辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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第十章 家族の時間

第303話 セリーヌとの時間 2

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顔と服装を別人に変えたクリフとセリーヌはボールドの街へ来ていた。

「やっぱりボールドの街はにぎやかですね。」

「うん。アーサー兄さんはやり手だからね。それに父さんも手伝ってるだろうしね。魔の森も魔国の人達がかなりがんばって魔物を討伐してくれてるみたいだから。」

魔国はこの1年で大きく変貌を遂げた。一番変わった点は、呼び名だろう。今までは人族と魔族というくくりだったが、どちらも人で有る事は変わりないので、魔族ではなく人、もしくは魔人族という呼び名に変わっていた。そして、ボールドの街にもちらほらと魔国の人が来ていた。

「魔国が安定して一番恩恵を受けたのはボールド領かもしれませんね。今までは魔の森の事もあったから人が寄り付かなかった点もありましたが、魔の森が安定してるとなったら近くに魔物が出る分冒険者も多いから、それに伴うお店も需要があります。栄える条件がそろってますね。それに魔国の人達も王国で普通に過ごしているのがすごいです。」

「ああ。ユイが頑張ってくれてるからな。」

「ふふ。また魔国に行きたくなりましたね。でもあなたは出禁になってるんでしょ?」

「いやいや出禁になったのは世界一決定戦だけだから。普通に魔国にいく分には大丈夫だよ。」

元々腕っぷしの強い魔国の人達は、国起こしの為に大陸全土を対象に世界一決定戦を国を挙げて開催した。もちろん発案者はクリフだ。そして、クリフも大陸の強者と戦える事を楽しみに参加したのだが、その世界一決定戦の決勝戦、クリフの相手はセントラルの元大将フォルダーだった。元大将というのは、今の魔国軍総大将は息子のフォルカスがしているからだ。

魔国がユイを中心にまとまり始めた頃、フォルダーは大将の座を息子に譲り、相談役になった。だが、強さは元のまま。同じく世界一決定戦に参加し、見事決勝戦に登りつめた。

クリフとフォルダーの戦いは大いに盛り上がった。最終的な勝者はクリフだったが、フォルダーは、クリフが手加減している事に気付いていた。後日、本気の戦いをしたらクリフの瞬殺で、それをみた魔王のユイが、クリフは殿堂入りで世界一決定戦への参加禁止と伝えたのだ。

「あの時のあなたカッコよかったですよ。死ぬ事を気にしない武道大会はいいですね。あんな大会なら安心して見る事ができます。」

「そうだな。」

(俺が強くなりすぎて楽しめなくなったんだよな。手加減したら、それはそれでブーイングだし難しいな。まあチートを目指して努力してたから自業自得ではあるんだけど・・・パインが強くなるのに期待するしかないな。俺の次に強いのはパインだもんな。あの世界一決定戦でも、準決勝で俺と当たらなかったらきっと決勝の相手はパインだったはずだ。)

そんな他愛無い話をしながら、クリフとセリーヌは、屋台で串焼きを買ったり、服屋で服をお互いにプレゼントしたり、掘り出し物を探したりして、久しぶりに二人で楽しくデートした。

「街を歩いて一日誰にも声を掛けられないって良いですね。あなた?今回の事が終わっても時々、一緒にこうやって街を歩いてくれますか?何気ない話をしながら街を歩くのってすごい楽しいです。」

「もちろんだよ。セリーヌが喜んでくれてよかった。提案した甲斐があったよ。俺もセリーヌと久しぶりに二人っきりでゆっくり話ができて楽しかった。それにセリーヌとの時間はまだまだあるんだ。もっともっと楽しもう。」

その後も特に問題が起こる事もなく、歩き疲れたらカフェでゆっくりし、クリフが本に興味があると言えば、二人で古書店に行って珍しい本を探したり、人が行列を作ってる食事処で、他の人と同じように行列に並んで、食事をしたりと、仕事を忘れてめいっぱい楽しんだのだった。

「あなた?今日の夜はどうするの?」

「ああ、さっき服を選んでた時におすすめの宿聞いといたからそこに行こうかと思ってるよ。」

「実家に帰らなくていいんですか?」

「構わないよ。今日はアレク・ボールドの息子のクリフ・エターレインじゃなくてただのクリフだからね。そんな普通の平民がボールド辺境伯の家に行くって編だろ?」

「ふふふ。たしかにそうですね。私もただのセリーヌですから。あなたの言う宿に行きましょうか。今日は久しぶりに夜も二人っきりですね。いつもはライトの傍にいるから貴方と一緒に寝る時間も減りましたし。」

「そうだな。ライトもすくすく育ってくれてる。この前生まれたと思ったのに、いつの間にか一人で歩いてるし、『あい』ってしゃべってくれる。成長が早いよな。」

「子供なんてそんなもんでしょ。私も二人目が早くほしいです。」

「そうだね。他の嫁達との兼ね合いもあるからすぐにっていう訳にはいかないけど、セリーヌは何人子供がほしいの?」

「そうですね。3人はほしいです。私が3人兄妹だったので。」

「俺の所も3人兄弟だったな。うん。3人か・・・先は長いな。」

「まだまだ若いので大丈夫ですよ。それに・・・避妊すればあなたと一緒になれますから。」

「そうだね。そろそろ宿に向かおうか。一緒にお風呂に入ろうか?」

「はい!」

そうして、クリフとセリーヌは手を繋いで宿へと向かうのだった。
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