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24.幸せな日常です
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「エルダー、ちょっといいか?」
「オリヴァー様」
本格的に伝染病の予防として国中にハーブが配り始められた秋頃。
調合室にオリヴァー様が訪ねて来られた。
オリヴァー様に正体がバレた私は、お店の調合も堂々とここで出来るようになった。
週に一度はお店に顔を出せるようになったし、とても充実している。
陛下とお義母様にはオリヴァー様から改めて説明がされた。
陛下とオリヴァー様はまた言い合いになっていて、とてもいたたまれなくなった。
お義母様はニコニコと嬉しそうに聞いていて、やっぱり気付いていたんじゃないかと思う。
そして、ロジャー。
彼には感謝している。私たちを静かに見守って、幸せを願ってくれていた。「何やってるんですかね」と呆れたように言っていたけど、彼は嬉しそうだった。
「仕事中にすまない」
「いいえ、どうかされましたか?」
申し訳なさそうに調合室に入って来たオリヴァー様に椅子を勧める。
周りを見れば、助手の人たちは席を外して、二人きりにされていた。
みんな素早い………!
あれから、私たちは一緒に食事を取るようになった。オリヴァー殿下の想い人が私だったという話は、王宮内に広まり、皆から温かい目を向けられていた。
実は、伝染病対策もあり、お互い忙しくしているので、続き部屋の扉が開くことも、部屋を共にすることもまだなのだけど。
お互い遠回りして、やっと想いを確かめあったので、オリヴァー様が距離をゆっくりと縮めようとしてくれているのがわかるので、私は幸せだった。
オスタシスではどんなに寄り添おうと思っても、それが相手に届くことはなかったから。
「エルダー、冬を越えたら、ハーブ調合の担い手を増やしていかないか?」
改めて幸せを噛み締めていると、オリヴァー様から提案がされた。
確かに、毎年この量をこなすのは大変だし、伝染病以外にも、もっともっとブレンドして、国に浸透させたい。
「確かに担い手は重要ですね。でも、どうやって…」
「エルダー、君が先生になって、学校を作るんだよ!」
「私が……?」
思いもよらないオリヴァー様の提案に、驚く。
「君は俺が知る中で一番の調合師だ。君のような人材が増えれば、ロズイエも安泰だろう」
「オリヴァー様……」
オスタシスでは魔女と罵られてきた。それでもハーブに携わっていられれば幸せだった。
この人は、私のハーブへの想いごとすくい取ってくれる。
嬉しくて、思わず涙を滲ませてしまう。
「エ、エルダー?!」
私の涙を見てオリヴァー様が慌ててしまったので、急いで涙を拭く。
「申し訳ありません、嬉しくて……」
そう言って顔を見上げれば、オリヴァー様と視線が絡む。
涙を拭っていた手を取られ、今度はオリヴァー様の指で涙が拭われる。
「君がオスタシスで受けてきた仕打ちは知っている……」
「え……」
『魔女』と呼ばれていたこともだろうか。
オリヴァー様に知られていた、と思うと恥ずかしくなった。でも、オリヴァー様は優しく目を細めると、涙を拭っていた指を私の頬に滑らせた。
「ロズイエは君を歓迎している。……俺もだ。最初は、その……違ったかもしれないが…」
最後の方はゴニョゴニョと、バツが悪そうに顔を赤らめて言うオリヴァー様に、増々涙が出てきてしまう。
真っ直ぐでぶっきらぼうだけど、優しい人。
オリヴァー様の優しさで心が満たされていく。
「……何で泣くんだ…」
困った顔で私の涙を拭おうとするオリヴァー様に、私は微笑んで答えた。
「嬉しくて………」
「エルダー………」
甘く、愛おしそうな表情を見せたオリヴァー様は、顔を近付けると、私の目元に口付けをした。
突然の出来事に、びくりと肩を震わせるも、至近距離のオリヴァー様は離れようとはせず、その唇は私の唇へと移った。
「愛している……」
オリヴァー様の甘く低い声に痺れながらも、彼の唇からは温かな熱が伝わる。
好きな人に愛される幸せ。
こんなにも嬉しくて涙が出るものなんだ。
「いい加減、泣き止んでくれ……」
とめどなく流れる私の涙を見て、オリヴァー様は眉を下げて笑ったかと思うと、再び私に口付けた。
甘い、甘い、幸せな時間に、私の涙は中々止まらなかった。
オリヴァー様に沢山キスをされ、頭がボーッとした頃に、ようやく涙は止まった。
「普段、強く生きている君も、嬉しいと泣くんだな」
いつの間にか私は、オリヴァー様の膝の上で抱き締められていた。
まだボーッとする頭でオリヴァー様の声を聞く。
「俺は君を一生手放さないからな」
「……! はい……!」
オリヴァー様の言葉に、また泣きそうになってしまう。
幸せすぎて涙腺が崩壊しているのかしら?
