35 / 39
35.オスタシスを救います
しおりを挟む
「エルダー、こっちだ」
外で待機してくれていたオリヴァー様に導かれ、私たちは急いで教会に向かった。
「あなたがお姉様の旦那様?」
「………」
「二人、仲良さそうだけど、お姉様は愛人を許容したわけ?」
「ぶほっ!」
急ぎ足で向かいながらも、ティナの容赦ない質問にオリヴァー様が吹き出してしまった。
「なっ?!」
「どうせ私のこと、お姉様を虐める嫌な妹だって無視したんでしょうけど、お姉様を蔑ろにするあなたも同罪なんだから」
「同罪……」
ズケズケと言うティナに、オリヴァー様は落ち込んで黙ってしまった。
「ティナ、誤解なのよ」
「誤解?」
首を傾げるティナに、私は掻い摘んで説明をした。
「はあ~? 何それ。バカじゃない?」
「なっ?! お前のような女にそんなこと言われる筋合いはない!」
ぎゃあぎゃあとティナとオリヴァー様が言い合いになってしまった。
……凄い!出会ってすぐに仲良くなるなんて。
ティナのすぐに人と仲良くなってしまえる所、尊敬してしまう。
旦那様と妹が仲良くなるのは単純に嬉しいのだ。
「エルダー……」
「お姉様……」
ニヨニヨと見ていると、いつの間にか二人から呆れた視線を送られていた。
「まあ、お姉様が幸せなら良いんじゃないですかっ?!」
「エルダーは俺が幸せにするから心配するな」
「ああ、そうですか!!」
「オリヴァー様……ティナ……!」
私は二人の言葉に感動してうるうるしてしまった。
あの幸せマウントのティナが、私の幸せを喜んでくれるなんて…。
そして幸せにする、と妹に宣言してくれたオリヴァー様。
私は何て幸せ者なのだろう。
「嬉しいとすぐ泣いてしまうな、エルダーは」
私の直ぐ側まで来たオリヴァー様は、目の端の涙を拭ってくれた。
「けっ」
けっ????
可愛らしいティナからは想像できない言葉が漏れていたけど、オリヴァー様は気にも止めなかった。
私の涙を拭った後、手を握りしめ、再び教会へと急いだ。
「あー、エルダーちゃん! 待っていたわ」
教会の聖堂は国民に開放され、重症者が等間隔に横たわっていた。
「あなたの持ってきたハーブをまずは飲ませて、今私の癒やしの力をかけて回っている所」
この短時間で迅速に処置が行われていたことをお義母様から聞き、アーヴィン様の手腕に驚く。
「あなたは重症者以外の人たちのハーブを処方してくれる?」
「はい!」
「あなたもこっちを手伝って」
「あ、ティナ。その前にこれ、」
お義母様の指示に頷き、ティナにも指示を出されたので、私は鞄からティナ専用のハーブを取り出した。
小さい頃、ティナが美味しいと言ってくれて、よく作ってあげていたハーブティー。
「……懐かしい」
ティナはそう言うと、私からハーブティーを受け取った。
「入れ方わかる? わからなかったらロジャーに……」
「わかります!」
「あ、そう?」
心配そうにティナを覗き込み、ロジャーをきょろりと探そうとしたら、彼女から遮られた。そして。
「……お姉様に何度も教わったもの……」
赤くなりながら、俯いたティナに、私は頭をポンと、撫でた。
「オスタシスを救うわよ」
こくり、と頷いたティナを見届け、私はオリヴァー様と教会の外へ向かった。
教会の外へ出ると、沢山のテントが張られていた。
騎士団の遠征用テントを治療所として使っているようだった。
アーヴィン様の登場と、迅速な対応で、王宮に詰めかけていた国民たちも大人しく治療の順番を待っていた。
「アーヴィン様」
司令室となっているテントにアーヴィン様を訪ねると、彼は地図を広げながら、大司教と話し、騎士たちに指示を出していた。緊迫した状況に、司令室も慌ただしい。
「エルダー嬢!」
「私はどこから見ていきましょうか」
「助かる……だが、数が多すぎて、君一人では捌けない」
難しい顔でそう言ったアーヴィン様に、私も厳しい顔になる。
確かに私一人では対処出来ない。癒やしの聖女ならば広範囲、大勢の人に力を使えるけど、私は一人一人に対処していかなくてはならない。
そうしている間に、軽い症状の人も悪化していくかもしれない。
「エルダーの店以外にも調合店はありましたよね? その者たちを募集しては?」
オリヴァー様の提案に、アーヴィン様の表情は暗い。
「ハーブを蔑ろにしたオスタシスに、皆愛想をつかしている。最後まで残ってくれていたエルダー嬢が特殊なのだ」
確かに、聖女の力に溺れたオスタシスはハーブを蔑ろにした。でも私はハーブが好きだったし、それで皆の力になれるのが嬉しかった。だから。
「オスタシスが危機なんです! きっとその人たちも助けたいと思っているはずです!」
「エルダー嬢……しかし……」
ハーブに携わりたくても携わることを奪われた人たち。きっと何かしたい、と思っているはず!
