魔女の私と聖女と呼ばれる妹〜隣国の王子様は魔女の方がお好きみたいです?!〜

海空里和

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14.もしかして?(ロジャー視点)

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「ロズ、王都のハーブ店の件、整えてくれてありがとう」
「いえ、この国にハーブがもたらされるのは喜ばしいこと……」

 オリヴァー殿下の執務室に呼ばれるなり、私は殿下より労いの言葉をいただいた。

 殿下がオスタシスに渡っている間、私は殿下の代わりに動けるよう、ロズイエにいたのだ。

 本当はいかなる時も付いて行きたかったが、殿下は護衛だけを連れてオスタシスに頻繁に渡っていた。

 陛下からの無理難題をこなすためもあるが、一番は『想い人』に会うためだろうとわかっていた。

 殿下の結婚が決まった時は、殿下には申し訳ないが、受け入れてもらうしかないと思っていた。

 第一王子のライアン殿下に続き、『聖女』を王家に迎えられたことは国にとって喜ばしいことだからだ。

 しかし、蓋を開けてみれば、お相手のエルダー様は純粋にオリヴァー殿下の幸せを願っておられ、自身も平民として暮らしたいと言った。

 そのいじらしさに胸を打たれつつも、私もオリヴァー殿下には幸せになって欲しいという初心を思い出した。

 一番近くにいたはずの私が、国のためなどと、殿下に気持ちを強いるなんて。

 気付かせてくれた彼女にもまた、幸せになって欲しいと私は心から思った。

 殿下のスカウトした店の主人がエルダー様だったと本人から聞かされた時は驚いた。その店を整えるよう言われ、準備したのは私だったからだ。

「この国にハーブをもたらし、増々発展に導けば、お相手と一緒になることも叶いましょう」

 そう。私は、殿下は陛下からの難題を更にこなすことで、さらなる実績を手に自らの願いを申し出られるのだと思っていた。

「ああ。俺の手の届く所まで連れて来たんだ。必ず一緒になってみせるさ」

 殿下は窓の外を見ながら、その顔を崩していた。その見つめる方角には、あの店がある。

「あの、殿下……?」
「何だ」

 私は殿下の言葉に引っかかりを覚え、恐る恐る尋ねた。

「手の届く所まで連れて来られたとは……?」
「だから、サンブカを」
「?!」
「ああ、言ってなかったか。あの店の主人サンブカが、俺が一緒になりたいと思っている相手だ」

 まさか、と思いつつも、その真実を殿下の口から聞き出せば、私は開いた口が塞がらなかった。

「そういうことは早く言ってください!!」
「お、怒るなよ。すまなかった。俺だって結婚が決まって焦っていたんだ」
「お相手は殿下の思惑なんて知らないんですよね?」
「ああ……。店を畳むというから、ロズイエに出さないかと打診しただけだ」

 殿下の遅すぎる報告に私は頭を抱えた。

 やはり、一緒にオスタシスに行くべきだった……!

「何でそんな愛人を連れてくるような真似……」
「なっ! サンブカは愛人じゃない! 良い雰囲気だとは思うが、まだそんな関係じゃない! そんな下品な呼び方をするな!」
「貴方がそうではなくとも、周りはそう思うということです!」

 ため息をついた私に殿下は怒りを見せるも、私が言った正論にすぐにしゅんとした。

「とにかく、殿下の想い人とサンブカ様を結びつかせることのないように。殿下はただロズイエにハーブの恩恵をもたらそうとした、ということで通しましょう」
「そっちも目的なんだがな……ついでみたいに言うなよ」
「メインはサンブカ様を手の届く所に置いておきたいというのは間違っていないでしょう?」

 殿下は私の言葉に、また押し黙ってしまった。

 やれやれ。優秀な方なのに、『サンブカ様』のことになると、周りが見えなくなるのですね。

 オリヴァー殿下がこんなにも人に執着するのは初めてだ。

 縁談の話も他国での勉強を理由にのらりくらりと交わしてきた方が。

 しかし、殿下の想い人がご結婚相手のエルダー様だったなんて。

 その真実を今すぐに告げるべきなのだろう。しかし、エルダー様の夢を手助けすると約束をした。彼女の意志もわからないまま、勝手に私が話して良いことではないだろう。

「殿下、以前私にエルダー様を幸せにしろとおっしゃいましたよね?」
「何だ、その気になったのか?」

 気付けば私は、殿下に意地悪な発言をしていた。

殿下がお望みでしたら・・・・・・・・・・
「? 俺はお前が望むなら力を貸そう」

 含みのある言い方に首を傾げながらも、殿下は私にそう告げた。

 真実を知ったら、殿下はどんな顔をするんでしょうね?

 そんな意地悪い想いを胸に、私は殿下にお礼を言った。

 エルダー様は、一人売られるようにこの国に嫁いで来られたのです。このくらいの意地悪、許されますよね?
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