そう思っていると、泣いてもいないのに、オリヴァー様からまたキスをされてしまった。
「オリヴァー様」
本格的に伝染病の予防として国中にハーブが配り始められた秋頃。
調合室にオリヴァー様が訪ねて来られた。
オリヴァー様に正体がバレた私は、お店の調合も堂々とここで出来るようになった。
週に一度はお店に顔を出せるようになったし、とても充実している。
陛下とお義母様にはオリヴァー様から改めて説明がされた。
陛下とオリヴァー様はまた言い合いになっていて、とてもいたたまれなくなった。
お義母様はニコニコと嬉しそうに聞いていて、やっぱり気付いていたんじゃないかと思う。
そして、ロジャー。
彼には感謝している。私たちを静かに見守って、幸せを願ってくれていた。「何やってるんですかね」と呆れたように言っていたけど、彼は嬉しそうだった。
「仕事中にすまない」
「いいえ、どうかされましたか?」
申し訳なさそうに調合室に入って来たオリヴァー様に椅子を勧める。
周りを見れば、助手の人たちは席を外して、二人きりにされていた。
みんな素早い………!
あれから、私たちは一緒に食事を取るようになった。オリヴァー殿下の想い人が私だったという話は、王宮内に広まり、皆から温かい目を向けられていた。
実は、伝染病対策もあり、お互い忙しくしているので、続き部屋の扉が開くことも、部屋を共にすることもまだなのだけど。
お互い遠回りして、やっと想いを確かめあったので、オリヴァー様が距離をゆっくりと縮めようとしてくれているのがわかるので、私は幸せだった。
オスタシスではどんなに寄り添おうと思っても、それが相手に届くことはなかったから。
「エルダー、冬を越えたら、ハーブ調合の担い手を増やしていかないか?」
改めて幸せを噛み締めていると、オリヴァー様から提案がされた。
確かに、毎年この量をこなすのは大変だし、伝染病以外にも、もっともっとブレンドして、国に浸透させたい。
「確かに担い手は重要ですね。でも、どうやって…」
「エルダー、君が先生になって、学校を作るんだよ!」
「私が……?」
思いもよらないオリヴァー様の提案に、驚く。
「君は俺が知る中で一番の調合師だ。君のような人材が増えれば、ロズイエも安泰だろう」
「オリヴァー様……」
オスタシスでは魔女と罵られてきた。それでもハーブに携わっていられれば幸せだった。
この人は、私のハーブへの想いごとすくい取ってくれる。
嬉しくて、思わず涙を滲ませてしまう。
「エ、エルダー?!」
私の涙を見てオリヴァー様が慌ててしまったので、急いで涙を拭く。
「申し訳ありません、嬉しくて……」
そう言って顔を見上げれば、オリヴァー様と視線が絡む。
涙を拭っていた手を取られ、今度はオリヴァー様の指で涙が拭われる。
「君がオスタシスで受けてきた仕打ちは知っている……」
「え……」
『魔女』と呼ばれていたこともだろうか。
オリヴァー様に知られていた、と思うと恥ずかしくなった。でも、オリヴァー様は優しく目を細めると、涙を拭っていた指を私の頬に滑らせた。
「ロズイエは君を歓迎している。……俺もだ。最初は、その……違ったかもしれないが…」
最後の方はゴニョゴニョと、バツが悪そうに顔を赤らめて言うオリヴァー様に、増々涙が出てきてしまう。
真っ直ぐでぶっきらぼうだけど、優しい人。
オリヴァー様の優しさで心が満たされていく。
「……何で泣くんだ…」
困った顔で私の涙を拭おうとするオリヴァー様に、私は微笑んで答えた。
「嬉しくて………」
「エルダー………」
甘く、愛おしそうな表情を見せたオリヴァー様は、顔を近付けると、私の目元に口付けをした。
突然の出来事に、びくりと肩を震わせるも、至近距離のオリヴァー様は離れようとはせず、その唇は私の唇へと移った。
「愛している……」
オリヴァー様の甘く低い声に痺れながらも、彼の唇からは温かな熱が伝わる。
好きな人に愛される幸せ。
こんなにも嬉しくて涙が出るものなんだ。
「いい加減、泣き止んでくれ……」
とめどなく流れる私の涙を見て、オリヴァー様は眉を下げて笑ったかと思うと、再び私に口付けた。
甘い、甘い、幸せな時間に、私の涙は中々止まらなかった。
オリヴァー様に沢山キスをされ、頭がボーッとした頃に、ようやく涙は止まった。
「普段、強く生きている君も、嬉しいと泣くんだな」
いつの間にか私は、オリヴァー様の膝の上で抱き締められていた。
まだボーッとする頭でオリヴァー様の声を聞く。
「俺は君を一生手放さないからな」
「……! はい……!」
オリヴァー様の言葉に、また泣きそうになってしまう。
幸せすぎて涙腺が崩壊しているのかしら?
そう思っていると、泣いてもいないのに、オリヴァー様からまたキスをされてしまった。
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