私の言葉にアーヴィン様はまだ暗い表情のまま。
「報酬を出してはどうですか? また店を開けるくらいの」
「ほっほっほっ、良い案ですが、このオスタシスにそんな財力は無いでしょうなあ」
「……その通りだ」
オリヴァー様の提案に、大司教が皮肉めいた笑いをしながらもそう言うと、アーヴィン様が頷いた。
オスタシスはティナの聖女の力でお金儲けをしていたと聞いたけど……あ……!
「あの、私がロズイエに嫁ぐときにいただいたお金は?!」
「……ほとんどが宝石に成り代わっているらしい」
「じゃあ、その宝石を報酬に当ててください!」
使い込んでいたとしても、それが宝石なら、まだ換金出来る!そう思った私はアーヴィン様に提案した。
「しかし、本来は君の支度金だったわけで……私は君に返還しようと……」
「私はいらないので、オスタシスのために使ってください!」
きっぱりとそう言うと、アーヴィン様は困った表情をされていた。
「私の妻がこう言っているので、お願いします」
クツクツと笑いながら、オリヴァー様が私の肩を抱き寄せ、隣に立ち、アーヴィン様にお願いしてくれた。
「まったく、エルダー嬢には頭が下がるよ」
アーヴィン様は溜息をつくと、覚悟を決めた表情で。
「エルダー嬢、ありがとう」
「いえ!」
アーヴィン様は私にお礼を言うと、すぐさま大司教様に手配を促した。
「じゃあ、私も出来るところから回りますね。オリヴァー様?」
話がついた所で、私も取り掛かろう、とオリヴァー様に声をかけると、彼は私を熱っぽく見つめていた。
「オリヴァー様……もしかして具合が……」
「君に惚れ直していた所だ」
「へっ?!」
熱っぽい瞳のオリヴァー様を心配すれば、甘い言葉が降り注ぎ、思わず驚く。
「ここだとキス出来ないのが残念だ」
「もう! オリヴァー様!!」
耳元で囁くオリヴァー様に、私は口をパクパクさせながら怒るのだった。
外で待機してくれていたオリヴァー様に導かれ、私たちは急いで教会に向かった。
「あなたがお姉様の旦那様?」
「………」
「二人、仲良さそうだけど、お姉様は愛人を許容したわけ?」
「ぶほっ!」
急ぎ足で向かいながらも、ティナの容赦ない質問にオリヴァー様が吹き出してしまった。
「なっ?!」
「どうせ私のこと、お姉様を虐める嫌な妹だって無視したんでしょうけど、お姉様を蔑ろにするあなたも同罪なんだから」
「同罪……」
ズケズケと言うティナに、オリヴァー様は落ち込んで黙ってしまった。
「ティナ、誤解なのよ」
「誤解?」
首を傾げるティナに、私は掻い摘んで説明をした。
「はあ~? 何それ。バカじゃない?」
「なっ?! お前のような女にそんなこと言われる筋合いはない!」
ぎゃあぎゃあとティナとオリヴァー様が言い合いになってしまった。
……凄い!出会ってすぐに仲良くなるなんて。
ティナのすぐに人と仲良くなってしまえる所、尊敬してしまう。
旦那様と妹が仲良くなるのは単純に嬉しいのだ。
「エルダー……」
「お姉様……」
ニヨニヨと見ていると、いつの間にか二人から呆れた視線を送られていた。
「まあ、お姉様が幸せなら良いんじゃないですかっ?!」
「エルダーは俺が幸せにするから心配するな」
「ああ、そうですか!!」
「オリヴァー様……ティナ……!」
私は二人の言葉に感動してうるうるしてしまった。
あの幸せマウントのティナが、私の幸せを喜んでくれるなんて…。
そして幸せにする、と妹に宣言してくれたオリヴァー様。
私は何て幸せ者なのだろう。
「嬉しいとすぐ泣いてしまうな、エルダーは」
私の直ぐ側まで来たオリヴァー様は、目の端の涙を拭ってくれた。
「けっ」
けっ????
