聖女の取り巻きな婚約者を放置していたら結婚後に溺愛されました。

しぎ

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番外

入学式

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「学園生活、ちょっと怖いけど楽しみ!」
私が笑うと同じようにみんなも笑い返してくれた。

学園入学式、ベンネルは王太子だから挨拶の役目を任されてた。みんなの前に立って堂々と新入生としての挨拶をするベンネルはかっこいい。挨拶を終えたベンネルは壇上を降りて私が座るところに戻ってきてくれる。本当はベンネルの席は前の方にいる婚約者さんの近くなんだけど、私の隣にいたいからって私の方に来てくれたの。側近の3人も私のそばに座ってる。
「ベンネル、かっこよかったよ」
小声で話しかけるとベンネルは微笑んでこっそり私の頭を撫でてくれた。

教室はがやがやしてる。子供が集まるとうるさくなるのは元の世界でも異世界でも変わらない。違うのは髪の色ぐらい?カラフルな髪色の生徒たちが集まってるのがなんか小説とか漫画っぽくて面白い。
私のクラスはちょっと良い家柄の人が多いみたい。ベンネルと側近の3人、後は彼らの婚約者たちも同じクラスになってる。
そういえば、ブレイグの婚約者の人には会ってないな。他の人には一度顔を合わせたことがあるけど。教室をきょろきょろ見回してみる。
婚約者さん達は教室の私達から少し離れた所に固まっていた。異世界の人たちは結構美人の人が多いけど、あそこはなんだか別格、って感じの美しさ。ちょっと近寄りがたさもある。でもその中に何だか地味な女の子が1人混ざってた。
地味って言っても普通に美人さんなんだけど、少し明るめの茶髪に黒い瞳が一言で表すと地味って感じがする。婚約者さん達が異次元だから余計に。
彼女は少し気後れしたように、でも楽しそうに婚約者さん達と話してた。仲いいのかな。
・・・そういえば、私異世界に女の子の友達っていないな。
「ねぇ、ブレイグ。あの茶髪の子って婚約者さん?」
ブレイグに問いかける。ブレイグはちらっと彼女の方を見てすぐに視線をこちらに戻した。
「えぇ。そうですね」
ありゃ、あんまり興味ないのかな。まぁ最近決まった政略結婚の相手なんてすぐに興味持てないのかもしれない。
婚約者さんたちはちらりとこちらを見ては私にかすかに嫉妬の視線を向ける。でも茶髪の彼女は私のことをあんまり気にしてないみたい。ブレイグのこともあんまり見てない。お互い興味ないのかな。
婚約者さんたちとは多分仲良くなれない。側近の三人は違うけど、ベンネルの婚約者さんとは恋敵みたいなもんだしね。でも。あの茶髪の子となら仲良くなれるかもしれない。
「・・・なんだか天気が悪くなってきたな。今日は早めに帰った方がいいかもしれないな」
ベンネルが言う。帰る準備をしながら私はブレイグにこっそり聞いた。
「婚約者さんって何て名前?」
「・・・彼女はミア。ミア・シュヴェストカです」
その一瞬だけちらりとブレイグの瞳に浮かんだ光が何なのか、どうして彼が静かに腕に付けた鈴を撫でたのか。わからなくて私は首を傾げた。
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