありがとうございます」

美奈子は、大いに嫌な予感を覚えたために、そのまま受け取り、学食に入ろうとした。

「なあに?」

陽菜が、当然聞いてくる。

「あぁ、この前放課後呼び出された時にね」
「ふぅん?」

陽菜は、パっと封筒を美奈子から取り上げ、中身を出そうとする。

「やめっ!」

蒼くなった美奈子は、思わず声を荒げそうになるが、目立つのもマズイと考え、何とか自重した。

「なに、これ?」

それは、誰も映っていない生徒会室の夕景だった。

「写真の整理をお手伝いしたのよ。その時、生徒会室の写真が欲しいとお願いしてたの、忘れちゃって。

わざわざ浜田先生持ってきてくれたんだわ」

「思い出の生徒会室かぁ。どうせなら、アキラくんが写ってるの貰えばよかったのに」

「それはもう持ってるからいいの!」

「ありゃ、ごちそうさま ! お昼ご飯食べる前から、満腹になっちゃったよ」

おどける陽菜を見つつ、

美奈子は、何とかごまかすことに成功し、冷や汗をかきながらホッとした。

(やっぱり、このまま自然消滅なんてないし、職員会議に持ち込んでご破算にしてしまうつもりもないんだわ)



(ふぅ、何とか渡せた。全く、今朝は待ちぼうけを食わせやがって。昨日の自分の情けない対応で、よっぽど舐められたんだな。

あえて友人もいる中で、彼女にしかわからない普通の写真の入った封筒を渡す。神崎陽菜は、好奇心旺盛だから、きっと封筒の中身を知りたがる。

ミナちゃんも蒼くなったかな。次やったらどうなるか、警告になるだろう)

友介は、朝の約束を二日めにしてすっぽかされ、大いに落胆しつつ、美奈子にまんまとやられた昨日の失態を反省して、アプローチを工夫したのだ。



翌朝、美奈子は再度旧校舎の文芸部室に向かった。

昨夜も、対策をあれこれ考えたが思い浮かばず、寝不足から早めに寝ついてしまった。

逆に早起きできたので、先手を取ろうと7時過ぎには学園に着いた。先生が待ち構えているタバコ臭い部屋に入りたくなかったのだ。鍵もある。



「あれ? ]

鍵を開けようとして、美奈子は扉が開いていることに気づいた。

「おはよー! 早いね! 」

なんと、浜田先生が待ち構えていた。

「お、おはようございます。お早いんですね」

「いやあ、今日は絶対に美奈ちゃん来てくれるだろと思ったら、めっちゃ早く目が覚めて、待ちきれなくてさ」

タバコ臭い息を吐きながら、友介は得意げに言う。

「ああいう形で脅されたら……来ますよ」

「うん? 別に脅していないよ。思い出の写真をプレゼントしただけじゃないか。さあまあ、そんなところに突っ立ってないで、こちらへどうぞ」

また友介は、ソファーをすすめる。

美奈子は、仕方なく端に座る。

(失敗したなぁ。こんなことなら8時に来るんだった。これから2時間近くも二人っきりなの?)



友介は、美奈子の真横に座り直すと、左肩を抱くように手を置いた。

そして、美奈子の右耳に臭い息を吹きかけながら、囁くように言う。

「ボクの事を随分バカにしてくれたね。口約束だけして、後はすっぽかしても、何とかなると思ったの?」

美奈子は、中年教師の低い声と息に心と体両方をゾクリとさせながらも、できるだけ可愛らしく反論する。

「違います ! 昨日は寝坊しちゃって。

別に先生との約束を破りたかったわけじゃないんです。

ごめんなさい」

「ふーん、そうなんだー」

さわさわと左肩を撫でながら、友介は気のない相槌を打つ。

「本当です! だから、今朝も来たんですよ」

「それは写真を見てヤバイと思ったんでしょ。

別にボクは、そのまま今日の職員会議にかけてもよかったんだけどね。」

と言いながら、友介はおもむろに制服のジャケットを左から脱がせようとする。



「何するんですか、やめてください! 」

「いやぁ、密着してると暑いじゃない。それに、まだ反抗するんだね。

いいんだよ、いま言ったように今日の職員会議でも」

「くっ……わかりました。自分で脱ぎます」

「そうそう、シワになっちゃいけないからね」

美奈子は、仕方なく制服のジャケットを脱いでブラウス姿になり、ジャケットはテーブルに畳んで置いた。

上着がないだけで、急に心細さを感じる。
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