可愛らしいティナからは想像できない言葉が漏れていたけど、オリヴァー様は気にも止めなかった。
私の涙を拭った後、手を握りしめ、再び教会へと急いだ。
「あー、エルダーちゃん! 待っていたわ」
教会の聖堂は国民に開放され、重症者が等間隔に横たわっていた。
「あなたの持ってきたハーブをまずは飲ませて、今私の癒やしの力をかけて回っている所」
この短時間で迅速に処置が行われていたことをお義母様から聞き、アーヴィン様の手腕に驚く。
「あなたは重症者以外の人たちのハーブを処方してくれる?」
「はい!」
「あなたもこっちを手伝って」
「あ、ティナ。その前にこれ、」
お義母様の指示に頷き、ティナにも指示を出されたので、私は鞄からティナ専用のハーブを取り出した。
小さい頃、ティナが美味しいと言ってくれて、よく作ってあげていたハーブティー。
「……懐かしい」
ティナはそう言うと、私からハーブティーを受け取った。
「入れ方わかる? わからなかったらロジャーに……」
「わかります!」
「あ、そう?」
心配そうにティナを覗き込み、ロジャーをきょろりと探そうとしたら、彼女から遮られた。そして。
「……お姉様に何度も教わったもの……」
赤くなりながら、俯いたティナに、私は頭をポンと、撫でた。
「オスタシスを救うわよ」
こくり、と頷いたティナを見届け、私はオリヴァー様と教会の外へ向かった。
教会の外へ出ると、沢山のテントが張られていた。
騎士団の遠征用テントを治療所として使っているようだった。
アーヴィン様の登場と、迅速な対応で、王宮に詰めかけていた国民たちも大人しく治療の順番を待っていた。
「アーヴィン様」
司令室となっているテントにアーヴィン様を訪ねると、彼は地図を広げながら、大司教と話し、騎士たちに指示を出していた。緊迫した状況に、司令室も慌ただしい。
「エルダー嬢!」
「私はどこから見ていきましょうか」
「助かる……だが、数が多すぎて、君一人では捌けない」
難しい顔でそう言ったアーヴィン様に、私も厳しい顔になる。
確かに私一人では対処出来ない。癒やしの聖女ならば広範囲、大勢の人に力を使えるけど、私は一人一人に対処していかなくてはならない。
そうしている間に、軽い症状の人も悪化していくかもしれない。
「エルダーの店以外にも調合店はありましたよね? その者たちを募集しては?」
オリヴァー様の提案に、アーヴィン様の表情は暗い。
「ハーブを蔑ろにしたオスタシスに、皆愛想をつかしている。最後まで残ってくれていたエルダー嬢が特殊なのだ」
確かに、聖女の力に溺れたオスタシスはハーブを蔑ろにした。でも私はハーブが好きだったし、それで皆の力になれるのが嬉しかった。だから。
「オスタシスが危機なんです! きっとその人たちも助けたいと思っているはずです!」
「エルダー嬢……しかし……」
ハーブに携わりたくても携わることを奪われた人たち。きっと何かしたい、と思っているはず!
私の言葉にアーヴィン様はまだ暗い表情のまま。
「報酬を出してはどうですか? また店を開けるくらいの」
「ほっほっほっ、良い案ですが、このオスタシスにそんな財力は無いでしょうなあ」
「……その通りだ」
オリヴァー様の提案に、大司教が皮肉めいた笑いをしながらもそう言うと、アーヴィン様が頷いた。
オスタシスはティナの聖女の力でお金儲けをしていたと聞いたけど……あ……!
「あの、私がロズイエに嫁ぐときにいただいたお金は?!」
「……ほとんどが宝石に成り代わっているらしい」
「じゃあ、その宝石を報酬に当ててください!」
使い込んでいたとしても、それが宝石なら、まだ換金出来る!そう思った私はアーヴィン様に提案した。
「しかし、本来は君の支度金だったわけで……私は君に返還しようと……」
「私はいらないので、オスタシスのために使ってください!」
きっぱりとそう言うと、アーヴィン様は困った表情をされていた。
「私の妻がこう言っているので、お願いします」
クツクツと笑いながら、オリヴァー様が私の肩を抱き寄せ、隣に立ち、アーヴィン様にお願いしてくれた。
「まったく、エルダー嬢には頭が下がるよ」
アーヴィン様は溜息をつくと、覚悟を決めた表情で。
「エルダー嬢、ありがとう」
「いえ!」
アーヴィン様は私にお礼を言うと、すぐさま大司教様に手配を促した。
「じゃあ、私も出来るところから回りますね。オリヴァー様?」
話がついた所で、私も取り掛かろう、とオリヴァー様に声をかけると、彼は私を熱っぽく見つめていた。
「オリヴァー様……もしかして具合が……」
「君に惚れ直していた所だ」
「へっ?!」
熱っぽい瞳のオリヴァー様を心配すれば、甘い言葉が降り注ぎ、思わず驚く。
「ここだとキス出来ないのが残念だ」
「もう! オリヴァー様!!」
耳元で囁くオリヴァー様に、私は口をパクパクさせながら怒るのだった。
4
あなたにおすすめの小説
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
2/26 番外編を投稿しました。
読んでいただけると嬉しいです。
思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。
とてもとてもありがとうございます!!
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。
「醜い」と婚約破棄された銀鱗の令嬢、氷の悪竜辺境伯に嫁いだら、呪いを癒やす聖女として溺愛されました
黒崎隼人
恋愛
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」
衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。
実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。
彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。
全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。
さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる