夢世界ナル

白蓮

文字の大きさ
7 / 37

2話-1 夢と夢

しおりを挟む
「やっと来たね」
 夜、私は夢の中にいた。夢の中に存在するもう1人の私、ナルに会う為に来た。その夢の世界は神殿のような雰囲気を出しており、中央に白い丸いテーブルと椅子が2つあった。
 片方は既になるが座っており、紅茶のような物が入ったマグカップを口に運んでいた。
「あの世界は何だったの?」
 私は座りながら、彼女に聞いた。
「夢であり、現実の世界。あの世界に入れるのは病気持ちでありながら、更には選ばれなければ入れない」
「病気・・・って、何の?」
 ナルはゆっくりと答えていた。続けて言う。
「それは私も分からない。だだ、分かっているのは薬等の効果が効かない事と病気の治療法がない事ぐらいだ」
 なにそれ・・・。ポツリと私の口から漏れる。それは病気の治療法は一切ないと言っているような物だ。
「選ばれなければ、何かしらの対策は出来たの?」
「そうね。薬で抑えるぐらいは可能だった」
 薬はあった。だけど、一体何の病気だろうか。それは彼女の不安を抱いていく。
「もうあの世界に選ばれた以上、逃げる事は出来ない」
 尚更聞かなければならない。逃げる選択もなければ、あの化け物を倒さないといけない。あの世界で死んだ場合、現実では何が起こる。そもそも、なぜ、あんな世界が存在するのか。ナルは
 私が拳を強く握る。あまりにも唐突過ぎるてのもある。納得出来ていない所もある。
「今の私に出来る事はあなたに戦闘方法とあの世界での知識、生きる術を教える事しか出来ない」
 彼女は立ち上がり、奥へと進み始める。途中、こちらへと振り向き、
「付いて来て。色々と教えて上げる」
 私も立ち上がり、ナルの後ろをついて行った。


「あの世界は夢であり現実。そして、それは既に10年前に発生した出来事が関係している」
 霧の中を悠々と通る。周りの景色はまるで墓のような殺風景の景色が写っていた。建物の残骸やら、武器、何かしらの戦闘の後みたいにあっちこっち凹んでいた。
「10年前、何でも持つ姫君がいました。彼女は毎日のように下界を見てました。それにある者が会いました。その者はその姫の存在に気付かった。そして、ある者は姫君の持つ権限の一つを抜き取った」
 まるで当事者の如く彼女は呟いていた。姫君、それを見ずにある者は権限を奪う。姫君ではなく、姫君の持つ何かに接触したと考える。
 むしろ、そうではないとある者は姫君に気づくはずだ。それがない以上、姫君であって、姫君本人ではない何かを見えた。
「それはあまりにも不運な出来事だった。誰にも接触出来ない場所にある者はいた。それは偶然が偶然を呼び、そして偶然に権限を持っていかれた」
 姫君にしてはそれは偶然の出来事。いや、本来あり得ない事なのかもしれない。
 誰にも接触というと、そこは本来は人が入れない場所だと意味にもなる。だが、なぜかその者は入れた。
「そしてある者は抜き取った権限は夢、夢の中に世界を作り替える権限」
「夢を作り替える・・・」
「そう認識で構わない。むしろ、その通りだ。人の夢を、形を変える。タチが悪いのはそれは人に伝達し、そして意思疎通してしまう事にある。それはむしろ洗脳に等しい」
 人の夢を勝手に改竄し、それを全く別の意味を持つ。それから覚めてしまえば、気付かずにそういう思想になるとナルは教えてくれた。
 なぜ、彼女はそんな事を知ってるのか疑問になる。その姫君と例えたのは本当に人なのかと思ってしまう。いや、人ではないのかもしれない。
 ナルの目的はその権限の奪取し、本来の形に戻す事にあると言った。権限は多分、この世界の中で直接の戦闘で奪うとなる。
「それじゃあ・・・ナルは・・・」
「私を何と思ったのかは語る必要はない。私も自覚してる」
 口に出そうとした言葉が止まる。階段を降りながら彼女はそのまま奥へと進む。
 今どこに向かってるかは分からない。理解出来ているのは、何かを見せようとただ夢の中を歩き回ってるだけだった。
 とある扉の前に来た時、その扉をナルが開ける。その扉の向こうの景色は見た事なく、また雲の上にある神殿の道路に見えた。
 夕焼け雲は綺麗に通路を照らしている。
「これは偶然。私もここにいる事自体偶然な事。だから、あなたにも悪いけど、これが終わるまで付き合ってもらうわ」
 拒否権なんてない。もう既に巻き込まれているからだ。なら、私は彼女に従うしかない。唯一無二の私の中の友達であっても。
 これは現実、そしてそれは夢の瞬きでもある。
「ここが目的地だ」
 彼女に案内されたのは周りが崩落していて、地盤も不安定な場所だった。壁や天井、地面のあっちこっちには亀裂が走っている。もう既にドームの一部は
 既に部分的にない所は異空間のような外の景色が見えていた。外の景色は前の夢の世界のようにあっちこっちに地盤が浮いていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...